お高めだけど、すこぶるオシャレな気持ちになれる DEAN&DELUCAの「987円モーニング」に仰天の朝

3/2 5:02 配信

東洋経済オンライン

喫茶店やレストランが、朝の時間帯にドリンクやトーストなどのメニューを割安価格で提供するモーニングサービス。名古屋の喫茶店が始めた文化とされていますが、最近では大手外食チェーンも数多く提供しています。
そんなチェーン店の外食モーニングをこよなく愛するライター・ブロガー、大木奈ハル子さんがお届けする本連載。第66回となる今回、訪れたのは「DEAN & DELUCA(ディーン・アンド・デルーカ)」です。
 ひそかに飲食チェーンがしのぎを削っているジャンル、それがモーニングです。集客の弱い時間帯である午前中の売り上げを強化すべく、朝の数時間だけ提供される限定メニューの数々は、コスパ抜群かつ店の特色が強く表れ、どれも魅力にあふれています。

 今回ご紹介するのは、食品のセレクトショップ「ディーン・アンド・デルーカ」の朝限定メニューです。日本全国にある約50店舗のうち半数以上の店舗で実施している割には、あまり知られていないのではないでしょうか? 

■ディーン・アンド・デルーカは食品のセレクトショップ

 「ディーン・アンド・デルーカ」は、ショッピングトートや食器などのキッチン雑貨、輸入食品に、パン、ケーキ、デリカテッセンなどを取り扱っているお店で、多くのお店では飲食ブースも併設しています。食品全般のセレクトショップと言うとわかりやすいかもしれません。

 店内の棚にずらりと並ぶ、輸入クッキー缶の愛らしさや、瓶入りのジャムやソースの洗練されたパッケージデザインは、眺めるだけで心が弾みます。

 オリジナルのロゴがプリントされたマグカップやコンテナなどは、シンプルながら洗練されたデザインで、なんとも所有欲をそそるもの。ちょっぴりお値段はお高めの設定ながら、確かな品質と、出せないほどではない絶妙な価格設定は、多くのファンを生み出し続けています。

■ディーン・アンド・デルーカのモーニングメニューは3種類

「ディーン・アンド・デルーカ」の朝限定メニュー「ブレックファスト」は3種類。筆者が利用した店舗では、平日限定の販売で、提供時間は開店から11時まででした。(実施店舗はこちらで調べられます)

・アボカドトースト 税込650円(税抜602円)
・ベーコンエッグアボカド トースト 税込750円(税抜694円)
・生ハムモツァレラトマト ホットサンド 税込680円(税抜630円)
 いずれも単品メニューで、セットドリンクは別途追加料金が必要です(サイズアップはプラス60円)。

・コーヒー(S)/紅茶(M) 税込320円(税抜296円)
・カフェラテ(S) 税込380円(税抜352円)
その他
・トッピング 卵 税込120円(税抜111円)
・トッピング アボカド 税込170円(税抜158円)
・豆乳きのこスープ 税込380円(税抜352円)
 などもオーダーできます。

 ※ややこしいのですが、このメニューに提示されている税込価格はテイクアウト価格の消費税8%が適用されており、イートインの場合は10%になるため、記載されている価格よりも多い金額を支払う必要があります。どちらを記載するか悩みましたが実際のメニューに記載されている価格で統一しています。

■贅沢かつボリューミーな生ハムモツァレラトマト ホットサンド

 「生ハムモツァレラトマト ホットサンド」は、テイクアウトで税込680円、イートインだと税込693円です。

 具材の生ハムに、モッツァレラチーズ、ざく切りキャベツ、トマトをたっぷりと使用したサンドイッチ。

 商品名にはホットサンドとあり、メニュー写真ではパンにストライプ模様の焼き目がついていますが、筆者が食べた店舗ではトーストサンド風な仕上がりでした。

 こちらは調味料などはほぼナシ。こんもりと詰め込まれた生ハムの塩味で、キャベツとトマト、モッツァレラチーズをいただきます。口のなかでそれぞれの素材が混ざり合うと、おいしさの相乗効果が生まれます。

 隠し味に香りの良い生ハーブが入っており、味に新鮮なインパクトを与えてくれます。確認したところセルバチコという、クセのあるピリッとした辛味と、爽やかな風味が特徴の、イタリア料理に多用されるハーブでした。

 トマトはセミドライで味が濃く、モッツァレラチーズは水分たっぷりでしっとりとミルキー、パンにはバターの代わりにオリーブオイルが塗られていて、独特の香りとオイルのまろやかさが味をまとめています。

