「35歳、45歳、60歳」で変わる目のケアの“着眼点” 大切なのは年齢に応じた適切な「食事と運動」

2/16 14:02 配信

東洋経済オンライン

近眼や老眼をはじめ、緑内障や網膜剥離に飛蚊症など。加齢とともに「目の不調」についての悩みは増える一方ですが、そうした症状に対しては、適切な年齢からの備えが必要だと、株式会社ブライトアイ代表の平賀広貴氏は指摘します。
そんな平賀氏が考える「目の不調」対策の適齢期について、同氏の著書『最新の視力研究で導き出した 何歳からでも目がよくなる方法』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

■35歳を過ぎたら食事術で「糖尿病対策」

 35歳を過ぎたころから、対策を始めたいのが「糖尿病予防」です。

 厚生労働省の調査では、予備軍も含めて300万人以上が、糖尿病由来の糖尿病網膜症に罹患していると推計されています。

 糖尿病網膜症は、進行すると最悪の場合は失明に至ることがあります。
そして糖尿病患者の約10人に1人は視力障害が出てしまうようです。糖尿病網膜症は、大人になってからの生活習慣が原因で発症するといわれています。

 そこでまず、タンパク源やビタミンをしっかり摂りつつ、食事後に血糖値が急上昇する「血糖値スパイク」を抑える食事術を実践してください。

 たとえば私は普段このような食事で済ませています。

◎朝 カット野菜、砂糖なしコーヒー、バターとチーズを塗ったパン
◎昼 カット野菜、サラダチキン、おにぎり(摂らないことも)
◎間食 素焼きミックスナッツ、ハイカカオチョコレート
◎夜 好きなものを食べつつ、食べる順番を意識する
 大量の糖を一度に摂取すると、急激に血糖値が上がり、そのあと急降下するため、どうしようもなく体が糖分を欲しがります。

 それを避けるために、「べジファースト」と呼ばれる、野菜から食べる方法も取り入れましょう。

 また、緑内障は40歳を過ぎると発症リスクが高くなります。緑内障は視神経にダメージを与える病気で、視野が狭くなったり、最悪の場合、失明に至ることもあります。

 日本におけるもっとも多い失明原因でもあります。症状が進行するまで自覚しにくいため、定期的な眼科検診を心がけましょう。

 2024年には、『ネイチャー・エイジング』誌で、44歳と60歳で急激に老化が進む、という論文が発表されました。原因としてはカフェインやアルコール代謝の能力が低下し、脂肪の蓄積が増えることもわかったので、食習慣にはとくに気をつけてください。

■「老眼」との闘いが始まる45〜60歳

 この年代になると、いよいよ老眼が始まります。近くが見えにくいという自覚症状が現れるでしょう。これまでの生活習慣やアンチエイジングの成果で、人により老化にばらつきが出始めるかもしれません。

 視力が低下して物が見えなくなると、認知症の発症原因になりうるという報告もあります。2019年にはボルドー大学による7736人の認知症ではない65歳以上の方の追跡調査で、視力低下が抑うつ症状を招き、認知症の発症も有意に多くなることが報告されました。

 見えにくい状態をそのままにせず、老眼鏡も嫌がらず積極的にかけていくようにしましょう。

 もうひとつ、大切なのが「脚力」です。全身の筋肉のうち、もっとも太いのは大腿筋です。スクワットはもちろんのこと、たくさん歩くことや、階段を上る習慣、可能であればランニング習慣を身に付けることで、全身のアンチエイジングにつながります。

 2016年にバーミンガム大学の研究チームが発表した論文では、老化により骨格筋の成長障害が起こり、それが筋肉量と筋力の低下を引き起こし、高齢者の死亡率に直接関係していることが明らかにされました。

 そのため、運動をしたり食事でタンパク質を摂取したりすると、筋肉タンパク質の合成が高まり、筋肉量が維持されて、いつまでも健康的に過ごすことができるのです。

 ちなみに、50代で注意が必要な目の病気に裂孔原性網膜剥離(れっこうげんせいもうまくはくり)と飛蚊症があります。

 飛蚊症とは、視界に小さな点や線が浮遊して見える現象で、網膜の前に浮かぶ物質が影を作ることから起こります。この飛蚊症を経験している場合、網膜に穴があく裂孔原性網膜剥離にも気をつける必要があります。進行すると網膜剥離が起こり、視力が失われるリスクが高くなりますので、早期発見が重要です。

 また、加齢とともに、老眼の原因のひとつである水晶体が硬くなる現象は避けられませんが、ビタミンCの摂取によって、硬くなるのを少し遅らせることができます。

 水晶体にはもともとビタミンCが大量に含まれています。それが加齢により、若いときの量の半分になってしまうので、補充するべきなのですが、じつはビタミンCは尿で流されやすく、こまめにとる必要があります。

 だから、ピーマンやブロッコリー、柑橘類など、ビタミンCを豊富に含む食材を使った食事などで、定期的に補ってあげることが大切なのです。

■60歳を過ぎたら「タンパク質多め」を合言葉に

 対策をしていないと老眼が進行し、ピントが合う最短距離が1メートルと、腕を伸ばしても本が読めないことも出てくるこの年代。水晶体や毛様体筋が硬くなり、ピント調節機能が働かなくなることが原因です。

 加齢により、タンパク質の吸収や利用効率が下がるため、食事ではタンパク質を増やすことを心がけましょう。目安は摂取カロリーの20%を摂るようにしてください。

 光や色を感知する視細胞のある網膜も、視力の維持に重要な組織です。網膜は血管が張り巡らされていることで加齢の影響を受けやすいため、血管と血液を若く保つ必要があります。

 過剰な糖質を避け、タンパク質やミネラルなどを摂って、全身を若く保つことが大切です。

 具体的には、白米ではなく玄米やキヌアなどの全粒穀物を摂ること。魚、鶏肉、豆類、ナッツ、卵などのタンパク質やミネラルを積極的に摂ること。そのほか、アボカド、オリーブオイルなど、良質な油を摂ることも大切です。

■冬場は目の「温度調節」にも気を配って

 網膜静脈閉塞症は、60歳以上の方が発症しやすい病気です。視野がかすんだり、歪んだり、視力が低下したりする症状が現れますが、加齢に伴う血管の硬化や、血圧、糖尿病などが原因となるため、食習慣で対策していきましょう。

 また、強度の近視の方は、白内障にも気をつける必要があります。

 水晶体や毛様体筋は、「温度」の影響も受けます。血流がよくなって体温が上がれば、細胞が柔らかい状態で1日を過ごすことができます。ただし、過度の温度上昇は目へのダメージになるので、ホットアイマスクを長時間着け続けるのは避けましょう。

 実際に私も、冬にランニングをしたあとに近くのものを見ようとすると、ピントが合いづらく感じます。冬は屋外の気温が低いため眼球が冷え、水晶体や毛様体筋が硬くなっているからかもしれません。

 高齢になるほどかなり早朝に散歩される方がいますが、寒い日は注意が必要です。体温が1℃下がれば免疫力も30%下がるとされており、時期によって朝散歩の時間をずらすなどの工夫をするといいでしょう。

東洋経済オンライン

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最終更新:2/16(日) 14:02

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