【為替本日の注目点】ドル円は156円に乗せる

5/21 10:38 配信

サーチナ

 ドル円は続伸し156円台に乗せる。米金利が上昇し、総じてタカ派的だったFOMCメンバーの発言もドル高を後押し。ユーロドルは引き続き小動きの中1.08台で堅調に推移。株式市場はまちまちの展開の中、ハイテク株の多いナスダックが高値を更新。22日発表のエヌビディアの好決算を見込んだ買いがあったとの声も。債券は続落。長期金利は4.44%台に上昇。金は大幅に続伸し最高値を更新。原油は小幅安。

ドル/円 155.74 ~ 156.31
ユーロ/ドル 1.0854 ~ 1.0870
ユーロ/円 169.13 ~ 169.79
NYダウ -169.82 → 39,806.77ドル
GOLD +21.10 → 2,438.50ドル
WTI -0.26 → 79.80ドル
米10年国債 +0.024 → 4.443%

【本日の注目イベント】
豪 豪5月ウエストパック消費者信頼感指数
豪 RBA、金融政策会合議事要旨公表
欧 ユーロ圏3月貿易収支
欧 ユーロ圏3月経常収支
英 ベイリー・BOE総裁講演
米 バーキン・リッチモンド連銀総裁、歓迎の挨拶
米 ウィリアムズ・NY連銀総裁、開会の挨拶
米 ボスティック・アトランタ連銀総裁、歓迎の挨拶
米 ボストン連銀総裁とクリーブランド連銀総裁、パネル討論に参加
米 ウォラー・FRB理事講演
加 カナダ4月消費者物価指数

 底堅い動きが続いているドル円はNY時間に156円台に乗せ、156円31銭まで買われました。これで今回の大幅な下落分の「61.8%」戻しにあたる156円04銭をクリアしたことになります。ここから上値である157円~158円台では再び「介入警戒感」が出て来ることから、さらに上値を試すにはそれなりの支援材料が不可欠かと思われますが、介入がなければドルが買われる状況は続いており、「半値戻しは全値戻し」という格言が当てはまることになるかもしれません。

 昨日もFOMCメンバーの発言が多くありましたが、総じて利下げには慎重な内容の言葉が多く、ドル高をサポートする結果になっています。FRBのバー副議長は、「現行金利でインフレ率を2%に下げるには、なお時間が必要だ」と発言し、サンフランシスコ連銀のデーリー総裁も、「インフレ率が持続的に低下するとの確信はまだ得ていない」と述べ、ジェファーソンFRB副議長は、4月の消費者物価指数(CPI)を評価しながらも、インフレ緩和ペースに不満を示していました。これでリッチモンド連銀のバーキン総裁以外は、ほぼ全てのメンバーが利下げを実施出来る状況ではないとの見方で一致した印象です。6月のFOMCでの利下げの可能性はほぼ消滅し、7月にも会合がありますが、ここでの利下げの可能性もなさそうな印象です。早くて9月会合ということになりそうですが、その可能性を巡っては、恒例である「ジャクソンホール」でのパウエル議長の講演を待つことになりそうです。

 ICC(国際刑事裁判所)のケーン主任検察官は20日、戦争犯罪容疑でイスラエルのネタニヤフ首相とガラント国防相、それにイスラム組織ハマスのガザ地区指導者のシンワル氏の逮捕状を請求することを発表しました。カーン氏は声明で、ハマスによる昨年10月7日のイスラエル攻撃、ならびにイスラエルによるガザでの報復攻撃に関連する容疑だと説明しています。これに対してバイデン大統領は、「ICCの逮捕状請求は言語道断であり、イスラエルとハマスの間に同等のものは一切ない」と述べています。この言葉だけでは若干意味が不明かと思いますが、おそらくイスラエルの要人2人への逮捕状請求を批判しているものと思われます。気になったのは、この報道の画面の隅に、ブルームバーグはこの日バイデン大統領がホワイトハウスのローズガーデンで開催された「Jewish American Heritage Month」のイベントで挨拶を行っている映像を置いていました。ここにはユダヤ系アメリカ人が少なくとも100名以上参加しており、バイデン氏は米国におけるユダヤ系アメリカ人の功績をたたえていました。ハリス副大統領も参列しており、和気あいあいの状況が映し出されていました。これではネタニヤフ氏が強気の態度を変えるわけがありません。イスラエルに対する武器弾薬供与の全面停止など到底無理で、10億ドルにのぼる同国への追加支援も、うなずけるというものです。

 昨日台湾で行われた総統就任式で頼清徳氏は、「中国に対し、言葉や軍事による台湾への威嚇をやめ、台湾とともに台湾海峡と地域の平和と安定を維持する最大限の取り組みを行い、世界に対する責任を果たすよう求める」と演説し、「世界が戦争の恐怖から解放されるかどうかは、中国政府次第だ」と指摘しました。演説では特段中国に対する変化は見られず、現状維持という、これまで示してきた公約を改めて表明した格好でした。

 本日のドル円は155円30銭~156円80銭程度を予想します。

(執筆者:佐藤正和・外為オンライン 編集担当:サーチナ)(イメージ写真提供:123RF)

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最終更新:5/21(火) 10:40

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