「偉ぶる」ダメなリーダー、7つの見極めポイント 抑えたい大事なミッションはたった2つだけ

5/17 14:02 配信

東洋経済オンライン

新年度を機に、昇進してマネジメントを任されることになった人、初めて部下ができた人、無我夢中で約2カ月を過ごして、そろそろ「マネジメントって何をどうすることなんだろう?」「どうやら自分はリーダーに向いていないかもしれない」など、さまざまな疑問や葛藤を抱える時期ではないでしょうか。
本稿では、入社3年目から約20年にわたってリーダーとしてのキャリアを歩み続け、数々の修羅場をくぐり抜けてきた木部智之氏の最新刊『リーダー1年目のマネジメント大全』から一部を抜粋し、新米リーダーが最速で結果を出すための仕事術を3回にわたってお伝えします。今回は1回目です。

■いないとチームはまとまらない

 突然ですが質問です。「リーダー」とは一体何でしょうか? 

 リーダー、マネージャー、部長、課長、管理職など呼び方はいろいろありますが、役割は基本的に一緒です。組織やチームのトップとなる人のことをリーダーと呼びます。

 では、なぜリーダーが必要なのでしょうか。この問いに答えるためには、リーダーがいなかったらどうなるかを想像してみるといいでしょう。

 もしリーダーがいなければ、組織・チームの仕事はバラバラになってしまいます。

 メンバーが方向性や足並みを揃えずにそれぞれの仕事をしてしまい、やりたいことをやりたいようにやるでしょう。サボるメンバーも出てくるかもしれません。これでは組織・チームとして十分な成果を上げることはできません。

 リーダーは、チームに指針を示し、メンバーの力を束ねて、チームとしてのビジネス成果を出していかなければいけません。

 これは歴史を振り返ってみても明らかです。

 戦国時代の武将がまさにリーダーです。武将の指示によって兵が動き、声のかけ方1つで士気が高まったり、逆に落ちたりと、武将次第で戦の勝ち負けが決まるのが定石でした。ビジネスリーダーもこれと同じなのです。

■リーダーは会社から期待されている

 「マネジメントの父」とも呼ばれた有名な経営学者・社会学者、P.F.ドラッカーは、マネージャー(リーダー)を「組織の成果に責任を持つ者」と定義しました。

 こういわれても、リーダー1年目のあなたには、ピンとこないかもしれません。

 でも、安心してください。実は、私もそうでした。むしろ、リーダー1年目のときは、そんなことを考える余裕すらなかった、というのが正直なところです。

 あなたはすでに、十分優秀な人材です。あなたがリーダーに任命されたということは、あなたの能力と活躍に会社が期待しているということ。不安はあると思いますが、自分は期待されているのだということも、モチベーションにしていただければと思います。

 「組織の成果に責任を持つ」ために、リーダーがやるべき仕事は実にたくさんあります。しかし、ポイントは2つだけです。

 1つは、ビジネスの成果を最大化すること。リーダーには、与えられた予算やメンバー、時間といった限られた条件の中で、より大きなビジネス成果を上げることが求められます。

 もう1つは、人材育成。すなわち、チームメンバーを育成し、メンバーのスキルアップとキャリアップを実現するのです。

 この2つのミッションについて、もう少し詳しく解説しましょう。

 予算が潤沢にあり、優秀なメンバーも揃っている。だからといって、そのチームが大きな成果を上げるとは限りません。逆に、予算が少なく、メンバーの頭数とスキルが十分でなくても、的確な戦略があれば、大きな成果を上げることもできます。

 リーダーは、与えられた条件下で最大の成果を上げることがミッションです。条件が最良でも最悪でも、最大の成果をもたらすのは常にリーダーの「戦略と実行力」です。それはつまり、どんな結果になろうとも、環境のせいにはできないということです。

 ビジネスの成果とは、売上や利益だけを指すのではありません。新規サービスの立ち上げなども含まれます。管理部門であれば、社内サービスをトラブルなく、安定的に提供し続ける、というのもビジネスの成果になるでしょう。

 あなたの環境に置き換えて、自分たちの「ビジネスの成果」とは何だろうか?  と考えてみてください。

■キャリアと人生を預かる存在

 2つ目のミッションは、人を育てることです。

 組織やチームの成果を継続的に伸ばしていくためには、メンバーもレベルアップしていくことが必要です。メンバーが成長することなく、現状維持のままでビジネスを成長させていくことはできません。戦国武将が兵士を鍛えて、強い軍を作るのと同じです。

