日本社債とサムライ債、24年度も高水準の発行継続へ-証券5社展望

3/15 7:00 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 日本銀行の金融政策にかかわらず、2024年度も日本企業の社債と海外発行体による円建て債(サムライ債)の発行は好調に推移すると、国内大手証券会社は予測している。

ブルームバーグのデータによると、23年度これまでに発行された国内社債とサムライ債は総額16兆6000億円と、年度ベースで既に過去最高に達した。ブルームバーグが国内大手証券5社を対象に実施したアンケートによれば、24年度も15兆5000億-17兆6000億円程度と高水準での発行が続く見通しだ。

日銀が3月か4月に07年以来となる利上げに踏み切るとの観測が広がる中でも、市場金利は円建て債への需要がなお旺盛であることを示している。債券市場が比較的落ち着いているため、ブルームバーグの社債スプレッド(上乗せ金利)指数は52ベーシスポイント(bp、1bp=0.01%)と、22年9月以来の低水準まで縮小した。

各社の回答によると、依然として低い借り入れコストや、電力会社の借り換えニーズ、大型の企業合併・買収(M&A)に伴う資金調達などが、今後の社債発行を促す要因になりそうだ。

野村証券の河田寿キャピタル・マーケット部DCMグループ次長は、マイナス金利の解除は市場である程度織り込まれているとし、それだけなら「起債市場への大きな影響はない」とみる。4-6月期は再び発行量が増えると見込まれるため、スプレッドのタイト化は一服するとした上で、「発行条件を悪化させてまで調達を優先するとも考えにくく、ワイド化は限定的」だとの考えを示した。

ブルームバーグの13日時点のデータによると、23年度これまでの国内社債発行額は14兆9000億円、サムライ債は1兆7000億円。アンケートでは記録的な発行額となった理由として、金利先高観がある中で駆け込み的な起債が増えたことや、銀行セクターから自己資本を増強するための永久劣後(AT1)債の発行が相次いだことが挙がった。

3月だけでもソフトバンクグループや三菱UFJフィナンシャル・グループ、ソニーグループが大型の起債に動き、国内社債の発行総額は前年同月比124%増の1兆3000億円と3月としての過去最高を更新した。

みずほ証券プロダクツ本部の小出昌弘執行理事副本部長は、日銀による継続的な利上げは難しいとのメインシナリオが実現することを前提に、「長期金利も落ち着いて推移することでスプレッドタイト化の可能性もあり得る」と予想。堅調な企業業績もタイト化の見方につながっているとした。

アンケートでは警戒すべき点として、大きなリスクではないものの、日銀の追加利上げが予想より早まる可能性が指摘された。この場合、企業は社債発行を一時停止したり、キャンセルしたりする可能性がある。

社債権者を保護するためのコベナンツ(財務制限条項)活用が増え、低格付け社債の発行拡大に道が開けるかどうかも注目点に挙がった。三菱UFJモルガン・スタンレー証券の名倉淳平クレジットストラテジストは、日本で低格付け企業の資金調達においてはローンが強いため、「コベナンツ付き社債の発行動向については注目している」と述べた。

(c)2024 Bloomberg L.P.

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最終更新:3/15(金) 7:00

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