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iDeCo等の制度改定議論が中間整理、初の私的年金の世論調査でiDeCo等の認知の低さ痛感

3/28 18:27 配信

ウエルスアドバイザー

 社会保障審議会企業年金・個人年金部会が3月28日に開催され、議論の中間整理を行った。企業年金(企業型確定拠出年金=「企業型DC」と確定給付企業年金=「DB」など)や個人型確定拠出年金(iDeCo)など私的年金分野の制度の在り方について議論している同部会では、公的年金とあいまって国民の老後生活を支える私的年金について、様々な角度から議論を行っており、中間整理についても多くの論点が示された。また、同部会では厚生労働省が「私的年金」を対象として行った初めての世論調査の集計結果も示された。
 

 企業年金・個人年金部会での議論は、視点1として「国民の様々な働き方やライフコースの選択に対応し、公平かつ中立的に豊かな老後生活の実現を支援することができる私的年金制度の構築」として、たとえば、iDeCoや企業型DCの拠出限度額の水準、また、iDeCoの加入可能年齢・受給開始可能年齢の引き上げなども議論の対象になっている。ただ、中間整理においても「基礎年金の拠出期間延長や被用者保険の適用拡大など、公的年金制度の制度改正の議論を踏まえて総合的に検討を行うことが必要である」ということが強調されている。公的年金を議論する「年金部会」と私的年金を議論する「企業年金・個人年金部会」が合同開催されるなど、公的年金と私的年金の制度を一体的に議論する場も設けられた。まだ、その着地点は示されていない。基本的な方針として、税制優遇が関わる問題だけに「拠出・運用・給付一体での議論」が前提とされており、結論を得るまではしばらく時間がかかりそうだ。
 

 議論の視点は、視点2「私的年金制度導入・利用の阻害要因を除去し、より多くの国民が私的年金制度を活用することができる環境整備」、視点3「制度の運営状況を検証・見直し、国民の資産形成を促進するための環境整備」、そして、「健全化法への対応」などそれぞれの視点においても多くの論点があり、まだ、議論が途上にある段階だ。引き続き、4月以降も議論を進めて、ひとつひとつの課題に対して、部会としての意見をまとめることになる。この日の議論では、春闘などにおいて賃上げが進展しているものの、退職給付については、それほど大きな議論になっていないという指摘があった。賃上げの進展とともに、現在の経済環境を考慮すれば、退職給付制度(企業年金等)についても、より積極的な議論があってしかるべきというのが委員の多くの思いのようだった。
 

 そして、今回初めて実施された「私的年金」についての世論調査(調査期間は2023年11月2日~12月10日、調査対象は全国18歳以上の日本国籍を有する5000人、有効回答数2833人)において、主な回答結果について説明があった。
 

 調査では、老後の生活設計について、約4割の回答者が「66歳以上まで働きたい」と回答し、「71歳以上まで働きたい」という回答は17.5%だった。また、老後の生活設計の中での公的年金の位置づけは、「全面的に公的年金に頼る」と「公的年金を中心とし、これに個人年金や貯蓄などを組み合わせる」を合わせると約8割という回答率になった。老後生活における公的年金の存在が非常に大きいことがわかった。
 

 老後に向け準備したい、または準備した公的年金以外の資産については、「預貯金」が7割程度、次いで、「退職金や企業年金」が3割程度だった。「NISA」は2割程度、「iDeCo」は8.9%という回答率だった。「老後のための税制優遇制度」として位置付けられる「iDeCo」については、委員たちの間ではもっと高いニーズがあってもよいという意見が強いようだったが、制度改定や広報のあり方などを工夫する必要性を調査結果からも痛感させられたようだった。(イメージ写真提供:123RF)
 

ウエルスアドバイザー

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最終更新:3/29(金) 10:06

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