 しかし、ビジネスでリーダーがメンバーを育てないといけない理由は、もう1つあります。

 それは、リーダーがメンバーのキャリアと人生を預かる存在だからです。

 どのメンバーにも、キャリアと人生があり、リーダーはメンバーの未来に向けて、最良の道筋を作る責務があります。リーダーであるあなたは、メンバーのスキルを上げて仕事で成果を出すだけでなく、ステップアップをさせて給料も上げる。そうしてメンバーに 「人生がよりよくなる手助け」をしてほしいと思います。

 メンバーにとっては、配属された組織やアサインされたプロジェクトがキャリアアップの舞台です。配属されてから、このチームでは成長できないなぁ、他のチームで仕事をしている同期のほうが成長しているのでは……などと思わせないようにしなくてはいけません。それは、リーダーであるあなたの役目です。

 あなたの周りのリーダーを、思い浮かべてみてください。リーダーであることや役職の高さを「偉い」ことだと勘違いしている人が、何人か思い当たりませんか。

 「偉そう」にしている人の特徴として、次のようなものがあります。

① 自己中心的
② 「依頼」でなく「指図」をする
③ 威圧的
④ 批判的
⑤ 意見を聞かない
⑥ 横柄
⑦ 傲慢
 この特徴を見るだけでも、いい気持ちにはなりませんが、実際にこういう人と一緒に仕事をすると、不快な気分になります。

 不思議なのは、誰しもこうした「偉そう」な人と仕事をして嫌な気持ちになったことがあるはずなのに、いざ昇格すると、途端に「自分も偉くなった」と錯覚する人がいることです。

 あなたが優れたリーダーをめざすなら、ここで勘違いをしないようにしましょう。

 なぜなら 「偉そう」に振る舞うリーダーには、メンバーが意見を言いづらい、反論しづらい、報告しづらい、いちいちお伺いをたてないと物事が進まないなど、不毛なことが数多く発生するからです。

 この状況は、組織・チームとして健全ではありません。

 リーダーが「偉そう」にふんぞり返っている組織やチームには活気がなく、どんよりとした雰囲気が漂っています。

 私がこれまで見てきた素晴らしいリーダーたちは皆、偉そうに振る舞うことはありませんでした。放っておけばメンバーから「偉い人」という扱いを受けてしまうので、むしろ意識して、そういう空気を作らないように努めているようにも見えました。

 実際、そうしたリーダーが率いるチームは活気があり、高い成果を上げていたことを覚えています。

 リーダーが偉い、という環境を作るのではなく、リーダーを含めた組織やチームがフラットに働ける環境を作るのも、リーダーの重要な仕事の1つです。「偉そう」にすることには何のメリットもないどころか、むしろデメリットしかない、ということを肝に銘じておきましょう。

■仕事は「型」にはめられない

 リーダーの仕事は、理屈だけではうまくいかないことばかりです。いくら王道を知り、セオリー通りに実践しても、うまくいくとは限りません。

 なぜでしょうか。

 それは、リーダーの仕事が「人を相手にする仕事」だからです。

 十人十色という言葉があるように、人はそれぞれ違います。

 Aさんに対してはうまくいった接し方が、Bさんには効果的でない、ということもあります。また、先週のAさんはモチベーションが高かったけれど、今週はなぜか低く、何を言ってもネガティブに受け取られてしまう、ということもあります。

 互いの性格や相性の問題もあるでしょうし、その日、その時の気分に左右されることもあるでしょう。プライベートで深刻な問題を抱えていて、仕事に打ち込めないメンバーもいるかもしれません。

 つまり、「人と人」との接点の多いリーダーの仕事のすべてを、型にはめられるようなセオリーはないのです。

 これは、あなたがこの先リーダーとして仕事をする上で、非常に重要なポイントになります。これを頭に入れておかないと、うまくいかないときに凹んだり、不要なストレスを抱えることになります。

■相手を観察して対応を変えられるか

 では、大切なことは何かといえば、それは「相手をよく観察する」ということです。

 メンバー1人ひとりの性格やキャリア志向などを理解することはもちろんのこと、その日のコンディション、その時々の状況についても、じっくり観察するのです。

 観察力が高いリーダーは、メンバーの話し方や歩き方から、目力、服装に至るまで、しっかり見ています。ちょっとしたひと言から、メンバーの心理状態を推察したりもします。そうして変化を見ながらメンバーの様子をしっかりと捉えて、対応を変えているのです。

 あなたも、「なぜ、今日のAさんはきちんと動いてくれないんだろう」と悩むのではなく、「昨日のAさんと、今日のAさんではコンディションが違うようだ」という前提に立ち、その時々の状況に合わせたコミュニケーションを心がけましょう。

 相手が人間である以上、相性の問題やコンディション、感情の波もあることを理解しておくことが大切です。

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最終更新:5/17(金) 16:08

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