北海道・旭川にタワマンが建設中、現場を不動産鑑定士が見てきた《楽待新聞》

2/28 19:00 配信

不動産投資の楽待

「えっ、旭川市にタワマン?」

旭川で初のタワーマンションが建設されている、というニュースを聞いたとき、正直、驚きを隠せませんでした。しかも最上階・156平米の部屋は、なんと3億5000万円で成約済みだというのです。

筆者はこれまで、不動産鑑定士として3度ほど旭川市を訪れていましたが、タワーマンションが建つ街、というイメージがなかったのです。

実際、旭川は、札幌から140キロメートル近く離れた地方都市。車で約2時間、JRの特急を利用しても1時間25分ほどかかります。

これはぜひ現地を見てみなければ…ということで、不動産鑑定の仕事の合間に、現地に立ち寄ってみることにしました。

■駅徒歩5分の場所に建設中

現在建設中のそのタワーマンションは「プレミスト旭川・ザ・タワー」と言います。開発は大和ハウス工業です。

調べたところ、JR旭川駅から徒歩5分程度の場所にあるようでした。

ちなみに旭川市の中心に位置するJR旭川駅は、旭川空港からバスで数十分の位置にあります。東京を朝早くに出発しても、どうしても昼くらいの到着になります。筆者も、1月9日の昼頃に着きました。

凍結した道路を滑らないように気を付けながら駅の北西側に向かうと、ほどなく建築中の高い建物が見えます。これが「プレミスト旭川・ザ・タワー」であることは一目瞭然でした。

「プレミスト旭川・ザ・タワー」のサイトを見てみると、「全151邸・地上25階建」とあり、1月の時点では2LDK63.1平米で3590万円、3LDK72.49平米で3990万円の募集がかかっています(編集部注:2月15日時点では、63.1平米が3490万円、72.49平米が3890万円に更新)。

もちろん、これは募集価格であって成約価格ではない点は考慮すべきですが、正直なところ、札幌ならともかく旭川で、賃貸マンションではなく分譲マンションが売り出されている…という点に驚きを禁じえませんでした。

気になったので、国土交通省の不動産取引価格情報を見てみました。

すると、もちろん中古物件ですが他にも分譲マンションはあるようで、最近2年間で最高額のもので「旭川市宮下通(旭川駅徒歩6分)・平成17年(2005年)新築・165平米」が3000万円、次に高額のものだと「旭川市6条通(旭川駅徒歩20分)・平成18年(2006年)新築・100平米」が2800万円で成約していました。

通常は、分譲マンションは首都圏や京阪神、名古屋圏、福岡圏、札幌圏のような大都市圏のものである、という印象があると思います。

その点、旭川市は北海道第2の都市とはいえ、人口は約32万人程度。他の地方都市で言えば、福島県福島市や高知県高知市と同程度です。

■立地の便利さに驚いた

筆者は別に分譲業者の回し者ではありませんが、「プレミスト旭川・ザ・タワー」の立地は、地方都市の所在のという点を除けば申し分ないとも思いました。

と、言いますのも、旭川市の買い物に便利な、その名も「買物公園」という歩行者専用道路に南東側で面しており、その歩行者専用道路を歩けば徒歩5分でJR旭川駅に直結します。

JR旭川駅からJR札幌駅までは特急「カムイ」「ライラック」で1時間25分で、しかも色々な往復割引切符が設定されていますので、札幌へも一定の利便性が確保されています。

また、空港へのバスもJR旭川駅前のバス停から乗れますので、運賃の問題を別にすれば全国各地にもアクセスしやすいと言えます。そのうえで、買物公園をJR線の線路の方向に向かうとショッピングモールがあり、日用品はあらかたここで揃います。

しかも、ショッピングモールは駅に直結していますので、「プレミスト旭川・ザ・タワー」からショッピングモールまでの100メートル程度を我慢すれば、冬でも快適な温かい空間で移動ができます。

もちろん、例えば教育環境、野球観戦やコンサートなどの各種のイベント参戦、大都市との友人との懇親等は一部、大都市よりやや不利な場合もあるかもしれませんが、地方都市の立地としては抜群と思いました。

なお、「プレミスト旭川・ザ・タワー」は現在、建築中ですが、以前は何があったのかと調べたら、スーパーマーケットチェーンの「長崎屋」でした。

もっとも、「長崎屋」はだいぶ前に郊外に移転したようで、その後は「エクス」という商業ビルに転じたものの、空き店舗が目立つビルになっていた様子です。

建物自体の老朽化の問題もあり、解体されたあと、「プレミスト旭川・ザ・タワー」の敷地として再生するところ…というのが現状のようです。

■東京から旭川へのアクセスは便利になっている

実は今回、筆者は成田からLCC(格安航空会社)を利用して飛んできました。正月に羽田空港で飛行機の事故があったので、その影響を懸念して成田を選んだわけです。

筆者も知らなかったのですが、このLCCの就航は旭川市も協力的であるようで、比較的廉価に首都圏から旭川に移動ができるようになったと言えます。

言い換えれば、旭川であっても駅前であれば、極端な話、首都圏の不便なところよりもよほど東京にアクセスしやすくなりつつあるともいえます。

本当は、駅前の一等地で店舗ではなく住宅にしたら繁華性の面で適切か…という面もあるのですが、「地方であっても、一定の利便性があれば、まだまだ生き生きとした不動産はつくれる」という点は新しい気づきになりました。

実際、旭川市の駅からそれほど遠くない住宅地の令和5年(2023年)の公示地の一部には、地価が上昇にある地点も見られます。また、商業地も横ばいの地点が多く見られます。地方でも一定の住環境や利便性がそろえば、まだまだ捨てたものではないとの証佐とも言えるでしょう。

■不動産の賃貸について、思うこと

地方であっても一定の利便性があれば、まだまだ生き生きとした不動産はつくれる、と先に述べました。

言い換えれば、地方の住宅の場合は、生活利便性がより重要とも言えるのではないかと思います。

例えば東京23区や大阪市内、名古屋市内などであれば、店舗もたくさんありますし、駅から電車に乗れば新宿や渋谷、あるいは梅田や難波、栄といった大規模店舗のある商業地に気軽にアクセスできます。

一方、多くの地方都市には、ここまでのアクセス性はありません。その点「プレミスト旭川・ザ・タワー」は、地方都市の所在にしては、大都市に近い水準で、便利な場所への「気軽なアクセス」が可能だと思います。

地方では昔からの商店街が廃れる場合も見られるものの、ショッピングモールで色々なものがそろう時代にもなっています。

さらに、自治体の「利便性向上へのやる気」もカギになると思います。それが気軽なアクセスの向上の一助にもなるのですから。逆に言えばこれからの時代、賃貸物件も、そうしたことがより重視されるのではないかと思うのです。

住宅の賃貸をする際、あるいは集合住宅の価値を判定する際はもちろん、将来についても可能な範囲で将来予測をし、諸々の意思決定をする必要があります。

その際、利便性その他に起因する「気軽なアクセス」という言葉をキーワードにすると、より適切な意思決定ができるのでは…と、今回の「プレミスト旭川・ザ・タワー」を見て、つくづく感じました。読者の皆様はいかがでしょうか。

不動産投資の楽待

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最終更新:2/28(水) 19:00

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