4月に入り、満開の桜とともに心地よい春風を感じる新年度がスタートしました。物価高が進むなか、老後資金に不安を感じている方にとっては、今の貯金だけで大丈夫なのだろうかと悩まれる方も少なくないでしょう。
そのような多くの人に注目されているのが、NISAによる積立投資です。
2024年からスタートした新NISA制度が追い風となり、2025年12月時点の口座開設数はなんと2826万に達しています。
しかし、具体的に積立投資にどのような効果があるのか、銀行預金と比較してどのような成果をあげることができるのか、わからず不安に感じている人も多くいます。
そこで本記事では、月5万円をNISA口座で積立投資した場合と、毎月銀行口座に預金をした場合とで、20年後の資産額にどのような差が生まれるのかをシミュレーションしていきます。
お金の置き場所を変えるだけで、将来の資産にどれほどのインパクトをもたらすのか、具体的に解説します。
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運用シミュレーション
まずはじめに、月5万円をNISA口座で投資信託への積立投資をした場合と、毎月銀行口座に預金をした場合とで、20年後の資産額の差をシミュレーションしていきます。
今回は、積立投資の利回りを「年利6%」とし、銀行預金による受取利息(税引後)を「年利0.5%」として計算しています。
●銀行預金への預け入れ(年利率0.5%)
まずは、「銀行預金」に毎月5万円ずつ積み立てていった場合のシミュレーションです。
【運用結果】
・元本:1200万円
・運用収益:62万円
・最終資産:1262万円
20年間、毎月5万円を預金し続けると元本は1200万円に達します。これに年利0.5%の利息がついた場合、20年後の運用収益は合計で62万円程度です。銀行預金は原則として元本が減ることはないという安心感はあるものの、20年という長い年月で増える金額がわずか62万円にとどまりました。
●NISA口座への積立投資(年利回り6%)
次に、同じく毎月5万円をNISA口座を活用して積立投資をした場合のシミュレーションを見てみましょう。
【運用結果】
・元本:1200万円
・運用収益:1067万円
・最終資産:2267万円
積立投資で利回り6%の運用ができた場合、20年後にはなんと1067万円もの利益が生じます。元本の1200万円と合わせると、最終的な資産額は約2267万円にも膨れ上がる計算です。
●「置き場所」による利益差は1000万円以上
シミュレーション結果を比較すると、同じように「毎月5万円」を積み立てていたにもかかわらず、20年後の資産額には1000万円以上の巨大な格差が生じました。
もちろん、積立投資の利回りや銀行の預金金利はあくまでシミュレーション上の一例であり、将来の数値を完全に把握し、確定させることはできません。しかし、世界情勢や景気が20年の期間で順調に推移した場合、NISAによる積立投資における年利回り6%は非現実的な数値ではなく、このような大きな差が発生する可能性があるのです。
一方で銀行預金は、バブル期などの特例的な高金利時代を除けば、近年は超低金利が続いており、今後年利率6%という数値を超える可能性は極めて低いと考えられます。
NISA口座での積立と銀行預金の比較
なぜ、NISA口座での積立投資と銀行預金への積立では、これほどまでに大きな差が生じるのでしょうか。ここからは、2つの金融資産の「仕組み」の違いを説明します。
●NISAでの積立は「投資」
NISA口座で積立投資をすることは、「資産運用」にあたります。資産運用とは、将来のリターンを期待して、どこかの企業や経済全体に資金を投じることです。積立投資において選択肢となることが多い「投資信託」では、1つの投資先に集中するのではなく、国や業種を超えて数多くの企業の株式などに分散して投資を行うことができます。これにより、手軽に効率よく分散投資ができるシステムとなっています。
投資は、投資先の将来の成長を見据えて株式などを「購入する」行為です。そのため、企業の業績が良くなり株式の価値が上がれば利益が生じますが、逆に価値が下がれば元本割れのリスクもあります。しかし、ある程度のリスクを受け入れることで、銀行預金などの低リターンな金融資産と比較して、はるかに高い利益を得られる期待が持てる金融資産なのです。
●銀行預金はお金の「預け入れ」
一方で、銀行への積立は、お金を文字通り「預け入れ」ている状態です。預けたものはあくまでも自分のものであるため、原則として額面通りに戻ってきます。そこに、お金を一定期間銀行に貸していたことによる、ほんの少しの貸出料のようなものが「利息」として支払われます。元本はあくまでも保証されたものである一方で、そこにつく利息はほんのわずかです。
「元本が保証されているから、銀行預金が一番安全安心」と考える人も多くいるはずです。しかし、ここで注意しなければならないのがインフレのリスクです。
インフレなどによって物価が高騰することにより、世の中のモノやサービスの値段が上がると、お金そのものの価値は相対的に下がってしまいます。額面が変わらない状態であっても、実質的なお金の購買力が低下するのです。
例えば、今150円でジュースが一本買える状態だとします。しかし、物価が上がり続け、20年後には同じジュースが300円になっていたとしたらどうでしょう。預金通帳の「150円」という数字は減っていませんが、もはやジュースは買えません。実質的に150円というお金の価値は半分になってしまったことになります。「そのままお金を持っているだけ」という行動には、実はこうしたリスクが潜んでいるのです。
●最適なお金の置き場所とは?
シミュレーション結果だけを見ると、「お金は銀行に預けないで投資に回そう」と感じる人も多いかもしれません。しかし、前述した通り、投資をする場合は価格変動による元本割れのリスクをある程度受け入れる必要があります。
まず大事なのは、預金か投資かの二択ではなく、役割分担を考えることです。
具体的には、近いうちに使うお金や緊急時のお金は「預金」に回し、すぐに使う予定のないお金は積立投資に投じていく、などといった考え方です。
積立投資は長期的に一定期間で続けることで、価格変動リスクをある程度抑えることが可能になります。メリット・デメリットを理解した上で投資と預金を上手に活用していくことが重要になります。
おわりに
今回説明したように、「毎月5万円」という同じ金額であっても、それを単に銀行に預けておくのか、それともNISAを活用して成長する世界経済に投資するのかで、20年後の結果には1000万円以上という決定的な差が生まれる可能性があります。もちろん、投資にはリスクが伴いますが、インフレによるお金の価値の目減りもまた、私たちが直面している現実的なリスクです。
「投資は怖い」「難しそう」と敬遠してきた方も、まずは無理のない少額から、NISA口座を活用した積立投資を検討してみてはいかがでしょうか。
参考資料
・金融庁「つみたてシミュレーター」
・金融庁「資産形成の基本」
・金融庁「NISAはやわかりガイドブック」
斎藤 彩菜
最終更新:4/8(水) 14:25