パン「食べないぶんは即冷凍」が正解な納得の理由 クロワッサン、菓子パン、ベーグルはどうする?

5/26 10:02 配信

東洋経済オンライン

例えば、6枚切りの食パン1斤を買ったとき。翌日に3枚食べて半分残った場合、みなさんはどのように保管していますか? 
「冷凍食品専門家」「冷凍生活アドバイザー」として活動し、『いますぐ食べたい! 冷凍食品の本』や『冷凍王子の冷凍大全』などの著書のある“冷凍王子”こと西川剛史さんが、余りがちなパンのおすすめ冷凍法を紹介します。

■大敵は「乾燥」と「でんぷんの老化」

 余ったパンをそのまま放置していたら、パサパサ、ボソボソになっていた――。そんな経験ありますよね。

 実際、パンは含まれる水分量が多いため、乾燥し水分が飛ぶとおいしさを損ないやすい食品です。そのため、常温ではあまり日持ちしません。

 また、一般的なパンは小麦粉で作られているので、でんぷんが多く含まれています。でんぷんは水分を含むことで柔らかくなりますが、時間が経つにつれ、水分が抜けて硬くなります。簡単にいうとこれが「でんぷんの老化」で、老化が進むとパンのおいしさが損なわれます。

 さらに、常温保存の際にはパン特有の香りや風味も飛んでしまいます。

 また、でんぷんが最も老化しやすいのは0~5℃で、これはちょうど冷蔵庫内の温度帯。でんぷんの老化を進めてしまうため、冷蔵庫での保存もおすすめしません。

 パンを長期保存する場合は、冷凍が最もおいしさを保てるのです。

■食パンの冷凍&解凍テク

 みなさんが最も冷凍しているパンはおそらく「食パン」だと思いますので、まずは食パンの冷凍・解凍方法からご紹介します。

 パンの冷凍で何より大切なのは、買ってきたらすぐに冷凍すること。買った数日後に冷凍するのでは、もうその時点で常温保存により風味や味が落ちています。すぐに食べるぶんを分けたら、残りは買ってきたその日のうちに冷凍してしまいましょう。

 そして、商品の袋のままの冷凍はNG!  パンの冷凍において注意すべきは乾燥なので、手間はかかりますが1枚ずつラップに包み、それを冷凍用保存袋に入れて、口を閉じて冷凍庫へ入れます。

 パンのようにでんぷんの多い食品は基本的に冷凍に向きますが、食パンはパンの中では冷凍が苦手の部類に入ります。というのも、食パンはスライスした切り口が大きく水分が抜けて乾燥しやすいので、冷凍保存時に品質が低下しやすいのです。

 そのため、冷凍保存するときは、できるだけ空気に触れないようにぴっちりラップで包み、さらに冷凍用保存袋に入れるのが、おいしさを保つポイントになります。それでも食パンは霜がつきやすいので、保存期間は2~3週間以内が目安です。

 乾燥を防ぐという意味では、食パンはスライスしていない1斤丸ごと冷凍したほうがよいです。

 しかし、冷凍庫の保管スペースの問題や、冷凍のままだとカチカチで切ることができず、使い勝手が悪いといった問題があります。丸ごと冷凍したい場合は、最近、パン屋さんなどで見かけるミニ食パン1斤を1/2にカットして冷凍する程度が現実的でしょう。

 解凍は常温で、自然解凍したらトースターで焼きます。6枚切りくらいまでであれば、解凍せずそのまま焼いてもよいでしょう。一方、4枚切りなどは、外は焼けているのに中が凍ったまま、といった状態になりかねないので、自然解凍してから焼いてくださいね。

 電子レンジで解凍もできますが、温めすぎると水分が抜けたり、硬くなったりしてしまうので、10~20秒程度がおすすめ。パンを耐熱皿にのせ、はがしたラップをふんわり被せて加熱します。 

■食パンおすすめアレンジ冷凍

 食パンを冷凍するのに、1枚ずつラップを巻いて、保存袋に入れて……と、なかなか手間に感じますね。どうせ手間をかけるのなら、朝食やおやつにぴったりのアレンジトーストにして冷凍するのも1つの手です。

 食パンの上に具材をのせて冷凍しておけば、冷凍庫からさっと取り出して凍ったまま焼くだけで、栄養バランスもよく時短にもなる1品ができます。

 筆者おすすめのレシピを2つ紹介しましょう。

 【冷凍ピザトースト(材料1人分)】
食パン(6枚切り) 1枚
ウインナー 1本
ピーマン 1/4個
市販のピザソース 大さじ1
ピザ用チーズ 20グラム

 【作り方】
食パンにピザソースを塗り、3ミリ幅の斜め切りにしたウインナー、2ミリの輪切りにしたピーマン、ピザ用チーズの順に重ねて広げます。これをラップでしっかり包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。

