「望んだ仕事ができなかった人」こそ手にできる“大逆転”の正体

4/9 17:00 配信

ダイヤモンド・オンライン

 やりたくない仕事を任された時、どうしてもやる気が出ないかもしれません。ただ、会社員として働いている以上、「与えられた仕事」を避けることはできません。ならば、全力で取り組みましょう。そうすることで見えてくる景色があるのです。(ギックス共同創業者 田中耕比古)

● 目の前の仕事に 全力で取り組むことの意義

 4月は、新入社員が入社する季節です。また、組織変更や異動なども多いタイミングです。そのため、「新しい仕事」に取り組む機会が会社全体でたくさん発生することになります。

 そうしたときに、どうしても「あまりやりたくない仕事」「自分の希望とは違う仕事」「重要性が低いと感じてしまう仕事」に取り組むことになってしまう人もでてきます。

 こうしたときに、マネジャー、上司として、チームメンバーにどんなメッセージを伝えていくべきでしょうか?

 私は、「目の前の仕事に、全力で取り組むこと」の大切さを説くことにしています。

● 「与えられた仕事」と 「自ら選び取る仕事」

 仕事は、大きく二つに分けられます。

 誰かに与えられた仕事と、自分が進んで選んだ仕事です。

 会社員、組織人として働いている以上は、前者の「与えられた仕事」を避けることはできません。会社組織として業務を円滑に回すためには、一人一人に上手に役割分担をしていく必要がありますから、誰もが希望の仕事をするというわけにはいきません。

 私自身、過去を振り返って、望み通りの仕事ができた時間は、そんなに多くありません。

 希望通りだったのは、システムエンジニア時代に海外派遣をしてもらった半年間くらいでしょうか。

 それ以外の仕事、例えばコンサルタントや起業後の経営職において「この仕事をやりたい」と思って取り組みが始まったことは、ほとんどありません。

 SCM(サプライチェーンマネジメント)のプロジェクトに初めてアサインされたときには、そのテーマに対して興味を持っていませんでした。

 あるいは、流通業の店舗オペレーション変革プロジェクト、通信業のコスト削減プロジェクト、B2Bサービス企業の営業改革プロジェクトなど、いろいろなプロジェクトを経験させてもらいましたが、それらもアサインされたタイミングで自ら手を挙げて参画させてもらったことはありません。

 上司から「このプロジェクトに入ってください」という指示を受けて、その通りに仕事をしていたというのが正直なところです。

 しかし、今から振り返って考えると、自ら積極的に望んではいない仕事に向き合う時こそ、「仕事」というものの醍醐味を感じる瞬間だといえるように思うのです。

● 仕事に取り組むうちに 面白さに気づいていく

 先ほど例に挙げた、SCMプロジェクトは、中国の冷凍冷蔵サプライチェーン、いわゆるコールドチェーンに関するものでした。中国市場について調査する必要がありましたが、2000年代半ばのことでしたので、コールドチェーンどころか中国におけるサプライチェーンに関する情報を取得するのもひと苦労でした。

 まずは「中国 and サプライチェーン」もしくは「コールドチェーン or 冷凍 or 冷蔵」のキーワードに引っかかる本を全て買いあさって読むところからスタートし、当時のマネジャーと2人で200冊くらいを読みまくるということをやりました。

 また、統計情報を探して、国会図書館やJETROの資料室などに行ったり、コンサルティングファームの調査部門に海外の統計レポートを収集してもらったり、日経テレコンなどの資料検索サービスで情報を集めて、それらから「現在の状況」と「将来の展望」を推計するための準備を整えました。

 このあたりまでくると、「中国のスーパーマーケット事情」とか、「コールドチェーンにかかわる世界のプレーヤーのリスト」とか、「ハーゲンダッツの工場がどこにあって、どういう輸送基準で運搬されているのか」とか、「ケンタッキーやマクドナルドが、世界中でどのような流通網を築いているのか」とかいうことについての知識が蓄積されてきます。

