【イスラエル】イラン報復攻撃、大半を迎撃-ハマスは戦闘休止拒否か

4/14 5:21 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): イランが無人機とミサイルでイスラエルに攻撃を加え、イスラエルと同盟国はその大半を迎撃した。在シリアのイラン大使館が今月1日に攻撃を受け、革命防衛隊の司令官らが殺害されたことへの「正当防衛」とイランは主張しており、同国が自国内からイスラエルを攻撃するのは、今回が初めて。

イスラエル軍のハガリ報道官は14日未明、イランが発射した200発以上の弾道ミサイルと巡航ミサイル、攻撃無人機の大半が着弾前にイスラエルの同盟国の支援で迎撃されたと説明した。10歳の少女が重傷を負い、陸軍基地に軽微な被害があったことも明らかにした。報道官はこれより先、イラン本土からの直接攻撃は深刻かつ危険なエスカレーションだと非難していた。

イラン革命防衛隊のサラミ司令官は国営放送で、攻撃は同国とイスラエルの関係が新たな段階に入ったことを告げるものだとし、「今後、ユダヤ主義者の政権がわれわれの利益や資産、国民や市民をあらゆる時点で攻撃する場合、イランから反撃する」と表明。これまでは代理勢力を通じ背後から操っていたイスラエルとの戦争に、イランがより直接的に関与する用意があることを示唆した。

イランの攻撃後、同国が支援しパレスチナ自治区ガザを実効支配するイスラム組織ハマスは、仲介国による最新の戦闘休止提案を拒否したと、イスラエル首相府が対外情報機関モサドの声明を引用して発表した。

今回のイラン攻撃が原因だとモサドは直接言及しなかったが、ハマス指導者ヤヒヤ・シンワル氏はイスラエルと「イランの緊張を利用し続けている」とし、「人道的な合意と人質の返還を望んでいない」と非難した。イスラエルは交渉で多大な柔軟性を示したとも主張した。

モサドはイスラエルのハマスとの交渉を主導。米国、カタール、エジプトが仲介役を務めている。

デラウェア州私邸での休暇を切り上げホワイトハウスに戻ったバイデン米大統領はイスラエルのネタニヤフ首相と電話で会談した。大統領はイスラエルの安全保障に対する米国のコミットメントは「揺るぎない」との声明を発表した。

声明によると、バイデン大統領は今回の攻撃への「一体的な外交対応で協調を図るため」、主要7カ国(G7)の首脳会議を14日に招集する。ホワイトハウス高官からの情報を引用し、ニュースサイトのアクシオスが伝えたところでは、バイデン氏はネタニヤフ首相との電話会談で、イランへのイスラエルの反撃を米国は支持しないと伝えたという。

米国から帰国した岸田文雄首相は14日午後、記者団に対し、イランの報復攻撃は「中東情勢を一層悪化させると考える。深く懸念し、こうしたエスカレーションを強く非難する」と述べた。また現時点で邦人への被害は報告されていないと明らかにした。

イランの国連代表部は今回の行動について、イスラエルが認めていない在シリア・イラン大使館への攻撃に対する「正当防衛」の対応だと主張し、警告だと示唆した。また、米国に対し、この衝突から距離を置くようくぎを刺し、「イスラエル政権が再び過ちを犯すようなことがあれば、イランの対応は一層厳しくなるだろう」とソーシャルメディアに投稿した。

イランの通貨リアルは14日の取引で下落。リアル相場を追跡するウェブサイト、ボンバスト・ドット・コムによると、対ドルでは前日比で約4%下落し、1ドル=70万5000リアルと過去最安値を付けた。

イスラエルでは、エルサレムやヨルダン川西岸のユダヤ人入植地アリエルなど各地で複数の警報が鳴った。エルサレムの住民から爆音を聞いたという報告もある。イスラエル北部でも警報が鳴ったという。イスラエル国防軍は、攻撃に備え一部地域で衛星利用測位システム(GPS)サービスを停止したと明らかにした。

米国防当局者は、中東地域の部隊がイスラエルを標的にイランが発射した無人機を撃墜したことを確認した。英国防省は、イスラエルに向かうイランの無人機を必要に応じて迎撃するため、英空軍機を配備したことを認めた。

イスラエルは過去15年間に、イスラエルは防空システムを大幅にアップグレードしており、最長2400キロ離れた場所から発射される弾道ミサイルを迎撃する新システムを追加した。この距離にはイランだけでなく、親イラン派武装グループが拠点を置くイエメンやシリア、イラクが含まれる。

イランとイスラエルとの直接的な衝突は、イスラム組織ハマスと同じくイランの支援を受けるレバノンのイスラム教シーア派組織ヒズボラも巻き込み、地域戦争の可能性を高める。ホワイトハウスは声明で、イエメンとシリア、イラクで活動するイランの代理勢力が、今回の前例のない攻撃の一翼を担ったと指摘した。

英国のスナク首相は世界の指導者の中でいち早く声明を発表。「英国はイスラエルの安全保障、ヨルダンやイラクなど全ての地域パートナーの安全保障を支援し続ける」とし、「われわれは同盟国とともに、事態を安定させ、さらなるエスカレートを防ぐために緊急に取り組んでいる。これ以上の流血は誰も望んでいない」とした。フランスとドイツ、欧州連合(EU)もイランの行動を非難した。

国連のグテレス事務総長も、敵対行為の即時停止を求め、「壊滅的な地域全体へのエスカレーション」の危険に言及した。イスラエルは、国連安全保障理事会の緊急会合開催を要請し、米東部時間14日午後4時から開かれる予定との情報がある。

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原題:Israel, Allies Mostly Block Unprecedented Attack From Iran (4)、Israel Says Hamas Rejected Cease-fire Proposal After Iran Attack(抜粋)

--取材協力:Victoria Cavaliere、香月夏子、下土井京子、中丸諒太郎.

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最終更新:4/14(日) 18:24

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