(ブルームバーグ): ソフトバンクグループ傘下の英半導体設計会社、アーム・ホールディングスの株価は12日、3営業日ぶりに上昇した。ロックアップが解除され、ソフトバンクGのようなインサイダーは新規株式公開(IPO)後初めて同社株の売却が可能になっていた。
ほとんどの公募増資には6カ月間のロックアップ期間が設けられており、インサイダーが保有株を売却することは禁じられている。そのため、浮動株、つまり取引可能な株式数が制限され、株価が大きく変動することがある。アーム株のバリュエーションは予想売上高の33倍以上と高い。
ラウンドヒル・ファイナンシャルの最高戦略責任者、デービッド・マッツァ氏は「ロックアップ終了が売りを引き起こす可能性のある銘柄があるとすれば、それはアームのような銘柄だろう。中長期的にアームに強気な投資家にとっても、ロックアップ終了が株価の重しになることを覚悟するのが賢明だろう」と話していた。
しかし、株価は一時の4.2%安から反転上昇し、2.2%高で12日の取引を終えた。取引は過去3カ月の標準に比べ活発で、ブルームバーグがまとめたデータによれば、1800万株以上が売買された。
とはいえ、大きな未知数はソフトバンクGが保有する9億株以上のアーム株をどうするかだ。ソフトバンクGはアームの90%を所有しており、株価に大きな影響力を持つ。
アームの上場以来、東京市場で30%近く上昇したソフトバンクGは2月の決算発表の電話会議で、保有株をどうするつもりかという質問をかわし、代わりにアームはグループ内で最も重要な会社だと繰り返した。
アームの株価が昨年9月の上場以降に150%近く急騰していることを考えると、ソフトバンクGは潜在的な金鉱の上に座っていることになる。ソフトバンクGは900億ドル(約13兆3000億円)近くの株式を売却することが可能で、その売却資金の一部を他の投資や株主への還元に充てたいと考えるかもしれないと、ブルームバーグ・インテリジェンスのアナリスト、シャロン・チェン氏が指摘した。
エヌビディアやアドバンスト・マイクロ・デバイセズなど、アームの顧客企業の多くも株式を保有している。台湾積体電路製造(TSMC)は先月、予想を上回るアームの好決算を受け約85万株を売却したことを明らかにした。
エバコアISIのアナリスト、ビジェイ・ラケシュ氏は強気で、ロックアップ期限切れを重視していない。ラケシュ氏は6日付のリポートで、アームの「魅力的な長期的ロードマップ 」を考慮し、アーム株を買うよう投資家に勧めた。
原題:Arm Snaps Losing Streak as Lockup Lifts After Rally: ECM Watch、Arm Traders Brace for a Selloff as Lockup Lifts After Big Rally(抜粋)
--取材協力:Carmen Reinicke、Subrat Patnaik、Ryan Vlastelica.
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最終更新:3/13(水) 12:03
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