新卒キャリア形成の前哨戦!“シン・インターンシップ”まるわかりガイド(下)

4/18 20:02 配信

ダイヤモンド・オンライン

*本稿は、現在発売中の紙媒体(雑誌)「息子・娘を入れたい会社2024」の「親子で知る激変インターンシップの勝ち抜き方」を転載し、一部加筆したものです。
 今や就活の登竜門となったインターンシップ。親世代には馴染みが薄かったが、子世代にとっては当たり前のイベントだ。年々早期化していることに加え、2025年卒からはルール変更で複雑化している。『先輩ガチャ・上司ガチャ』を免れるための”シン・インターンシップ”まるわかりガイド(上)に続き、インターンシップの解説や就活全般で生じる企業と学生の意識のギャップ、学生がよく悩まされる「就活と学業の両立」についてお伝えする。(ダイヤモンド・ライフ編集部、取材・文/古井一匡)

● 企業と学生の 意外に深い意識ギャップ

 インターンシップをはじめ、就活においては企業と学生の意識にギャップがあることがよく指摘されている。

 具体的には、下のグラフを見てほしい。企業が選考において重視するのは「対人コミュニケーション力」「協調性」「仕事への意欲・興味」「行動力」「誠実さ・信頼感」などとなっている。

 一方、学生が重視するのは「アルバイト体験」「サークル活動体験」などだ。どちらかというと「ガクチカ」のネタになるような体験に注目している。それも大事だが、留意すべきは、そうした体験を企業が重視しているポイントにいかにつなげられるかだ。インターンシップへの参加申し込みにおいても、その点を意識するだけで結果は変わってくるだろう。

● 新しいルールの下では 6月以前でも内定が出せる

 新しいルールは始まったばかりだが、実は政府は2023年4月に26年卒の就職・採用活動について、専門性の高い人材に関する採用日程の弾力化を図るべく、「インターンシップを活用した就職・採用活動日程ルールの見直しについて」を公表している。

 具体的には、現行の日程ルールを原則とするものの、加えて26年卒からは大学4年生になる直前の春休み以降のタイミングで、「専門活用型インターンシップ*」(下表のインターンシップ等の4類型のうち、タイプ3に含まれる)に参加してから採用選考を行う場合、6月以前でも内定を出せるようにするというのだ。

 *その他のタイプの解説は、前編の記事でご紹介している。

 なお、その際は透明性を確保するため、タイプ3のインターンシップの情報開示要件(9項目)のほか、就業体験を行う際に学生に求める大学での学修成果水準(GPA等)、就業体験を行う際に学生に求める専門的能力、参考情報として新卒一括採用に係る採用計画(採用人数等)などを、ホームページなどで公表する必要がある。

 これまでも、政府が示している採用選考開始時期(6月1日)以前に内定(内々定)を出している企業は多く、またそのタイミングもどんどん前倒しになっている。その意味では「現状追認ではないか」という声もあるようだ。

 また、ここで示されているタイプ3の「専門活用型インターンシップ」は、実施期間が2週間以上で、そのうち半分を超える日数は職場での就業体験が必要とされている。同じタイプ3でも「汎用的能力活用型インターンシップ」が実施期間5日以上なのに比べ、実施する企業側、参加する学生側の双方にとってハードルは高い。

 そうした問題はあるものの、政府が6月以前の内定出しを公式に認めるようになったこと自体が大きな変化といえる。

 振り返れば、日本において新卒採用についての日程などのルールができたのは、明治時代にまでさかのぼる。戦後も随時見直しが行われながら、またルールづくりの主体が政府と民間で入れ替わりながら、延々と続いてきた。

 しかし、そろそろ画一的なルールそのものを見直す段階になったのではないか。一例として、今春五大商社の一角である三菱商事が24年卒採用において、春休み期間の3月と6月に時期を分けて採用面接(内定を含む)を実施すると発表した。就活生は3月選考か6月選考かを選んでエントリーし、3月選考の場合は3月中旬から3月末にかけて面接選考をして内定を出すというものだ。これはインターンシップとは別の話だが、政府が公表している採用選考スケジュールからは外れるケースだ。

 そうであっても同社では、学生にとっての選択肢を広げ、優秀な人材の獲得につなげるため、見直しに踏み切ったのだ。

● 「学業と学びは一体」 就職後も変わらない

 そう考えると、産学協議会や政府による大枠のガイドラインは残るにせよ、インターンシップのあり方や就職・採用活動の日程ルールは、より個別企業の判断に委ねられる方向に進むと思われる。

 さらに言えば、もともと日程などのルールは学業への悪影響を避ける目的が前提としてあった。その発想自体がそろそろ時代遅れになりつつあるのかもしれない。

 リクルート就職みらい研究所の栗田貴祥所長は次のように語る。

 「従来よくいわれたのは『学生が早くから就職活動に時間を取られることで学業が疎かになる』ということです。しかし、実際の就活(企業訪問や面接など)はともかく、大学教育の一環としてキャリア教育を早い段階から行うことは非常に重要です。そのことによって、大学での学びの質や深さにプラスの影響があるはずです。そもそも『学業』と『キャリア』を分けて考えること自体が、これからの時代にそぐわないと思います」

 さらに、入社後についても同じことがいえる。以前はキャリアに必要な学びはほとんど特定の企業内において、仕事を通じて行われてきた。

 しかし、今やあらゆる業界で業務のDX(デジタルトランスフォーメーション)化が叫ばれ、AI(人工知能)の本格普及も目前に迫っており、「人的資本投資」の議論も盛んだ。

 岸田政権では「新しい資本主義」実現に向けた重点投資分野の最初に「人への投資」を位置付け、社会全体で学び直し(リカレント教育)を促進するための環境整備を掲げている。最近では個人のリスキリング支援として、5年間で1兆円を投じることも発表した。

 経団連SDGs本部長の池田三知子氏は語る。

 「経団連では今『仕事と学びの好循環』の実現を訴えています。変化の激しい人生100年時代を迎えるにあたり、社会に出て働き始めてからも、折に触れて学び、また必要に応じて大学や大学院などで勉強し直すことが必要です。そのことをぜひ、学生の皆さんも親御さんも理解していただきたいと思います」

 こうした大きな時代の変化を踏まえた場合、学生時代に会社の仕事を実体験できるインターンシップを人生のキャリア形成の前哨戦という視点で見直すと、より納得感の高い就活ができるかもしれない。

● インターンシップの 知りたい情報が満載

 最後に、今回取材して分かった「今どきインターンシップの特徴」を下記にまとめたので、参考にしてほしい。

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最終更新:4/18(木) 20:02

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