アサド大統領が出国、政権崩壊-反体制派が首都ダマスカス進攻
シリア国営放送は8日朝、「偉大なシリア革命の勝利と犯罪的なアサド体制の崩壊」を発表。その後でロシア外務省はアサド大統領が辞任すると決定し、シリアから出国したと声明で明らかにした。
シリアを長期にわたり支配してきたアサド政権の崩壊は、中東全体に衝撃を与えている。同国の主要支援国であるロシアとイランにとっては大きな打撃となりそうだ。
反体制派を主導する武装組織「シリア解放機構(HTS)」は、7日夜にダマスカスに進攻するとともに、ほぼ同時期に同市から北に約160キロ離れた要衝ホムスを制圧したと発表した。また、北部のトルコとの国境近隣地域や南部なども別の反体制組織が掌握した。
複数の報道では、ダマスカスのシリア国民はアサド政権の崩壊を祝っている。
HTS指導者のジャウラニ氏は、首都に駐留する全シリア政府軍に武装解除を呼び掛けるとともに、正式な政権移譲までジャラリ首相が職務にとどまると述べた。
ジャウラニ氏は中東の衛星テレビ、アルアラビーヤに対し、アサド氏の所在は分からないと語った。内戦を追跡調査する非政府組織(NGO)のシリア人権監視団によると、同氏はダマスカスから航空機で外国に逃れた。
アサド大統領(59)は2000年に父から最高権力者の地位を引き継いだ。ブルームバーグは7日、同氏が権力を維持しようと、米国とトランプ次期大統領への間接的な外交提案を含む土壇場の取り組みを行ったと報道。さらに、政府軍に対してダマスカスへの退却を命じ、反体制派にホムスを含む領土の大半を事実上明け渡すことも認めていたという。
トランプ氏はソーシャルメディアで、米国はシリア情勢に「一切関与すべきではない」と明言し、「これは我々の戦いではない。成り行きに任せよう。関与してはならない!」と主張。その後の投稿で、アサド氏は出国し、ロシアは「もはや同氏を守ることに関心がない」と指摘した。
来月で退任となるバイデン政権は介入する意思をほとんど示しておらず、米国はHTSの攻勢とは何の関係もないとの主張を繰り返している。
米国および、シリアと国境を接するイスラエルは、警戒しつつ事態を見守っている。両国にとってアサド氏は協力関係になく、米国はアサド政権に対して厳しい制裁を科している。一方、HTSは米国など西側諸国からテロ組織の指定を受けている。
イスラエルは8日朝、ゴラン高原の市民らを守るためシリア付近の緩衝地帯に軍を配備したと発表。シリア情勢の展開に関与はしていないと付け加えた。
原題:Syrian President Assad Toppled After Lightning Rebel Advance (1)(抜粋)
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最終更新:12/8(日) 21:55