一流会社員が実践する「捨てる仕事」の見極め術 取捨選択とツール活用で重要タスクに集中する

2/7 11:32 配信

東洋経済オンライン

日々の細かい業務に追われて、つい重要な仕事を後回しにしてしまいがちというビジネスパーソンは少なくないでしょう。仕事がデキる人が実践する「捨てる仕事」の見極め方について、『世界のハイパフォーマーを30年間見てきてわかった一流が大切にしている仕事の基本』から一部抜粋・再構成のうえお届けします。

■「捨てる仕事」を見極める

 ある電機メーカーに、仕事をばっさばっさとアウトソーシングして、組織をスリムに改革した方がいます。「あの人が通ったあとはぺんぺん草も生えない」という冗談が交わされるほど、たくさんの仕事を外部に委託しました。

 その結果、残ったのは、市場調査や業務プロセスの見直しなど、そのうちにやろうと思っていたけれど、つい後回しになってしまっていたことばかりです。

 この方が作った「重要な仕事にだけリソースを集中投下できる環境」のお陰で、この組織は急成長を遂げました。

 この方に限らず、一流に共通しているのは「捨てる仕事」の見極めに長けているということです。

 「捨てる」と言うと少し乱暴に聞こえてしまいますが、これは、責任を放棄することでも、やりたくないことはやらないということでも、目立つ輝かしい仕事しかしないということでもありません。

 人間は誰でも、時間、集中力、労力などのリソースは限られたものしか持っていません。たくさんやることがあると、どうしても急を要する仕事に気を取られてしまい、本当に重要なことが後回しになります。

 重要なタスクにリソースが枯渇している状態で取り組んでいては、本末転倒です。そうならないように、重要度と緊急度で、拾う仕事と捨てる仕事を決めるのです。

 この考え方を「アイゼンハワーの法則」と言います。第34代アメリカ大統領のアイゼンハワーが「緊急なものが重要であることはほとんどなく、重要なものが緊急であることもほとんどない」と言ったことから、彼の名前をとってこう呼ばれています。

 「重要」は、組織の目標の達成につながるタスク、「緊急」は、決められた時間内に完了できなければ困った事態に発展するタスクです。

 この観点でタスクを4つの領域に分けていきます。

■集中して取り組むべきタスクは? 

 「重要×緊急」のタスクは、最優先で行います。

 「重要×緊急ではない」のタスクは、「重要×緊急」のタスクの次に、じっくりと時間とリソースをかけて取り組みます。

 「重要ではない×緊急」のタスクは、誰かがやらなければならないものの、誰がやっても成果は変わりません。アウトソーシングする、ツールに置き換える、交代制にするなどの対策を講じましょう。そして、できるだけ「重要×緊急」と「重要×緊急ではない」タスクにリソースを集中させます。

 「重要ではない×緊急ではない」タスクは、今すぐやめます。

 それぞれの領域にあてはまるタスクをよく見ると、「重要×緊急」はそれほど多くはないことがわかります。集中して取り組むべきは、「重要×緊急ではない」タスクです。

 人一倍多くの仕事をやっている。それなのに、なぜかあまり評価してもらえない人の仕事を分析してみると、「重要ではない×緊急」と「重要ではない×緊急ではない」のタスクほど丁寧にやっています。なぜなら、他の人がやらないことを自分がやることで存在感を発揮できるかもしれない、重要ではないから失敗を恐れずに取り組めると考えるからです。そして、「重要×緊急」や「重要×緊急ではない」のタスクに取りかかる頃には、疲れている、じっくり考える時間がない、という状態でやっつけ仕事になってしまうのです。

 本来は捨てるべき仕事ほど一生懸命にやっているのですから、大変気の毒ではありますが、高い成果にはつながりません。

 仕事の本質を見極めて、重要な仕事に集中することが一流の基本なのです。

■ツールを積極的に活用する

 「えっ?  今、何をした?」

 パソコン画面をスクリーンに投影しながらミーティングをしていると、議論の内容がその場で資料に反映されることがあります。

 パソコンの持ち主が一流のときは、他の出席者からこんな感嘆の声がよく上がります。鮮やかに、そして一瞬でどんどん作業を進めていくさまを目の当たりにするからです。

 私の見てきた一流はどの人も、ショートカットキーやエクセル関数をスムーズに使いこなします。

 皆さんも活用していると思いますが、ショートカットキーを使えば、メニューを何度もクリックしたり、手をキーボードとマウスの間で行ったり来たりさせる必要がなくなります。また、エクセル関数を使えば、手作業だと数時間かかる膨大なデータ分析やチェックも数秒で、しかも正確に完了させられます。

 だから、一流は資料作成や表計算にかける時間がとても短くて済むのです。

 それに加えて、便利なソフトやアプリ、機能にも敏感で、どんどん取り入れます。

 例えば、メールソフトのスケジューラーの予定を「会議」「作業時間」「移動」など種類別に色分けして一目瞭然にする。チームでスケジュールを共有して、ミーティングの日時調整をするときに、都度空き時間をメンバーに尋ねる必要がないようにする。このようなことはよく行っています。

 会社のルールが許せばの話ですが、Todoistなどのタスク管理に特化したソフト、EightやCAMCARDなどの名刺管理ツール、SlackやChatworkのようなビジネスチャットツール、ZapierやAutoHotkeyのようなよく使うキーボード操作を自動化できるツールを積極的に活用しています。

■一流が追求する「安正早楽」

 一流がこんなふうに仕事をするのは、常に「安正早楽」を追求しているからです。

 「安正早楽」とは、「安く」「正しく」「早く」「楽に」のことです。

 もっとお金がかからない方法はないか(安く)

 もっと正確にできないか(正しく)

 もっとスピードアップできないか(早く)

 もっと手間をかけずにできないか(楽に)

 「安正早楽」によって節約したお金や時間は、仕事の質を高めることに使います。

 例えば、文章を入力することよりも推敲(すいこう)に時間をかけるほうが、わかりやすい文書を作ることができます。ムダなコストを削ってお金に余裕ができれば、ホームページのデザインをウェブデザイナーに発注することだってできます。そうすれば自分で作るよりもずっとセンスのいいものになります。だから、一流の仕事は質が高いのです。

 ぜひみなさんも、ハイパフォーマーの実践する一流の仕事術を取り入れてみてください。

東洋経済オンライン

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最終更新:2/7(金) 11:32

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