スペイン語、トルコ語、インドネシア語……日本人の青年が突然、自分の母国語を流ちょうに話し出し、ネイティブが驚きの表情を浮かべる――。こうした動画が、YouTubeで百万回以上再生され、大人気となっている。
YouTuberのKazu Languagesさんは日本で生まれ育ちながら、たった5年で12カ国語を習得してきた。そんな外国語学習の達人が、学びのコツを解説する。
第2回は、外国語を学ぶ上で重要な「教材選び」の二つのポイントを伝授する。(聞き手/ダイヤモンド・ライフ編集部 笠原里穂)
>>前回『「英語の勉強で挫折しそう」→12カ国語ペラペラYouTuberのアドバイスが「さすが」すぎた』から読む
● 語彙力を伸ばすコツは?
――どうやったら語彙力を伸ばせますか?いつも意識してやっていることがあれば、教えてください。
そうですね。まず、語彙って「パッシブな語彙」と「アクティブな語彙」の二つに分かれると思います。
前者は、聞き取ることはできるけど、自分が話そうとしたときに出てこないもの。後者は、自分自身も使いこなせる語彙というイメージです。
大事なのは、自分で使いこなせるアクティブな語彙の割合を増やしていくこと。そのために僕自身が実践しているのは、単語を例文と一緒に覚えることです。
単語だけでは、どの文脈でどのように使われるかが分からないですし、フランス語の「リエゾン」のように言語によっては前後の単語とつながったりすることがあるので、使われ方も一緒に覚えるのが大切だと思います。
あとは、やはり音声を聞くことですね。発音を確認して、自分でも発声して反復しながら覚えていくのが重要だと思っています。
また、アクティブな語彙として定着させる上では、覚えた単語をもとに自分で文を組み立てるトレーニングも効果的です。
自分が使いたいフレーズを自分の中で組み立ててみる。それをDeepLやGoogle翻訳などで訳してみれば、答え合わせができます。
――単語を覚える上で、活用しているツールはありますか?
僕はAnkiというアプリをよく使いますね。覚えた単語やフレーズと訳を入力して、自分で単語帳をつくることができるツールです。作成したカードから、アプリがランダムに出題してくれます。
このアプリのよいところは、自分でカードの難易度を評価できること。その評価に応じて難しいものはまたすぐにテスト、というように出題頻度を変えてくれるので、効率的に復習できます。
● 教材の選び方「二大ポイント」
――外国語を学ぶとなると、「教材」が欠かせないと思いますが、教材選びのコツを教えてください。
教材選びには、大きく二つのポイントがあると思います。
一つは、実用的なフレーズを体得できるかどうか。
「このフレーズどこで使うんだろう」とか「これ覚えて意味あるのかな」というフレーズが多いと、学習のモチベーションも保ちにくいし、楽しくないですよね。反対に、自分が使うイメージがわくフレーズは実際に使えますし、言語が身に付く実感も強く持てると思います。
もう一つは、スピーキング・リスニング・リーディング、この三つのスキルを一つのツールで学べるかどうかです。
例えば、物語文が出てくる教材であれば、それを読むことがリーディングの練習になるし、音声が付いていれば、リスニングもできます。音読することでスピーキングの練習にも活用可能です。
リスニングはこれ、リーディングはこれというように分けてしまうより、一つのツールで完結したほうが続けやすいと思います。
● 英語学習にイチオシのYouTubeチャンネルは?
――先ほど挙げていただいたAnkiのように、デジタルツールも学習に駆使されているんですよね。ご著書でもいろいろなツールを挙げられていました。
そうですね。中でも、よく使っているのは、Pimsleur(ピンズラー)という言語学習アプリです。
先ほど挙げたよい教材のポイントが、まさに当てはまっています。実用的なフレーズが学べて、リスニング・スピーキング・リーディング、それぞれの練習に役立ちます。
ただ、このアプリの解説言語は英語で、「英語をベースに他言語を学ぶ」ものなので、そこのハードルが少し高い方もいるかもしれません。
――「英語を学びたい」人も多いと思うのですが、英語学習でおすすめのツールは何かありますか?
いろいろありますが、今はYouTubeチャンネルもとても充実していて、言語を学ぶ上ですごく魅力的な教材がそろっていると思います。
僕のおすすめは、「ケンドラ・ランゲージ・スクール」というチャンネルです。日本語にも対応していて、日本語で英語を学ぶときにも活用できます。
実用的なフレーズが紹介されていて、リスニング、そしてスピーキングの練習に役立つと思います。YouTubeは完全に無料というのも、大きな魅力ですよね。
>>第3回を読む
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Kazu Languages/2000年 3月4日生まれ。愛知県出身。スペインの音楽に関心を抱いたことをきっかけとして、独学で外国語学習を開始。以降、5年間で12カ国語を習得(スペイン語、英語、フランス語、アラビア語、インドネシア語、ロシア語、ポルトガル語、ドイツ語、トルコ語、中国語、タイ語、韓国語)。
外国語学習の楽しさを発信するため、 2022年に本格的に「Kazu Languages」というチャンネル名でYouTuberとしての活動を開始。年内に登録者数10万人を突破、翌年には台湾の急上昇ランキング3位を記録、日本国内でも急上昇ランキング18位となった。YouTube、TikTok、Instagram、Facebookの総フォロワー数は現在、のべ200万人に上る。
初の著書『ゼロから12ヵ国語マスターした私の最強の外国語習得法』(SB新書) が4月28日に発売された。
ダイヤモンド・オンライン
最終更新:5/6(月) 19:32
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