ブラックロックは、政府系ファンドや年金基金のビットコインETF参入を見込んでいる

5/3 10:00 配信

CoinDesk Japan

ビットコイン(BTC)のスポット上場投資信託(ETF)への連続資金流入が71日で途絶えていることに惑わされてはいけない。世界最大の資産運用会社であるブラックロック(BlackRock)のデジタル資産担当責任者、ロバート・ミッチニック(Robert Mitchnick)氏は、現在の小康状態の後には、異なるタイプの投資家からの新たな波が押し寄せる可能性が高いと述べた。


今後数カ月は、政府系ファンド、年金基金、慈善財団などの機関投資家がスポットETFの取引を始めるだろうとミッチニック氏はインタビューで語った。同社は「ビットコインをめぐる議論の再燃」を目の当たりにしており、ビットコインへの投資配分や、ポートフォリオ構築の観点からどう考えるべきかという話題で盛り上がっているという。


「年金、財団、政府系ファンド、保険会社、その他の資産運用会社、ファミリーオフィスなど、関心を持つ投資家の多くは、継続的な投資の検討や調査を行っており、我々は教育の観点からその一翼を担っている」とミッチニック氏は述べた。 そして、その関心は今に始まったことではなく、ブラックロックは数年前からこの種の機関投資家とビットコインに関する話し合いを行ってきたと同氏は言う。


1月のETF承認以来、この待望の投資先に対する需要は、これらの商品全体で760億ドル(約11兆7800億億円、1ドル=155円換算)以上の資金を集めた。これまでのところ、ウェルス・アドバイザリーのかなりの規模を占める登録投資顧問(RIA)の一部は、ブラックロックのIBITをすでに提供しているが、あくまで顧客からの要請がある場合だ。次のステップは、モルガン・スタンレー(Morgan Stanley)のような大手ウェルス・アドバイザリーの顧客にビットコインETFを無制限に提供することだと予想される。

運用資産残高を争う

ソーシャルメディアでは、ETFの運用資産残高(AUM)競争に注目が集まっており、特にIBITとグレイスケールのGBTCの比較に注目が集まっている。GBTCは、既存のBTCトラストをETFに転換したため、既存のものとみなされている。最近の集計では、IBITは172億ドル(約2兆6600億円)、GBTCは約243億ドル(約3兆7600億円)だった。


現在のIBITの資産の大部分はグレイスケールの代替によるものだ。その他にカナダやヨーロッパの高値の国際商品からの流出や、ビットコイン先物ETFがスポットへと移されることによる流出もある。


また、既存のビットコイン保有者の中には、証券口座で暗号資産(仮想通貨)を保有し、取引所でビットコインを保有することに伴うカストディや複雑な税務申告その他の課題を心配する必要がないことを望む人もいるとミッチニック氏は述べた。また、ビットコインのスポットETFで最大手になることは素晴らしいマイルストーンとなるが、ブラックロックはその競争に重点を置いているわけではなく、むしろ顧客を教育することに重点を置いているという。

イーサリアムETFも申請

ブラックロックは昨年11月にイーサリアム(ETH)スポットETFを申請し、その後、ラリー・フィンク(Larry Fink)CEOがトークン化、つまり現実資産をブロックチェーン上で表現することの可能性を語った。


しかし、イーサリアムのETFは、イーサリアムのブロックチェーンエコシステムの複雑さを考えると、ブラックロックがどのように顧客を教育していくのかという疑問が生じる。さらに、投資家のポートフォリオのシャープレシオがすでにビットコインETFのスポットによって高められているとしたら、投資家は別の暗号資産ETFへのエクスポージャーを求めるだろうか。シャープレシオは、リスクを調整した投資からの収益を測定したものだ。


「暗号資産について考えるとき、我々は暗号資産、ステーブルコイン、トークン化という3つの分野に焦点を当てて、それらがクライアントと資本市場に利益をもたらす可能性があると考えている」とミッチニック氏は述べた。「そして、これらの柱はすべて相互に関連している。これは人々が理解する上で本当に重要なことだ。そして、我々がそれぞれの分野で行う仕事は、我々の戦略や他の分野に対する洞察に反映される」。


|翻訳:CoinDesk JAPAN|編集:井上俊彦|画像:Shutterstock|原文:BlackRock Sees Sovereign Wealth Funds, Pensions Coming to Bitcoin ETFs

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最終更新:5/3(金) 10:00

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