 【解凍&焼き方】
オーブントースターにアルミホイルを敷き、凍ったままの食パンをのせ、予熱なしで約8分焼けばできあがり。

 パンの耳がカリっと、チーズもほどよく溶けて、まさに王道のピザトーストです。トースターによって火力が異なるので、最初は様子を見ながら焼いてみてください。凍ったまま焼くので、食パンは6枚切りがおすすめ。具材ものせすぎないのがポイントです。食材とソースを変えれば、アレンジも自在です! 

 【バナナクリームチーズトースト(材料1人分)】
食パン(6枚切り) 1枚
バナナ 1/2本
クリームチーズ 15グラム
グラニュー糖 5グラム

 【作り方】
室温に戻して柔らかく(または電子レンジで5秒ほど加熱)したクリームチーズを食パンに塗り、2ミリ幅の輪切りにしたバナナを並べて、グラニュー糖を全体にふりかけます。これをラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。

 【解凍&焼き方】
ピザトーストと同じです。バナナを冷凍マンゴーなどに変えてもおいしいです。

 食パン以外のパンの冷凍保存法についても、ご紹介しましょう。

 筆者が最も冷凍向きで、冷凍保存中においしさを保ちやすいと思うパンはベーグルです。外側にある薄皮がコーティングの役割をするので、冷凍保存中でも水分が抜けにくく、おいしさをキープしやすいのです。

 ベリーやナッツの入ったものも、そのまま冷凍できます。

 解凍するだけで、もちもちとおいしく食べられるので、手軽なのもうれしいですね。

■フランスパン、クロワッサンは? 

 フランスパン、ロールパン、クロワッサンも冷凍できます。

 フランスパンは食べやすい厚さにスライスして、ラップで1切れずつ包んで、ロールパンとクロワッサンはまるごとラップで包んで、いずれも冷凍用保存袋に入れて冷凍します。

 クロワッサンは冷凍保存中に崩れやすく、生地のパリパリ感の再現がやや難しいことが弱点です。

 いずれも自然解凍か電子レンジ解凍後にそのまま食べるか、もしくはトースターで焼いてから食べましょう。厚みのあるパンはしっかり解凍してから焼かないと、焼きムラが出やすくなります。

 実は菓子パン、マフィンなども冷凍できます。まるごとラップで包み、冷凍用保存袋に入れて冷凍します。

 筆者のおすすめは、菓子パンを凍ったまま食べること!  

 これらは糖分が多いので冷凍してもカチカチにならず、凍ったまま食べてもしっとりした食感をキープできます。

 あんパンはあんこが小豆アイスのように、クリームパンはカスタードがシューアイスのように、チーズ蒸しパンはチーズケーキのような感じになり、新感覚のスイーツとして楽しめます。もちろん、解凍して食べてもOKです。

 惣菜パンは冷凍が難しいですが、カレーパンは電子レンジで解凍し、トースターで焼くことでおいしく食べられます。そのほかは、具を長期間冷凍できるのかという懸念や、パンと具の解凍時間や解凍方法に差が出てうまく解凍できないことが多いため、おすすめできません。

■市販の冷凍パンも人気! 

 焼き上げた後のパンを冷凍した商品「焼成済み冷凍パン」も人気です。

 工場では焼きたてを急速凍結するため、おいしさを閉じ込めたまま冷凍できます。トースターで温めるだけで、焼きたてのような風味と味が再現できるのが魅力です。

 一方、「焼成前冷凍パン」は焼く前の生地の状態で冷凍されており、こちらはご自宅のオーブンで焼き上げます。オーブンで焼く手間はかかりますが、家庭で本格的な焼きたてパンが味わえます。

 筆者のおすすめは「Pan&(パンド)」の焼成済み冷凍パン。小麦の風味や香りが存分に楽しめる「ナチュール」や、濃厚なバターの風味とパリパリ食感がたまらない「至福のクロワッサン」、まろやかな塩味とバターのコクがおいしい「メルティ塩バターパン」など、種類も豊富です。

 ほかにもさまざまなメーカーから、冷凍パンが販売されています。ストックしておけば、好きなときに自宅で、焼きたてのようなおいしいパンが楽しめます。ぜひお気に入りを見つけてみてはいかがでしょうか。

 (構成/田中絢子)

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最終更新:6/5(水) 10:42

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