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シンガポール駐在の日本人が「子どもの教育」について考えていること…小学生から始まる「海外進学」と日本でも高まる「グローバル教育」最新事情

3/18 11:32 配信

マネー現代

日本からの海外名門大学への進学

(文 岡村 聡) 私はシンガポールをベースとして資産運用や海外移住を中心としたコンサルティングサービスを提供していますが、最近では上記のサービスに付随してクライアントのお子さんたちの海外留学について相談されることが増えてきています。

 前編『「日本の教育はガラパゴス」と日本を出て行くのは、なんと小学生の子どもたちだった…! 低年齢化する「グローバル教育」最新事情』でも紹介しましたが、そこで見えてきたのは、日本国内でもグローバル教育への関心がますます高まってきていること、そしてグローバル教育を始める時期の「低年齢化」です。

 早ければ、小学生からグローバル教育が始まっています。

 さらにいえば、いまの受験は日本国内の大学だけでなく海外名門大学も含めた競争となっていると言っても過言ではないでしょう。

 今回は、私がこれまで見てきたグローバル教育の現在をご紹介します。

シンガポール駐在日本人の「グローバル教育事情」

 日本国内から低年齢のうちから海外留学に関心を持つ層は着実に増えています。

 私が生活しているシンガポールには3万人以上の日本人が暮らしていますが、その9割以上はいわゆる企業の駐在員です。これまで駐在員の多くは日本人学校を選んできましたが、最近は駐在員の中でもインターナショナルスクール(以下、インターと呼びます)を選ぶ人が増えてきています。

 私には、長女と長男のふたりの子どもがいますが、長女は英国のボーディングスクール、長男はシンガポールでインターに通いながら日本人が中心のサッカーと野球チームに所属しています。

 そこに昔から在籍していた方によれば、10年ほど前までは8割以上の子どもが日本人学校に通っていたそうですが、今では半分以下に減ってきたとのこと。半分以上の子どもがインターなど日本人学校以外に進学しているそうです。

 私は移住などのアドバイスをしていますが、普段の顧客は企業経営者が多く、そうした層の多くは永住権を取得を希望しています。

 彼らのシンガポール移住の目的は節税や資産承継だからです。そうしたファミリーの子息は、必然的にインターを選ぶことが多く、また中学から米英やスイスのボーディングスクール(全寮制学校)を選ぶ人も増えてきています。

 コロナ禍が終息してから、シンガポールはもちろん日本に暮らしている人からもこうしたボーディングへの進学への問い合わせが増えています。その背景には、日本のガラパゴスな教育環境への不満があります。

 企業経営者同士は、教育について住んでいる場所を問わず情報交換し、子どもが小中学校の年代から、海外留学を検討しているのです。

 ただし、昨今の円安は富裕層にも大きな影響を与えています。留学への関心は高まっていますが、米ドルが150円、英ポンドが190円、ユーロが160円前後で推移していることから、円換算したときの学費の高さに躊躇する事例も多くなっています。

 そのため、よりリーズナブルな選択肢である国内で行えるグローバル教育にも関心が高まっています。

日本でも着実に増える「グローバル教育」

 ここ数年で、日本には安比高原にハロウスクール、柏にラグビースクールなど英国の名門ボーディングの進出が相次いでいます。うちの子が英国のボーディングスクールに所属している関係から、他のエリアにも名門ボーディングが日本進出を検討している話も複数耳にしています。

 また、日本の学校の中からも海外大学への進学実績により人気を集めるところも出てきています。

 その最たる例が広尾学園で、ここ3年はハーバード大学やイェール大学、カルフォルニア大学バークリー校など世界的名門大学に生徒を進学させています。

 これら大学を含む海外大学には毎年延べ150~200人が進学しており、私の知り合いの経営者のご子息も複数の学校に合格している中からこの広尾学園を選びました。

 また、渋谷教育学園幕張も帰国子女を中心として毎年コンスタントに数十名を名門校を含む海外大学に進学させています。海外大学への進学を強化するために、中高一貫校では最大1年程度、提携している海外のインターへと留学させる制度も広がっています。

 東大や医学部を頂点に、日本国内での受験競争に明け暮れてきた中学・高校は、大きく様変わりしています。

 海外進学を売りとしていない旧来の名門高校の中からも海外大学へ進学する生徒は着実に増えてきています。冒頭でふれた東大のグローバルコースのような取り組みが拡大すれば、海外大学への進学もさらに拡大していくでしょう。

中国の富裕層も中学・高校から日本へ

 同時に、中国人を中心として子供の進学に合わせて日本に移住するファミリーも増えています。中国の受験競争は、日本よりはるかに苛烈であることが知られています。それを避けて、子どもが小学生のうちに日本へ移住し、日本の名門校を経由して海外と日本の名門大学を両にらみで狙う人たちが増えています。

 都内の名門校の中には、10%程度がそうした中国出身の生徒となっているケースも出てきていると知人から聞きました。また、サピックスなど中学受験に特化した塾でも、成績上位者のリストに中国出身とみられる名前の生徒が増えているようです。

 このように、国内・海外の学校を問わずグローバルなトレンドと同期する形で、日本人の学校選びのあり方は大きく様変わりしてきているのです。

 さらに連載記事『スキー場に行って驚いた…! 日本のゲレンデがバブル以来の「大活況」に、そのウラにある「外資投資」の恐るべき実力』では、日本に続々押しよせるリゾート開発の最新事情について詳しく解説しています。

マネー現代

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最終更新:3/18(月) 11:32

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