■アボカドトーストは、アボカドの甘みと旨みが詰まったオープンサンド

 朝限定の「アボカドトースト」は、テイクアウトだと税込650円、イートインだと税込662円です。

 カリッとトーストした、サクサクの石窯カンパーニュにマッシュしたアボカドをたっぷりと乗せ、ミューズリーをパラパラ、オリーブオイルとレモン果汁をたらり。味付けは極めて控えめで、素材そのものの味を楽しめるオープンサンドに仕上がっていました。

 全体の総量は多くはないものの、1つひとつの素材をケチっていない。粗くつぶした濃厚でとろとろのアボカドの厚みは相当のもの。オリーブオイルとの相性も良く、ミューズリーの食感も加わって、噛めば噛むほど旨みを感じる、素朴ながらにリッチな味わいです。

■パンとコーヒーで約1000円の朝ごはん

 今回の食事は店内で飲食したため、「生ハムモツァレラトマト ホットサンド」は税込693円、セットで追加注文した「コーヒー(S)」は税込325円で、合計1018円。

 「アボカドトースト」は税込662円、セットで追加注文した「紅茶(M)」は税込325円で、合計987円でした。

 牛丼チェーンの朝定食でごはんに味噌汁、生卵に小鉢で300円以内を食べ慣れている方からみると、ボリュームは少ないのに、お値段は1000円前後と3倍以上するため、「そこそこするんだな……」と、目玉が飛び出そうな価格だと感じたかもしれません。

 筆者の眼球は幸いにも飛び出しはしなかったものの、値引率の高い朝限定メニューに慣れきっていたため、単品の価格をドリンク付きの価格であろうと勝手に誤解してしまい、支払いで1000円以上することに仰天しました。

 ただし、「ディーン・アンド・デルーカ」のカフェを一度でも利用したことがある人なら、価格に不満を持つことはないはず。

 なぜなら、安さとか、ボリュームとか、お得さを求めていないから。誰しもが、お値段がそこそこすることをわかった上で店を訪れているのです。

 かく言う筆者も、自分がセット価格だと思っていたものが単品価格だと気づいた数秒後には、「ま、ここは『ディーン・アンド・デルーカ』だもんな」とすんなり納得していました。

■実は本家は経営破綻しているディーン・アンド・デルーカ

 もともと「ディーン・アンド・デルーカ」は、1970年代にニューヨークのソーホー地区で創業したアメリカ発祥のお店です。

 2003年に日本1号店が丸の内に上陸したときには、「ニューヨークのセレブに人気のお店がやってきた!」と大騒ぎとなり、お店のロゴがプリントされたトートバッグは、流行に敏感な女性の間で大流行しました。

 実は2020年には本家アメリカの「ディーン・アンド・デルーカ」は経営破綻し、全店閉店してしまいましたが、日本では株式会社ウェルカムがライセンスを獲得し、運営を続けています。

 「株式会社ウェルカム?  知らないなぁ……」という方でも、雑貨店「TODAY'S SPECIAL(トゥデイズスペシャル)」や、インテリアショップ「HAY」などを運営している会社と言えば、ピンと来るかもしれません。

 「ディーン・アンド・デルーカ」を含め、おしゃれ感度が高く、財布に余裕のある人たちに、ビビビと刺さるブランド展開がお得意のようです。

■静かで開放的な朝時間

 平日朝9時、老舗のデパートが立ち並ぶ、レトロな街並みに佇む路面店に訪れました。路地に面しているものの、地下鉄の出入り口のそばのため、人通りは多め。店の外では会社に向かうサラリーマンやOLが行き来しています。

 50席ほどある店内にいる利用者は、筆者と同行した夫を含めて、5人。夫を除いて全員が1人客で女性です。それぞれに十分な距離を確保して、テーブル席に座り、ゆっくりと朝食を食べています。

 昼以降の混み合う店内と比較すると、静かで開放的なひとときを過ごせる朝時間は、「ディーン・アンド・デルーカ」にとって、貴重な穴場タイムなのかもしれません。

 イートインは少ないものの、店自体は盛況で、コーヒーだけをテイクアウトで買っていく人(こちらもほぼ女性)が頻繁に訪れます。

 夫に「コーヒーのテイクアウト、意外と多いね」と同意を求めると「みんなおしゃれな紙コップを持って街を歩きたいんだね」という返事をよこし、妙に納得させられた朝でした。

編集部注:本記事に登場するメニューの価格は、すべて取材時点のものです。昨今の円安、原材料高騰などの影響を受けて価格が改定されている可能性があります。また、店舗によってモーニングの値段・内容は異なる場合があります。

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最終更新:3/2(土) 5:02

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