「人間の悩みは、全て対人関係の悩みである」 と心理学者のアドラーが考えたように、ほぼ全ての人が人間関係で悩んだ経験があるはず。
最新刊『おもしろい人が無意識にしている 神雑談力』では、元芸人である中北朋宏氏がこれまでの経験やお笑い芸人として培った技術を駆使した「人を動かすコミュニケーション術」を網羅。
これ1冊で「仕事の人間関係全て大丈夫」という1冊になっている。
以下では、その中北氏が「レベルアップするためにオススメの1冊」を紹介します。
■社会人未経験を最速でレベルアップさせる
4月になりました。
右も左もわからない社会人生活で不安を覚える人も多いかと思います。
また新たな業界への転職で、一刻も早く業界に慣れたいという人もいるでしょう。
今回は、芸人の転職支援事業をしている私が、新入社員・業界未経験者を最短でビジネス脳にするためにお勧めしている1冊をご紹介します。
まずその前に、私がなぜこの「1冊」を勧めているかの背景についてお伝えします。
私が経営する株式会社俺では、お笑い芸人からの転職支援「芸人ネクスト」という事業を展開しています。
どのような事業かというと、お笑い芸人のセカンドキャリアの支援をメインとした事業です。
お笑い芸人として人気が出て劇場やテレビの世界で活躍する人は、ほんの一握りです。
中には途中で挫折し、お笑い芸人とは違う道を選ぶことになります。
その際に、次のキャリア探しをサポートするのが弊社の役割になります。
お笑い芸人という夢を諦めたばかりの彼らの状態をお話しすると「転職するにもどうすればいいかわからない」「どんな職業があるかわからない」など、スーツも漫才でしか着たことなく、加えて「面白いこと」だけを考えてきており世の中になんの業界・業種があるのかを理解していない状態です。
■社会に対するズレた認識を修正する
なかには「非常に優秀ですぐ就職先が決まる」方もいらっしゃいますが、それはほんの一部です。
例えば、どれくらい世の中の仕事について理解していないかというと、
・「中華屋のホールとして働いているが就職するためには資格が必要だと思い込んでおり、使う機会がまったくないファイナンシャルプランナーの資格だけを持っている」
・「仕事=営業だと思い込んでおり、営業=大変でありパワハラされるに決まっていると考えている」
など、かなり社会人の感覚とズレている人が多いです。
そこで、私がお勧めしているのは『業界地図』(東洋経済新報社)を読むこと。
株式会社俺では社会人経験ゼロ、仕事の経験ゼロの人に一刻も早く社会人としての感覚を養うため、『業界地図』を課題図書として読んでもらうようにしています。
おそらく学生時代の就職活動や、転職活動の際に、少し読んだこともあろうかと思います。
確かに就活本のイメージもあり、よっぽどの目的がない限り新聞や雑誌のように普段から手にとるようなものではないという認識が多くの方にあるのではないかと思います。
ただ、ぜひお伝えしたいのは、新聞やビジネス雑誌で情報を収集するよりも、はるかに効率的に業界のことが理解できる優れた書籍であるということです。
例えば、就職活動や転職活動以外にも、営業であればお客様の業界の動向や業界キーワード、ビジネスモデルに至るまでまとめられており簡単に把握することが可能です。
■絶対に読むべき4つの項目
具体的に、どのような項目を重点的に把握してもらうかというと4つあります。
① 業界天気予報
『業界地図』では、わかりやすく業界の今後について「快晴」~「大雨」まで6つの天気に分けて予想しています。
例えば、お笑い芸人の方々が何も知識がない中で「大雨」と予想されている業界に入社したとします。
3年間彼らが頑張ったとしても、業界自体が縮小傾向にあるため給料も思うように上がる可能性が低く、身につけたスキルも価値が目減りしてしまうリスクを伴います。
そのため、業界天気予報を転職する企業を選ぶ一つの基準として考えてもらっています。
② 儲けの仕組み
正直な話、「この会社は聞いたことあるが、一体どうやって儲けているんだろう」と理解しにくい複雑なビジネスモデルが存在しています。
それを図解してあり、わかりやすく理解することが可能です。
これがなぜ重要かというと、面接などをする際にビジネスモデルをまったく理解せずに挑んだとしても、質問の回答がどうしても薄っぺらくなってしまうため、どうやって儲けているのかを理解する必要があります。
③ 業界の有力企業/業界規模
各業界には、耳にしたことがある企業以外にも素晴らしい企業が数多くあることを理解してもらうことで、就職のイメージを持ってもらっています。
また、営業は業界によってその規模がまったく異なるため、お客様の業界規模などを把握するためにも使えます。
④ 平均年収/平均年齢
お笑い芸人を辞めた中には、夢諦めたけど人生諦めていない人も多くいます。
「次こそは、稼ぎたい!」と心に決めている方も多くいます。
しかし、業界によってその思いを達成できるか否かが異なります。
そのため、平均年収を確認しておくことで自分の希望する年収に届く可能性があるかを理解することができます。
■新人から起業する人まで役に立つ
上記のようなことを確認するだけでも、就職活動や就職活動はスムーズに進みます。
また、お笑い芸人の方々は目指す夢がなくなったこともあり「やりたいことがない……」と悩まれている方も多くいます。もちろん、社会人の中にも「やりたいことがない……」という話を数多くお伺いします。
そこで、改めて世の中には「どんな業界」「どんな業種」があり、「どこが伸びているのか」などを知るだけでも選択肢の幅は広がりますし、「ここは選ばなくてもいい……」と選択肢を絞ることにもつながります。
私も、お笑い芸人という夢を諦めて途方に暮れているときに、たまたま13年前に手にした書籍が『「会社四季報」 業界地図』でした。
そこから自分が行きたい業界を絞る際の参考となり、今の株式会社俺を起業するまでに至っています。
まさか、そこから『「会社四季報」 業界地図』を発行している会社から書籍を出すことになるとは思いもよりませんでした。本当に不思議な縁です。
ぜひ、一度読んでみてください。
東洋経済オンライン
最終更新:4/17(水) 8:02
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