中国鉄鋼最大手、豪州の大型「鉄鉱山」が操業開始 宝武鋼鉄集団がリオティントとの合弁で開発
英豪資源大手のリオティントと中国の鉄鋼最大手の宝武鋼鉄集団は6月6日、両社が共同開発したオーストラリアの大規模鉄鉱山「ウエスタン・レンジ」が本格操業を開始したと発表した。
同鉱山は世界最大級の鉄鉱石産地である西オーストラリア州のピルバラ地域にある。オーストラリアで中国企業との合弁事業による大規模鉄鉱山が新規稼働するのは、実に20年ぶりだ。
■「中豪経済協力のお手本」
「ウエスタン・レンジが成功裏に稼働したことは、中国とオーストラリアの資源開発協力におけるマイルストーンであり、両国の経済貿易協力のお手本だ」。宝武鋼鉄集団の胡望明・董事長(会長に相当)は、操業開始式典でそう強調した。
リオティントと宝武鋼鉄集団の協業の歴史は20年を超える。両社は2002年に合弁会社を設立し、ピルバラ地域のハマーズリー山脈の東側に位置する「イースタン・レンジ」鉄鉱山を共同開発した。今回稼働したウエスタン・レンジ鉄鉱山は、山脈を挟んだ西側にある。
2つの鉄鉱山開発プロジェクトへの出資比率は、リオティントが54%、宝武鋼鉄集団が46%となっている。なお、現地での鉱山施設の建設や採掘業務はリオティントが担当している。
ウエスタン・レンジ鉄鉱山の年間生産能力は2500万トン、総投資額は20億ドル(約2887億円)に上る。建設工事は2023年3月に始まり、2年後の2025年3月末には鉄鉱石の初回ロットの搬出にこぎ着けた。
同鉱山は(操業に不可欠な)インフラの一部をイースタン・レンジ鉄鉱山と共用できるため、短期間でのスピード開発が実現した格好だ。
オーストラリアにおける大規模鉄鉱山の中豪共同開発は、ウエスタン・レンジの前は2005年に稼働した「ウィーララ・ジョイントベンチャー」が最後だった。
このプロジェクトは、オーストラリア資源大手のBHPグループがピルバラ地域に保有するジンブルバー鉄鉱山を共同開発したもので、中国の鉄鋼大手4社が合計40%を出資(訳注:BHPグループの出資比率は51%)。年間約1200万トンの鉄鉱石を生産している。
■リオティントの最大顧客
今回稼働したウエスタン・レンジ鉄鉱山において、宝武鋼鉄集団は2022年に締結した調達契約に基づき、年間約1150万トンの鉄鉱石を市場価格で購入する権益を持つ。
同社が中国国外での大規模鉄山開発に参画する狙いは、鉄鋼製品の原材料である鉄鉱石の安定供給を確保することにほかならない。
リオティントのヤコブ・スタウショーンCEO(最高経営責任者)は、ウエスタン・レンジ鉄鉱山の操業開始式典で次のように述べた。
「わが社にとって宝武鋼鉄集団は世界最大の顧客だ。両社の(良好な)協業関係により、宝武鋼鉄集団はピルバラ地域のリオティントの鉄鉱山から安定的かつ優先的な供給を享受できる」
(財新記者:羅国平)
※原文の配信は6月7日
東洋経済オンライン
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最終更新:6/23(月) 16:02