よくある出会いを「思わぬ幸運」に繋げる会話術 「無難な自己紹介」がチャンスを遠ざけている
あなたは誰かから、自分にはおよそ縁のなさそうな新たな仕事を紹介されたことはないだろうか。
■オープンな姿勢がチャンスを生み出す
その時点では、「今の仕事に満足しているし、新しい分野で新しい仕事に就く気などまったくない」と思ったかもしれない。
だが数週間後、人生に変化が訪れ、何か新しいものにチャレンジしてみようかという気分になったとしよう。そこで例の会話を思い出し、あの時の仕事こそまさに自分が求めているものだと気づく。
もし、その話をしたディナーの席で、あなたが相手の話に耳を傾けていなかったらどうだろう。
「自分には関係のないこと」だと聞き流し、目の前のラザニアには何が入っているのだろうなどと考えていたら、そのチャンスを逃していたかもしれない。
好奇心、そしてそれ以上に、自分が求めていない情報や出来事に対してオープンな姿勢でいることは、セレンディピティを経験する可能性を劇的に高める。
そしてもし、ディナーの時点で、自分に正しい問いを投げかけることができていれば、もっと早く気づきを得られたかもしれない。
たとえばこんな問いだ。
「なぜこの人はこの仕事が自分に合うと思うのだろう」
「自分では気づいていなかったけれど、今の仕事に問題あるいは不満があることを、相手は気づいていたのだろうか」
参加したイベントで退屈な相手に話しかけてしまい、つかまったと文句を言う人はあまりに多い。
そして、相手が「実のある話」をしなかった、自分と何ひとつ共通点はなかった、などと言うのだ。
だが相手にダメ出しをする前に、会話をもっと刺激的なものに変えるかもしれない質問をしてみるのはどうだろうか。
一見退屈でどうでもいいような会話も、正しい問いを投げかけることで一変する場合もある。
■つまらない会話を変える「正しい問いかけ」
ここ15年、私はグローバルなネットワーク作りや各地のコミュニティのために、世界中で何百回と夕食会を開いてきた。
そうした場面では、参加者に心を開いてもらうため、自己紹介の質問に工夫を凝らす。
というのも刺激的な会話は通常、参加者が本当の自分を見せても良いのだと感じたときに生まれるからだ。
安心できる環境で、本当の自分、そして「なりたい自分」を見せられることが重要なのだ。
今向き合っている課題について話してみる
会話の糸口として有効な方法の1つは、自己紹介のときに仕事上の肩書ではなく、現在の心境、ワクワクすること、今直面している課題について語ってもらうことだ。
参加者が「今、こんなふうに自分を変えようとしていて……」と語り始めると、たいてい、今同じような課題に直面している、あるいは同じような目標に向けて努力しているという人が出てくる。
こんな具合にさまざまな経験が共有され、交錯することで、新たな発想や解決策、ときには新たな課題が見つかる。
それぞれが人生で直面している重要な問題について語り合うと、所属する業界や文化がまるで違っても、互いに多くの共通点があることに気づかされる。
「本当に? すごい偶然だ。私も同じような問題でずっと悩んできたんだ」という発言がたくさん出てくる。
「愛する人を失って途方に暮れている」と打ち明ければ、おそらく同じようにつらい経験をしたことを話し、解決のヒントを与えてくれる人がいるだろう。
人生を立て直すのに役立ったスピリチュアルな習慣、あるいは有能なカウンセラーを紹介してくれるかもしれない。すばらしい偶然ではないか。
誰もが自分の悩みは自分に固有のものだと思っている。
だが実際には、自分とは全然違うと思っていた人とも多くの共通点がある。
点と点がつながりやすいような会話を仕掛ければ、セレンディピティが起こる可能性は高まる。
■会話を生み出すスキルは習得できる
セレンディピティが誰かの人生を大きく変えるのは、その人が心から大切に思っているテーマで点と点がつながったときだ。
初対面の相手に「何の仕事をしているのですか」と尋ねるのは、相手が自らについて語る余地を大きく狭めてしまう。
相手は狭い箱に閉じ込められてしまったような気分になるかもしれない。話がつまらなくなるのも当然だろう。
それよりも、何にやりがいを感じているかを相手が語り出せるような、オープンな質問のほうがずっといい。
「お仕事は?」といった表面的事実を尋ねるのではなく、その背後にある理由、動機、課題などを尋ねる質問を選ぶことで、興味深い話題や予想外のつながりを発見できる可能性は高くなる。
もしあなたが「何の仕事をしているのですか」という質問をされたら、予想外の返答をしてみたらどうだろう。
「現実的な答えと哲学的な答え、どちらをお好みですか?」とか(言うまでもないが、両パターンの答えを用意しておいたほうがいい)。
あなたがセレンディピティの起こるチャンスを広げたいなら、生き生きとした会話を生み出す能力はとても大切だ。しかもそれは習得可能なスキルなのだ。
東洋経済オンライン
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最終更新:11/30(土) 10:02