トークンオファリングではなく「ノードセール」──Sophonが6000万ドルを調達

5/13 7:00 配信

CoinDesk Japan

これはブロックチェーン業界の最新イノベーション。だが、テクノロジーに関してではなく、投資家からキャッシュを集めることにおいてだ。


エンターテイメントに特化したブロックチェーンエコシステムのソフォン(Sophon)は「ノードセール」で6000万ドル以上を集めた。ノードセールは、トークンセールが証券規制当局の監視下に置かれるようになるなか、資金調達の斬新な形態として暗号資産業界に浸透しつつある。


ブロックチェーン分析サイトのデューン(Dune)によると、zkSyncプロジェクトのテクノロジーを用いてイーサリアムブロックチェーン上にロールアップネットワークとして構築されたソフォンは、約12万1000のネットワークノードを販売し、約2万391ETH(6270万ドル相当)を獲得した。このセールでは、合計20万ノードが提供された。


ノードの多くはベンチャーキャピタル(VC)が購入した可能性が高いと、この件に詳しい人物はCoinDeskに語った。


厳密に言うと、購入者はイーサリアムベースのERC-721トークン、またはNFTを購入し、ノードを操作できるようになる。その結果、彼らは今年の第3四半期に予定されているネットワークの本稼働後、最初の36カ月間、リリース予定のSOPHトークンの合計20%を獲得する資格を得ることになる。


ソフォンでノードを実行することの明確な金銭的側面を強調するために、プロジェクト関係者はプレスリリースで、ネットワークが20万ノードすべてを必要とするわけではないことを認めている。ユーザーは自ら積極的にノードを操作する必要はない。


プレスリリースによれば、「利用者はノードの運用を任せて、報酬を得ることができる」「さらに、セール終了時に売れ残りの未使用ノードライセンスは流通せず、焼却処分される」という。

データの可用性にセレスティアを利用

ソフォンは以前、ペーパー・ベンチャーズ(Paper Ventures)とメイブン11(Maven 11)が主導し、スパルタン(Spartan)、セブンX(SevenX)、オーケーエックス・ベンチャーズ(OKX Ventures)が参加した従来形式の資金調達ラウンドで1000万ドルを調達している。


この資金調達の実績は、プロジェクトの代表者の名前が公表されていないことを考えると特に興味深い。プレスリリースによると、このプロジェクトは「以前、zkSyncのDeFi責任者だったSebastien(Seb)氏、暗号資産ツイッター界の伝説的存在であり、メリット・サークル(Merit Circle)のトレーダー兼チームメンバーのPentoshi氏を含む、複数の有名な半ば匿名の開発者たち」によって共同設立されている。


5月3日のX投稿でSeb氏は「多くの人々がノードセールにうんざりしており、我々が行っていることの技術的正当性、ひいてはプロジェクト全体の正当性に疑問を抱いている」ことに気づいたと書いている。


「我々はこの資金を使ってクールなものを作り、イノベーションを起こし、プロジェクトに資金を提供し、戦略的パートナーシップを結んでいく。目指すところは常に、中核的コミュニティに価値を届けることにある」とSeb氏は述べ、「私自身、暗号資産のネイティブユーザーとして、新しいプロジェクトに資金を投じることの意味と、創設者の透明性の価値をよく理解している」と続けた。


このプロジェクトの投資家向けプレゼン資料によると、データサービスは別のブロックチェーンプロジェクトであるセレスティアに接続することで提供される。

ノードセールとは?

ノードセールは、動きの速い暗号資産業界でもまだ比較的新しい取り組みだが、一般的になりつつあり、その多くはDeFiプロトコルのインポッシブル・ファイナンス(Impossible Finance)の支援を受けている。インポッシブル・ファイナンスは2021年、シード資金調達ラウンドで機関投資家やエンジェル投資家から700万ドルを調達している。


ノードセールによる調達額は、決して小さなものではない。分散型GPUクラウドインフラプロバイダーのAethirは先週、4万1000ETH(1億2600万ドル)以上の価値がある7万3000以上のノードライセンスを配布したことを明らかにした。ノードセールを通じて資金を調達している他のブロックチェーンプロジェクトには、CARV、XAIゲームズ(XAI Games)、パワールーム(Powerloom)などがある。


その売り込み文句は、ノードセールによって誕生したばかりのネットワークが即座に分散化される一方で、投資家はノードに加えて、利回りのような形でトークン報酬を得ることができるというものだ。


その目的は「ネットワークへの参加を分散化し、そのテクノロジーについてより多くのユーザーをコミュニティで教育し、株式よりも多くの参加者を巻き込み、株式公開よりも大きなリスクを負う個人ユーザーを巻き込むこと」と、元バイナンス(Binance)のリサーチャーでインポッシブル・ファイナンスの立ち上げに貢献したカルヴィン・チュー(Calvin Chu)氏は述べた。チュー氏は「コアBUIDLer」という肩書きで活動しているという。

FOMO

ノードセールの仕組みの一部は、より多くのノードが販売されるほど価格が高くなる階層システムや、特定ユーザーのために早期スポットを確保する排他的なホワイトリストの使用など、「FOMO」(機会を逃すことへの恐怖:Fear of Missing Out)を助長するように設計されているようだ。


例えば、ソフォンの取引では、「Tier 1」のノードライセンスは0.0813ETHで、「Tier 11」になると約3倍の0.2524ETHになる。また、分析サイトのデューンによると、ノードの約4分の3はホワイトリストに登録された買い手に販売されたという。


また、ノードの運営者は将来的に関連プロジェクトからのトークンエアドロップの資格を得るかもしれないとされてもいる。暗号資産トレーダーたちは、イーサリアムのレイヤー2ネットワーク最大手の1つであるzkSyncが、どこかの時点で新しいトークンの計画を発表するかもしれないと推測している。


「『zksトークンはいつか(wen zks token)』についてはコメントできない」と、ソフォンのSeb氏は5月3日、Xに書いている。


ソフォンのノード購入者には12カ月間の譲渡制限がある。トークンを大量に分配した後に起こりがちな、参加者がすぐにトークンを現金化して移動してしまうことを防ぐための規定だ。


しかし、トークンの割り当てを受けたVC企業は多くの場合、トークンを売却することができない。そのため、ノードを所有することによる機会コストは、それほど大きな負担にはならないかもしれない。特に、その間に報酬が発生している場合はなおさらだ。


「買い手は質の高いプロジェクトを手に入れたいと願っている。質の低いプロジェクトでは、ノードは即座にトークンを提供しないため、ロックアップの効果に問題があり、うまくいかない」と、インポッシブル・ファイナンスのチュー氏は説明した。


|翻訳・編集:山口晶子、増田隆幸|画像:ソフォンのノードセールの階層ごとの価格表(SophonPhotoMoshを使用してCoinDeskが加工)|原文:It's Not a Token Offering, It's a 'Node Sale': Sophon Blockchain Raises $60M

CoinDesk Japan

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最終更新:5/13(月) 7:00

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