米独債の逆張り戦略、支持集める-市場の欧米利下げ見通し試される

5/1 19:28 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 米国債がドイツ国債のパフォーマンスを上回るという逆張りの戦略が支持を集め、今年人気だった欧州債への強気の取引がリスクにさらされている。

インサイト・インベストメント・マネジメントは、市場が米連邦準備制度理事会(FRB)の利下げを少なく織り込み過ぎているとの見方から、米国債を買い、欧州債を売っている。トロント・ドミニオン銀行は欧州中央銀行(ECB)が十分な緩和を行わず市場を失望させるリスクがあるとして、顧客に同様の取引を勧めている。

これは、欧州債への強気取引に逆行するものだ。ユーロ圏経済の見通しが米国に比べて弱まり始めたことから、投資家はECBがより急速に緩和を進めると考え欧州債を買った。

この結果、ドイツ10年債利回りは米国債を約220ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)下回り、その差は2019年後半以降で最大となった。

しかし、インサイト・インベストメントのシニアインベストメントスペシャリスト、ジル・ヒルツェル氏(ロンドン在勤)は「市場は恐らく、米国の利下げ見通しを後退させ過ぎている」と指摘する。

6480億ポンド(約127兆8000億円)の資産を運用するインサイト・インベストメントは、米欧の金利軌道が収束することを想定し、フロントエンドの欧州債に対する米国債のロングポジションを開始した。

3回と1回

現在のところ、トレーダーはECBが年内に0.25ポイント利下げを3回実施し、FRBは1回行うと見込んでいる。米当局による0.25ポイント利下げは11月のみとの予想だ。

ECBによる6月利下げ開始に対する市場の確信は揺るがない。ただ、経済情勢が変化し始めるにつれ、一部の投資家はその先について、特にFRBが今年いっぱい金利を据え置いた場合どうなるかを疑問視し始めている。

ユーロ圏の最新経済データによると、1-3月(第1四半期)成長率は主要国がけん引し予想を上回った。一方、目標である2%に向かってのインフレ鈍化は4月に足踏み状態となった。

ソシエテ・ジェネラルで金利戦略を担当するアダム・クルピエル氏(パリ在勤)はECBの緩和について「6月の後は7月だけでなく、もっと長く一時停止する可能性が高まっている」と分析。「リスクは利下げ幅の縮小に傾いており、ECBのインフレ見通しへのリスクは上方に傾いている」と語った。

トロント・ドミニオン銀行の欧州金利戦略責任者、プージャ・クムラ氏は、ECBが6月に利下げをした後、連続利下げはせずに市場参加者を落胆させる可能性がある一方、FRBは9月に利下げを開始する公算が大きいとみている。

同氏は4月24日、2、3週内にスプレッドが170bpに戻ることを目標に、10年物ドイツ国債を売って米国債を購入する戦術的取引を顧客に勧めた。

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原題:Bond Trade That Rests on Slower And Smaller Fed Cuts Gets Tested(抜粋)

--取材協力:James Hirai、Sujata Rao.

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最終更新:5/1(水) 19:28

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