株式週間展望:レンジ相場もエヌビディア決算注目
日経平均予想レンジ:3万7500-4万円
日経平均株価、TOPIX(東証株価指数)ともにレンジ相場の色合いを強めた今週は、米国で共和党の「トリプルレッド」実現が決まった。米長期金利の上昇で一段と円安が進む中、日本株は難しい局面に差し掛かっている。来週はこの決算シーズンの大トリにして最重要の米エヌビディアが、第3四半期(8-10月)の業績と今後の見通しを発表する。
<米トリプルレッド、円安で日銀利上げ意識>
米議会選は上院に続いて、下院も共和が過半の議席を獲得した。これにより、来年1月に始動するトランプ次期政権はオール共和の議会を味方に付ける。要職の人選も着々と進み、市場は減税や規制緩和などの景気刺激策が意識する一方で、財政悪化や国内外での分断の助長を警戒するなど、期待と不安が混在している。
こうした中、米長期金利は5月以来の4.5%に接近しており、一部で5%のターゲットも浮上した。また、異色の強さを維持する経済を背景に、パウエルFRB(米連邦準備制度理事会)議長は追加利下げを急がない考えを明らかにした。為替市場は敏感に反応し、ドル・円は1ドル=156円台に突入している。
円安は輸出株にとって交易条件の改善要因である半面、日本では物価上昇に伴い日銀の利上げ確度が高まる。円買い介入も想定される水準になってきたことで、素直に為替の動きを好感しにくい面もある。また、米金利のさらなる上昇はグロース(成長)株にとって逆風になりかねない。
日経平均は3万9000円台に入ると戻り待ちの売り圧力が強まる傾向にあり、4万円の回復が近くて遠い状況だ。通貨・株価ともに「米国一強」の構図が鮮明化しており、海外勢の日本株買い意欲の強さは感じられない。
<半導体復調なるか、銀行株強調>
ただ、来週はAI(人工知能)用半導体のエヌビディアの決算が現地20日に控える。半導体セクターの値動きは日本株全体に影響を与えやすいだけに、その内容次第では相場に活力が戻る可能性がある。売上高は第2四半期(5-7月)が前四半期比15%増の300億ドルに拡大し、第3四半期については325億ドルを見通している。市場予想はそれをさらに上回る330億ドルだ。
同社が今回も高い期待値のハードルをクリアし、第4四半期(11月-来年1月)に関しても強気のガイダンスを打ち出せれば、値がさ半導体を中心に関連銘柄にはポジティブな材料となる。アドバンテスト <6857> やフジクラ <5803> は特に関心が高い。
また、日本の決算シーズンの最終盤に出た3メガバンクの業績も好調だった。米金利の上昇志向と日銀の追加利上げも視野に、銀行や保険など金融セクターもけん引役として有力だ。みずほフィナンシャルグループ <8411> に続いて三菱UFJフィナンシャル・グループ <8306> も7月の高値に接近しており、全体相場の先行指標になれるかが注目される。
このほか、来週は米国で19日に米10月住宅着工件数、21日には11月フィラデルフィア連銀製造業景況指数が発表される。日本では22日の10月消費者物価が日銀の年内の利上げを占う上で重要となる。日経平均の予想レンジは3万7500-4万円とする。
提供:ウエルスアドバイザー社
ウエルスアドバイザー
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最終更新:11/15(金) 17:41