 その後、そうした「机上の検討」を踏まえて、実地調査ということで、中国出張に行くことになりました。

 上海、北京、青島、広州などに滞在し、全く言葉も通じない中で現地コーディネーターのアレンジで食品メーカーや倉庫オペレーター、スーパーの調達担当者などの話を聞いて回りました。

 また、インタビューの合間には、現地の市場やスーパー、百貨店などをまわり、どういう商品ラインナップがどれくらいの価格帯で販売されているのかを見ながら、冷凍・冷蔵がどれくらい浸透しているのかを確認していきました。

 こうなると、もう「面白い」という感覚を超えて、「この領域に日本で一番詳しくなってやる」という気持ちが強くなってきます。どんどん興味が湧いてくるのです。

 例えば、当時の市場では、氷の上に食材が置かれていましたが、そもそも、ウサギや鶏をその場で解体して販売しているので「食材を冷やして運ぶ」ということが必要ないということが見えてきたりします。そうなると「冷蔵庫」は必要だが、「コールドチェーン」や「冷凍庫」がなくても良い、ということになってしまいます。

 また、鉄道で地方から都市部に野菜を運搬する時には、冷やして運ぶのではなく、荷台に大量に載せて運搬していました。詳しく話を聞くと、直射日光が当たった上層部分の野菜が腐り、その汁が溜まった下層部分も傷んでしまうが、真ん中あたりは無事に届くという状況が見えてきます。上下を捨てても、冷凍・冷蔵設備を使って運搬するよりも安上がりだ、というのです。

 あるいは、冷凍・冷蔵設備を調達する担当者に、「日本製の機械は高いが壊れにくいし、ランニングコストも低いが、どう思うか」と質問すると、「このエリアでは定期的に停電するから、いくら壊れにくいと言っても、停電によって圧縮機内に液体が発生したら一発で壊れるから関係ない」「日本製品が3倍高いなら、中国製品を3回買い換えたらいい」「いくらランニングコストが安いと言っても、その削減効果が明確になる前に、自分は転職しているだろうから関係ない(目の前の調達コストで評価されるので、そちらを優先したい)」というような回答が返ってきてしまい、自分の常識が全く通用しないことを学びました。

 もはや、最初から興味があったとかなかったとかではなく、日々、脳みその新しい場所に刺激を受けているような気持ちになってきます。

 仕事に取り組んでいるうちに、どんどん面白さ、楽しさに気づいていくわけです。

● 目の前の仕事に全力で取り組んだからこそ 「自分で選べる」ようになる

 私の場合は、同僚たちに比べて多様なプロジェクトを経験させてもらった(反対に言うと、特定領域にどっぷり浸かる機会は得られなかった)ので、いろいろな仕事を経験することになりましたが、先ほどのSCMに限らず、多くの業界や業務領域について、やっているうちにその面白さに気づくことができました。

 また、そうした経験が蓄積されたことで、似たようなプロジェクトからお声がかかるようになり、少しずつ「こういう領域に詳しい人」「こういうプロジェクトが得意な人」という評価を得ることにもつながりました。

 その結果、「いろいろな声がかかる」ことになり、気づくと「こちらに選ぶ権利」が生じるようになります。

 そうすると、「やってみたい仕事」を選ぶことができるわけです。

 好き嫌いせずにいろいろな仕事を全力でこなしていくと、その仕事に面白さを見いだすのみならず、そうした実績によって、「仕事を選ぶ側」に回ることができるようになるのです。

 新人および若手のうちは、どうしても、会社の都合に振り回されていると感じることが多くなります。

 なにも、「一生我慢していくべきだ」などとは言いません。しかし、食わず嫌いで片っ端から拒否していくのも、もったいない話ではあります。

 マネジャーの皆さんも、先ほどの私の経験のように「やりたくなかった仕事に取り組む中で、面白さを見出した経験」があると思います。

 ぜひ、若手社員、新入社員にはそういう経験を語り、ポジティブに背中を押してあげましょう。

田中耕比古

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最終更新:4/9(木) 17:00

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