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「薬の飲み忘れに悩む人」に教えたい画期的な“解決方法” 薬の種類や回数の多さに悩むのは高齢者だけではない

3/28 7:32 配信

東洋経済オンライン

 誰もが一度は経験しているであろう、処方された薬の飲み忘れ。加齢による認知症や身体障害によるものだけでなく、若い世代でも多忙な毎日に追われてつい薬を飲まなくなってしまうケースがよく聞かれます。しかし疾患治療の早道は処方薬を正しく飲み切ることです。今回は薬を必要な期間、忘れずに飲み続けるコツをお伝えできればと思います。

■服薬アドヒアランスを「高める」

 医療現場では、処方された薬を適切に使用していくことを服薬コンプライアンスまたは服薬アドヒアランスと呼びます。両者は薬を飲むという意味ではほぼ同じですが、服薬コンプライアンスは医師の指示通りに処方薬を使うこと、服薬アドヒアランスは患者側も服薬について理解・納得して薬物治療を受けることを指します。

 前者は一方的で受け身ですが、後者は医師とのコミュニケーションをもとに患者主体で治療に取り組むことから、医師と患者が共に疾患治療をしていく昨今の風潮では、服薬アドヒアランスを「高める」ことが大切とされています。

 しかし、実際には患者が薬を適切に飲めていない現状があります。すると、治療効果がじゅうぶんに出ないだけでなく、決められた通りのことができなかったという後ろめたさ、恥ずかしさから薬が飲めていないのに「飲めています」と診察の場で言ってしまう場合もあります。

 そして医師は患者の申告をもとに治療方針を立てるため、疾患の治療がうまくいかず患者自身の健康を害する結果に繋がってしまうのです。

 生活の中に服薬という新しい習慣を取り入れることは誰でも難しいものです。生活事情や薬が飲めない原因もさまざまであるため、ご自身にあてはまるものを医師や看護師、薬剤師などと相談しながら改善していくことが重要です。

 薬が飲めない原因としてよくあるのは、処方された薬の種類や回数が多いことではないでしょうか。特に高血圧や糖尿病など生活習慣病を抱えやすい中年以降の方では、大量に処方された薬のシートを見るだけで嫌になってしまう方も少なくありません。まず種類をなるべく減らしていきたいところですが、一度医師の診断で処方された薬を患者側が意見して減らすのはなかなか難しいかと思います。

■薬の種類と回数を減らす方法

 そこで、配合剤という2種類の薬をまとめられる薬剤は見かけの数を減らしてくれるため効果的と言えます。また回数や飲み方を工夫することも大切です。例えば1日2回朝晩と、1日3回毎食後の薬が同時に出た場合、薬の管理をするだけで1日が終わってしまいます。特にお仕事をされている方は規則的な食事が難しい場合もあり、飲み忘れが重なるにつれてもういいや、と面倒になってしまう場合もあるでしょう。

 そのようなときは、素直に「薬の回数や種類が多くて困っています」と伝え、回数をなるべく減らすだけでなく、ご自身が飲みやすいタイミングに揃えてもらいましょう。

 さらに、家庭での薬管理としては薬のシートの上から1錠ずつ飲む日付を書く、1回分の薬をひとまとめにしてケース等に入れておく、飲むタイミングを決めてその時間にアラームをかけるといった工夫ができます。

 飲むタイミングも、食事や歯磨きなどすでに習慣になっているものにプラスすることがおすすめです。新しく物事を習慣化するには1~3カ月程度かかると言われていますが、すでに完成しているルーティンに組み込むことで、より早く、より自然に毎日薬を飲めるようになると考えられます。

 薬の飲み方についても、錠剤だけでなく粉薬やシロップが用意されているものもあるため、自分に合わないと感じた場合は一度医療機関で相談してみましょう。錠剤が大きかったり、飲み込みづらさを感じている場合は口の中で溶けるタイプの錠剤(口腔内崩壊錠)もおすすめです。

 また、薬を飲むこと自体に抵抗を感じている場合もあります。疾患の診断やそれに対する処方そのものに疑問があるときは、主治医に直接伝えられることが理想ですが、難しい場合は薬剤師に相談したり、時には他院を受診するセカンドオピニオンも検討しましょう。

 特に薬剤師は近年、かかりつけ薬剤師という制度ができつつあります。毎回同じ薬剤師に説明をしてもらうことでより自身の状態が把握しやすくなるだけでなく、薬局によっては夜間や在宅でも対応していたり、医療機関と連携をとったりしている場合もあるため、ぜひお近くの薬局で確認していただければと思います。

■医師や薬剤師に「やめ方」を聞く

 なお、薬をなるべく減らすことが飲み続けるために効果的とお伝えしましたが、処方された薬をご自身ひとりの判断で中断することは控えましょう。薬の中には、数日間飲み続けることで初めて効果を発揮するものや、突然やめると重篤な副作用が出るものがあります。症状がよくなったから、もしくは全然効果を感じないからと飲むことをやめてしまうと不十分な治療となってしまい、結果的に疾患が再発・悪化することがあります。

 やめたいと感じたときは医師や薬剤師に一度「やめ方」を聞きましょう。診察時にいつやめてよいか、どのようにやめるかを医療者側が伝えている場合もありますが、薬の種類が多いとすべてを伝えていないこともあるため、気になるものはご自身で聞くことをおすすめします。

 薬の処方は、医療者側がじゅうぶんに分かりやすく説明し、患者側が疑問なく服薬を続けられるようにすることがもちろん大切です。しかし、説明が不十分と感じたり治療に疑問があったりするときは、気持ちよく治療を受けるためにも早めに相談をしましょう。正しく服薬をすることで、より早く正確な疾患の治療に繋がればと思っています。

東洋経済オンライン

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最終更新:4/10(水) 15:32

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