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サスメド Research Memo(1):第三の治療法として注目されるデジタル治療を開発するベンチャー企業

3/22 13:31 配信

フィスコ

現在値
サスメド532-5
塩野義薬7,306+158
杏林製薬1,828+18

 ■要約

サスメド<4263>は、ミッションに「ICTの活用によって持続可能な医療サービスを社会に提供し続けること」を掲げ、医薬品及び医療機器に次ぐ第三の治療法として注目されるデジタル治療(Digital Therapeutics、以下、DTx)を開発する研究開発段階のベンチャー企業である。

1. DTxプロダクト事業では治療用アプリを開発
DTxプロダクト事業では治療用アプリを開発している。治療用アプリとは、薬剤や医療機器を用いた治療ではなく、患者のスマートフォンにダウンロードされたアプリケーションによって治療を施す新しいデジタル療法である。誰でも利用できる一般的なヘルスケアアプリ(ダイエットアプリ、歩行数計測アプリなど)とは異なり、治験によって確認された有効性・安全性に関わる医学的エビデンスに基づいて、薬機法上の医療機器として規制当局の薬事承認を得ることが必要になる。開発パイプラインは2024年2月時点で11件となっている。このうち不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i(R)」(以下、「サスメド Med CBT-i」)については、日本における独占的販売権を塩野義製薬<4507>に供与し、2023年2月に厚生労働省より医療機器製造販売承認を取得した。その後、保険収載の手続きを進めていたが、2024年1月に保険適用希望書の取り下げを決定した。ただし、「サスメド Med CBT-i」が厚生労働省より医療機器製造販売承認を取得している事実に変更はなく、今後も塩野義製薬とともに保険収載・事業化に向けた検討を継続する。

2. DTxプラットフォーム事業では創薬開発プロセス効率化を支援
DTxプラットフォーム事業では不眠障害治療用アプリの開発過程で獲得したノウハウをベースに、治療用アプリ開発プラットフォーム「QDTx(R)」を活用したDTx開発支援サービス、医療ビッグデータを分析する機械学習自動分析サービス「Awesome Intelligence(R)」、製薬企業向けに臨床試験の効率化を支援する汎用臨床試験システム「SUSMED SourceDataSync(R)(以下、「SUSMED SourceDataSync」)」などを提供している。

特に「SUSMED SourceDataSync」は、ブロックチェーン技術を実装したモニタリングシステムにより、臨床試験で求められる高い水準でのセキュリティとデータ改ざん耐性を同時に実現するとともに、モニタリングに関する工数と費用の大幅削減に貢献する。2022年11月には提携先のアキュリスファーマ(株)が「SUSMED SourceDataSync」を活用し、ヒスタミンH3受容体拮抗薬/逆作動薬Pitolisantのナルコレプシー患者を対象とする国内第3相臨床試験を開始した。また2023年9月には「SUSMED SourceDataSync」が、杏林製薬<4569>と共同開発を行っている耳鳴治療用アプリ「SMD403」の特定臨床研究に導入された。

3. 2024年6月期第2四半期は大幅増収で損失縮小
2024年6月期第2四半期の業績(非連結)は、事業収益が前年同期比319.8%増の265百万円、営業利益が97百万円の損失(前年同期は189百万円の損失)、経常利益が90百万円の損失(同187百万円の損失)、四半期純利益が91百万円の損失(同190百万円の損失)だった。大幅増収となり、各利益段階で損失が縮小した。DTxプロダクト事業において、耳鳴治療用アプリ「SMD403」に関して杏林製薬より受領した契約一時金100百万円及びマイルストン収入100百万円を収益計上した。DTxプラットフォーム事業もおおむね堅調に推移した。なお研究開発費は同90.5%増の119百万円だった。

4. 2024年6月期通期は研究開発費や人件費の増加により損失拡大予想
2024年6月期通期の業績(非連結)予想は2024年2月14日付で公表し、売上高が前期比34.7%減の346百万円、営業利益が459百万円の損失(2023年6月期は48百万円の損失)、経常利益が452百万円の損失(同44百万円の損失)、当期純利益が457百万円の損失(同50百万円の損失)としている。期初時点では不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i」の収益を合理的に算定することが困難であり、DTxプロダクト事業における新たな契約一時金やマイルストンの計上の可能性もあるため未定としていたが、2024年1月に「サスメド Med CBT-i」の保険適用希望書の取り下げを行ったことを踏まえ、研究開発費や人件費など販管費の増加により各利益段階の損失が拡大する見込みとした。DTxプラットフォーム事業についてはサービス利用料収入の順調な拡大を見込んでいる。研究開発費の計画は同52.0%増の268百万円としている。なお、あすか製薬(株)との契約に基づいて契約一時金200百万円を受領しているが、収益計上は2025年6月期以降の見込みとしている。

5. 開発パイプライン拡充などを推進
同社は研究開発段階にあるため数値的な目標となる経営指標を設定していないが、当面の成長戦略として、DTxプロダクト事業では長期的視点での収益最大化に向けた開発パイプライン件数拡充や臨床試験進捗、DTxプラットフォーム事業では収益の継続的かつ累積的な増加を実現するための契約件数拡大や新サービス拡充などを、重要な経営指標と位置付けている。こうした経営指標を高めるために、医療機関・学術研究機関・製薬企業などとの共同研究やアライアンスなども推進している。さらにDTxプロダクト事業の海外展開として、法令の有無、保険償還の仕組み、市場規模、競合の有無などの要素を複合的に判断し、進出国を選定中である。

6. 中長期成長ポテンシャルに対する評価に変更なし
同社は研究開発段階のベンチャー企業のため当面は研究開発費用が先行して期間損益のマイナスが継続する見込みだ。また、不眠障害治療用アプリ「サスメド Med CBT-i」の保険適用希望書の取り下げにより収益計上時期が先送りの形となった。ただし医療機器製造販売承認取得の事実に変更はない。さらに、国の政策として厚生労働省がプログラム医療機器の普及促進に向けて承認環境の整備を推進していることも追い風であり、中長期成長ポテンシャルは大きいという弊社の評価にも変更はない。そして今後もDTxプロダクト事業における開発パイプラインの拡充、ブロックチェーン技術の応用によるDTxプラットフォーム事業の拡大などに注目したいと弊社では考えている。

■Key Points
・第三の治療法として注目されているDTx開発を軸に展開する研究開発段階のベンチャー企業
・DTxプロダクト事業では治療用アプリを開発
・DTxプラットフォーム事業では創薬開発プロセス効率化を支援
・2024年6月期通期は研究開発費や人件費の増加により損失拡大予想
・長期的視点での収益最大化に向けて開発パイプライン拡充などを推進
・中長期成長ポテンシャルに対する評価に変更なし

(執筆:フィスコ客員アナリスト 水田雅展)

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最終更新:3/22(金) 14:06

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