老後のお金や生活費が足りるのか不安ですよね。老後生活の収入の柱になるのが「老齢年金」ですが、年金制度にまつわることは、難しい用語が多くて、ますます不安になってしまう人もいるのではないでしょうか。そんな年金初心者の方の疑問に、専門家が回答します。
今回は、年金の繰下げ受給を考えている人の加給年金についてです。
◆Q:加給年金を受け取る場合、年金を繰下げ受給すると有利になりますか?
「地方公務員です。65歳になったときに、2歳年下の妻の加給年金を受け取る場合、年金を繰下げ受給すると有利になりますか?」(もう60歳さん)
◆A:配偶者加給年金額を受け取れる場合、年金の繰下げ受給は必ずしも有利にはなりません
厚生年金に20年以上加入していた人が65歳に到達して、老齢厚生年金(厚生年金)の受給を開始するときに、前年の収入が年収850万円(または所得655万5000円)未満で生計を一にしている等の要件を満たす65歳未満の配偶者がいる場合には、配偶者加給年金額が支給されます(配偶者が20年以上の厚生年金加入期間のある老齢厚生年金や障害年金を受給している場合を除く)。
相談者は、老齢年金の繰下げ受給を検討しているとのことですが、繰下げ受給の待機期間中は、配偶者加給年金額は支給されません。
繰下げ受給の増額率は、繰下げ月数×0.7%、繰り下げによる年金増額分(66歳まで繰下げ受給すると、1年で8.4%増額)です。受給できない加給年金(配偶者加給年金額は2023年(令和5年)度は39万7500円、特別加算額を含む)のほうが多くなってしまうこともあり、繰下げ受給が有利ではない可能性があります。
ひとつの手として、66歳以降であれば、老齢基礎年金(国民年金)と老齢厚生年金(厚生年金)のどちらか一方だけ繰下げ受給するという手もあります。老齢基礎年金(国民年金)だけ繰り下げすれば、配偶者加給年金額はもらえます。どうすれば有利になるのか、年金事務所では受取額のシミュレーションをしてくれますので相談してみてはいかがでしょう?
文:拝野 洋子(ファイナンシャルプランナー、社会保険労務士)
銀行員、税理士事務所勤務などを経て自営業に。晩婚で結婚・出産・育児した経験から、日々安心して暮らすためのお金の知識の重要性を実感し、メディア等で情報発信を行うほか、年金相談にも随時応じている。
あるじゃん(All About マネー)
最終更新:11/21(火) 11:30
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