日ハム本拠地になって賑わう北広島市、駅前再開発で街が大きく変わる?《楽待新聞》

5/26 19:00 配信

不動産投資の楽待

北海道中部に位置し、札幌市に隣接する北広島市。以前から札幌市のベッドタウンとして機能してきた北広島市だが、北海道日本ハムファイターズの本拠地である新球場「エスコンフィールドHOKKAIDO」が2023年に開業したことで、街の様相は大きく変わりつつある。

新球場を擁する「北海道ボールパークFビレッジ」には、他にも商業施設やキッズパーク、農業学習施設、住居エリアなどもあり、まさに新たな街として市内での存在感を強めている。

そんな北広島市への玄関口、JR千歳線の北広島駅前では、現在再開発が進められている。この記事では、再開発と北海道ボールパークFビレッジ誕生により変容しつつある北広島駅周辺エリアについて紹介する。

■集客力が大きく伸びた北広島市

北広島市は北海道中部、石狩地方に属する。少しややこしい街名のルーツは、1884年に広島からの入植者が移り住み、後に「広島村」を名乗ったことに始まる。1968年には広島町となり、1996年の市制施行により北広島市となった。

北海道の玄関口である新千歳空港と札幌市の間に位置し、交通利便性に優れた立地で比較的土地にゆとりがあることから、札幌市のベッドタウンとして発展してきた。人口は2024年4月末時点で5万6746人だ。

2023年には、プロ野球チーム北海道日本ハムファイターズの本拠地「エスコンフィールドHOKKAIDO」を擁する「北海道ボールパークFビレッジ」が誕生したことで注目を集めている(それ以前は札幌市内にある札幌ドームが球団本拠地だった)。

北広島市内に存在する唯一の駅が、JR千歳線の北広島駅である。1926年の開業時は自治体名が「広島村」であったが、広島県にある広島駅と区別するために「北広島駅」と名付けられたようだ。

新千歳空港と札幌を結ぶ快速「エアポート」の停車駅であり、札幌駅まで最短16分、新千歳空港駅まで最短20分でアクセスできる。

また、北広島駅構内には「エルフィンパーク市民サービスコーナー」という市役所の出先機関があり、住民票や戸籍謄抄本、各種証明書の交付などを受けられる。

現在は北広島市の玄関口として、また北海道ボールパークFビレッジの最寄り駅として、地元民のほか野球ファンや観光客にも利用されている。

市の統計情報によれば、2022年における駅の1日当たりの乗車人員は6632人。年間総数では242万1000人にのぼる。現時点では未発表だが、北海道ボールパークFビレッジがオープンした2023年以降、利用者数が増加していると考えられる。

■駅前に複合ビル、タワーマンションを整備

市は、北広島駅前エリアにおける子育て世代の定住促進や交流人口の増加を目指し、「北広島駅西口活性化計画」として市有地A・B・C・Dの4区画を選定している。

株式会社日本エスコンが2021年3月に市とパートナー協定を締結し、官民連携により再開発が進められている。

北広島駅西口に面した市有地Aでは、2025年春開業予定の複合ビルが建設されている。複合ビルは駅前広場やシャトルバス乗り場に隣接し、歩行者デッキで北広島駅に直結する。

低層部分は日本エスコンが運営する商業施設「tonarie(トナリエ)北広島」が開業し、高層部分はホテルになるとされている。ホテルは全158室の規模と発表されているが、事業者はまだ明らかにされていない。

トナリエ北広島では、野菜などを販売するマルシェや、さまざまな物販、フードホール、美容サロンやクリニックが入居する計画だ。観光客や球場を訪れる人だけでなく、地元住民向けのテナントも多く入居しそうだ。

市有地Bでは、新築分譲マンション「レ・ジェイド北海道北広島」の建設が計画されている。駅徒歩4分の立地に、地上14階建て・197戸のタワーマンションが整備される。2026年9月の竣工予定だ。

2024年5月現在、まだ着工はしていないが、間取りは1LDK~4LDKまでと幅広く、建物1階には認可保育所も設置される予定だという。隣接する「北広公園」も合わせて整備される計画があり、周辺は大きく様変わりしそうだ。

また、北広島駅前エリアでは、自転車の利用が推進されている。以前から北広島駅を起点に札幌市内まで続くサイクルロード「エルフィンロード」が整備されており、休日を中心にサイクリングを楽しむ人々が集まっている。

2024年5月には、北広島駅前にシェアサイクルのポートが設置された。北海道ボールパークFビレッジにも同様のポートがあるため、北広島駅からの距離が問題にされがちな北海道ボールパークFビレッジまでシェアサイクルを利用してアクセスできるようになった。

車社会の北海道において、鉄道と自転車を活用する暮らしが浸透していくかもしれない。

■新駅構想、大学キャンパス開設も

駅前の再開発の他に街を大きく変えそうな要素が、JR千歳線の新駅構想である。

プロ野球の試合を見ようと、公共交通機関を利用して球場へ向かう場合、現在は球場から約2.5キロメートル離れた北広島駅が最寄り駅となっている。徒歩では20分ほどかかるため、駅からシャトルバスを利用するのが一般的だが、乗客が集中する試合終了後は駅へ戻るバスになかなか乗れないとの指摘がある。

そこでJR北海道は、北海道ボールパークFビレッジにより近い位置に千歳線の新駅を開設することを計画している。2023年9月のプレスリリースによれば、北広島駅から約2キロメートル、球場から約300メートルの位置に新駅を設置するとしている。

工事着工時期は未定であるものの、設計や行政手続きに約1年、工事期間は約4年と発表されているのを見ると、どんなに早くても2029年以降の開業になると思われる。

北広島駅西口活性化計画における市有地C・Dは新駅予定地に近く、分譲住宅の建設が想定されている。新駅の動向は野球ファンのほか、不動産市況の面でも注目を集めそうだ。

また、市内では新たな官民学の連携も進んでいる。2023年10月、札幌市と石狩郡当別町にキャンパスを持つ北海道医療大学が、北海道ボールパークFビレッジに新キャンパスの設置計画を発表し、北海道内では大きなニュースとなった。

北広島市、株式会社ファイターズスポーツ&エンターテイメント、北海道医療大学の3者による「共同まちづくりに関する基本合意」が締結されており、2028年4月の新キャンパス開設を目指して連携していくという。

新キャンパスの開設後には、学生をはじめとする大学関係者向け賃貸物件の需要も増えると考えられる。

JR北広島駅前の再開発のほか、新駅構想や北海道医療大学の新キャンパス開設により、北広島市は今後さらに大きく変容していくと考えられる。街と不動産市況の変化にこれからも注目していきたい。

羽田さえ/楽待新聞編集部

不動産投資の楽待

関連ニュース

最終更新:5/26(日) 19:00

不動産投資の楽待

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング