2024年9月に新規上場した「IPO株」7銘柄の投資判断を公開! 多数のラーメンチェーンを手掛ける「INGS」や、美容液「Yunth」が話題の「Aiロボティクス」に注目
2024年9月に新規上場した「IPO株」7銘柄のうち、アナリストの投資判断が“買い”の「INGS」と“強気”の「Aiロボティクス」に注目!
●2024年9月に新規上場した「IPO株」は7銘柄!
新興株市場は回復も、地政学リスクなどが懸念材料
2024年9月の「IPO株」は7社。全般に小型の株が顔を揃えたが、事業内容は多彩だ。しかし、上場日が9月25~27日に集中し、特に26日は4社が重なった。このため、投資家の買いが分散。3社が公開価格割れとなり、公開価格に対する初値の騰落率平均は17%にとどまっている。
公募・売出規模が70億円あまりと、7銘柄の中では大きめだったROXX(241A)は、業績も赤字段階とあって初値が苦戦。他方で、公募・売出規模7億円のアスア(246A)や、同日上場の銘柄がなかったAiロボティクス(247A)は公開価格を4割強も上回る初値に。株式需給(売りと買いのバランス)が初値形成に大きな影響を与えたようだ。
なお、8月5日を底にV字回復を見せていた東証グロース市場250指数は、9月になると上昇基調が一服。10月上旬まで足踏みが続いていたが、10月10日以降は下落している。
「新興株市場の環境は改善していますが、まだその恩恵がIPO株に強く出るところまではきていません」(ダイヤモンド・フィナンシャル・リサーチの小林大純さん)
地政学的リスクが高まっていることも気がかりだ。IPO株の業績などへの直接的な影響はほとんどないが、「わかりやすいリスクのため、個人投資家は特に嫌う」(小林さん)からだ。
「成長への強い意欲が感じられる企業が散見される一方、株式相場は振れが大きい局面が続き、上場時の公開価格は割安・割高が入り交じっています。成長性と株価の妥当性に注意して投資を検討しましょう」(小林さん)
●2024年9月に上場した【IPO株】7銘柄!
上場日
公開価格
初値
(騰落率)
株価
(10/4)
PER
(PBR)
今後1年の
高値予想
(安値予想)
投資判断
25日
◆ROXX(241A・東G)
2110円
1941円
(-8.0%)
1510円
ー
(43.07倍)
2300円
(1100円)
中立
【分析コメント】ノンデスクワーカー(現場作業者)向け転職サービス「Zキャリア」が主力。市場規模が大きく、労働力不足の領域で知名度向上を図る。売上急伸だがまだ赤字段階。
25日
◆リプライオリティ(242A・福Q)
1520円
1398円
(-8.0%)
1167円
6.0倍
(1.87倍)
1600円
(900円)
中立
【分析コメント】電話営業や小売店スペースを活用した販促で通販会社を支援。アカモク(※栄養価で注目される海藻の一種)の商品を中心に自社通販も。割安感や約4%の配当利回りは魅力だが、地方市場でやや売買が低調。
26日
◆グロースエクスパートナーズ(244A・東G)
1530円
1841円
(+20.3%)
1999円
17.4倍
(3.48倍)
2500円
(1700円)
強気
【分析コメント】企画からシステム開発まで企業の変革に伴走するDX支援。顧客はニプロや三越伊勢丹HDなど、大手企業が主。事業規模の拡大が続き、株価の上昇余地も十分ある。
26日
◆INGS(245A・東G)
1940円
2700円
(+39.2%)
2785円
24.3倍
(9.68倍)
4000円
(2300円)
買い
【分析コメント】ラーメンブームの中、人気チェーン店としてたびたび話題に。IPOでも外食企業は根強い人気がある。株式需給の面での懸念も乏しかったことから堅調なスタート。
26日
◆アスア(246A・東G)
680円
1004円
(+47.6%)
1166円
21.6倍
(5.16倍)
1400円
(800円)
中立
【分析コメント】物流事業者に特化し、安全運転の教育代行やクラウドで教材提供などを行う。業界の変革期で需要は増加。PERは妥当な水準だが、テーマ物色に乗る場面もありそう。
26日
◆キッズスター(248A・東G)
2560円
2210円
(-13.7%)
1878円
43.5倍
(10.46倍)
2300円
(1300円)
弱気
【分析コメント】知育アプリ「ごっこランド」が主力。ゲーム内に出店する企業の職業などを子どもが体験、企業から出店料を得る。ユニークだがPERに割高感あり。成長加速を見たい。
27日
◆Aiロボティクス(247A・東G)
1760円
2514円
(+42.8%)
2640円
25.0倍
(19.18倍)
3500円
(2000円)
強気
【分析コメント】スキンケア商品や美容家電の開発・販売。元はAIマーケティングを手掛けていた企業。AIの活用などが成長イメージにつながったか、買いを集めて堅調な初値に。
※データは2024年10月4日時点。
●9月のIPO株の中で、アナリストおすすめの2銘柄を紹介!
「INGS」と「Aiロボティクス」に注目!
ここからは、9月のIPO株の中で小林さんが特に注目する2銘柄を深掘りしていこう。
一つ目の銘柄は、IPO株としては滅多にない“買い”の評価がつけられたINGS(245A)だ。
INGSは「らぁ麺 はやし田」を基幹とするラーメン8ブランドと、イタリアンバル「CONA」、居酒屋「焼売のジョー」を手掛ける外食企業。直営店・プロデュース店などの合計で161店舗を展開する(※2024年7月末時点)。
ラーメン業界はコロナ禍からの回復後も成長が見込まれる。INGSは複数ブランドによる店舗展開力が強みで、居酒屋・バルと併せ、年50店以上の出店で500店舗を目指す。株主優待の実施にも意欲的だ。
既存店の成長と新規店舗の上乗せで、2024年8月期は大幅な増収増益の見込み。同じラーメン店のギフトホールディングス(9279)や、外食大手のゼンショーホールディングス(7550)などの株価が復調しており、INGSも物色人気に乗りやすく、株価上昇の余地は十分ありそうだ。
続いて紹介する銘柄は、投資判断が“強気”のAiロボティクス(247A)だ。
AiロボティクスはAIを活用して化粧品や美顔器を開発販売する企業。スキンケア「Yunth」は美白美容液、美容家電「Brighte」はブラシ型美顔器が主力製品。商品企画や需要予測、広告運用など、事業を一貫して自社AIシステムがサポートする。
自社ブランド事業に経営資源を集中し、立ち上げ2年で急成長を実現。ただ、公開価格の1.5倍以上または上場後90日経過で売却制限が解除される、上場前株主の保有株がやや多いことに注意。当面は押し目買いの姿勢で臨みたい。
今後は、美容分野での成功を武器に、健康志向食品などの他分野や、海外への展開を図る。社長は会見で1年以内に時価総額1000億円を目指すと表明。一足飛びの成長を狙ったM&Aで、株価急伸の可能性もありそうだ。
ダイヤモンド・ザイ
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最終更新:10/23(水) 21:32