【TOEIC990点満点講師が教える】社会人が英語を学ぶ際に一番大切なものとは?

4/24 9:02 配信

ダイヤモンド・オンライン

 春は学びを始めるのにぴったりな季節。ビジネスパーソンが勉強したいものというと、筆頭に上がるのが「英語」です。本記事の筆者・土岐田健太氏は、学生時代に独学でTOEIC L&Rテスト990点満点・英検1級に合格。東進ハイスクールや河合塾、大学受験専門塾「ワークショップ」などで学生に受験英語を教えるだけでなく、試験のスコアを伸ばしたい、業務で必要な英語を身に付けたいといった社会人にも英語を教えるスペシャリストです。そんな土岐田氏が教える、社会人が英語を勉強する際に一番大切なものとは?(大学受験専門塾「ワークショップ」英語科講師 土岐田健太)

● 多くの社会人が勉強しようとまず思うもの「英語」

 「学び直し」や「独学」のブームが到来しています。大人になってからも学び続けることが求められ、何かを改めて勉強しようという時に多くの社会人の方がまず目を向けるのが「英語」です。

 多くの企業で、英語に関連する仕事をしようと思い立った時には、TOEIC L&RテストのスコアやTOEFL iBTのスコアの提出が求められます。もちろん、企業の中には「実際のコミュニケーション力や英語の会話の実力で見る」というところもあるのですが、最低限の条件として、ある程度のスコアが求められることが多いです。

 昇進の条件や海外への留学などで必須になり、英語の習得がさらなる仕事のチャンスを得るためのスタートラインになっていることも珍しくありません。

 僕はふだん東進ハイスクール・東進衛星予備校、河合塾、ワークショップの講師として、英語を教えています。東大英語、トップレベルの国立大対策から医学部英語、早慶大対策など難関大学の受験対策を中心に指導しており、毎年合格者を多数輩出しています。

 さらに、現在は予備校だけではなく、社会人向けのスクールLibartsの経営や学校や法人向けの講演なども担当し、映像と対面の授業や講演を全て合わせると年間1万人以上の生徒を指導しています。

 資格試験では英検1級やTOEIC990点満点を目指す受講生にも指導しており、それ以外にも目標や目的に合わせたレッスンを行っています。国内外の大学院のトップ校に通う社会人の方や航空会社に勤める社会人の方のキャリアアップ、志の高いプロの英語の先生方や経営者の方々にもサービスを利用していただいています。

 日本の質の高いサービスや研究には、海外からの高いニーズがあります。大舞台で英語が必要な方も多く、僕の仕事はそんな社会人の方に「メイド・イン・ジャパン」のサービスを英語で発信するお手伝いをすることなのです。忙しい社会人の方に大学受験指導で培った「結果の出るメソッド」や「目標を明確にして勉強するスタイル」が刺さっているようです。

● 社会人の勉強には戦略が大事~「want to」でビジョンを考える

 僕のこれまでの指導の経験上、多くの社会人の方はずっと“馬力”が続くわけではありません。無目的に学んでうまく行く方も中にはいますが、僕も含めた一般的な人には「何のゴールに向かって勉強するのか」という戦略を持つことが大切なのです。

 例えば、英会話を勉強したいという人がいたとしましょう。僕もこれまで相談を多く受けてきたのですが、正直なところ、切実に、本気で英語の会話が必要な人はそれほど多くないです。「英語ができるようになったら、何を話してみたいですか」と尋ねると、「なんとなく海外の人と話してみたい」というモチベーションで英語を学んでいる人が多いです。1カ月後には興味が他に移り変わってしまう人も少なくありません。

 それでは、どういったマインドの人が学び直しでうまくいくのでしょうか。僕の考えではwant to「~したい」とhave to「~しなくてはいけない」の2つの軸を持っている人がうまく行きます。

 例えば、want toで言うと、「英語で自分の専門分野のスピーチがしたい」のようなビジョンです。例えば、仕事で自社の商品の魅力を伝えるとしましょう。その際に、顧客は「商品の価値」だけではなく、「プレゼンターの魅力」も見ています。自己紹介が魅力的、商品の説明の仕方に個性が光る、英語の表現の仕方がシンプルなどもこれに含まれます。

 僕が仕事にしている予備校講師は、受講生にどれだけの「付加価値」を与えられるかがポイントです。もちろん、清潔感、見た目やコンテンツそのものが優れていることも重要な要因ではあるのですが、どれだけ「英語という科目の魅力が伝えられるか」「勉強することがカッコいいことだ」と伝えられるかにかかっています。好きなことを英語で学ぶことやさまざまな映画やコンテンツに英語で触れることは、英語を教える世界観を作るのに役立っています。これは誰かに強制されていることではなく、勉強したいことなので、長続きするのです。海外の大道芸人やマジシャンなどのパフォーマーの解説動画、自分の好きな哲学書やビジネス書を英語で読むなど、自分のやりたいこととひもづけた学習ができます。

 商品のスピーチをする時に、自分のプレゼンターとしての魅力や表現の仕方のマッチングなどを含めて研究することは自分の英語でやりたいことを実現することにつながっていきます。英語を通して、商品とプレゼンターの魅力を伝えることを目指すわけです。

● 「have to」の目標は、期間を決めて本気で達成する

 次にhave toは、「昇進のためにTOEIC L&Rテストで900点を取得しなくてはいけない」のような具体的な数値目標や必要に迫られた学びです。これは周囲に向かって公言したほうがうまく行きます。こちらは期間限定のものでよく、なるべく客観的な尺度で分かる目標にした方がベターです。

 このhave toの目標を定めたら、周囲の雑音からシャットアウトする心構えも必要になります。例えば、「テストでいい点数なんて取っても意味ないよ」とか「資格試験が英語力の全てではない」という言葉に僕も何度も触れてきました。その度に気にする受講生は気にします。本当に残念なことですが、出る杭を打とうとするのか、誰かが成長したいと公言すると、こういうことを言う人は一定数いるものです。

 「そんなの勉強しても意味ないよ」と人は時に心無い言葉をかけてきます。なぜかすでに成功している人や結果が出た人も、そのプロセスを忘れてしまうのか、上から目線で物を言いがちです。

 そんな言葉は無視して、自分の内なる心に耳を傾けてください。「周りからの雑音を気にしない力」や「自分の目標を肯定できるマインドセット」も大事です。

 例えば、大学入試で「東大に行きたい」と思っているのに、「周りから東大に行っても意味がないと言われた」という理由であきらめたらもったいないですよね。仕事ならば、「あの国際会議でプレゼンをしたい」と言った時に周囲から「無理だよ」と言われてあきらめたら、ステージに立つ前に幕を閉じてしまいます。

 自分が設定した目標を一定期間に達成するプロセスで学べることは多くあります。最近のTOEICは難しくなっているので、900点を取得したいならば、そういう雑音に惑わされず、自分の目標に至る行動を取り続けることが大事だと僕は思います。900点を目指している人が毎週末飲み会に行っているようなら、それは勉強のマインドが整っていないわけです。もし目標を決めたら、目標に沿った行動をとることで、受験生と同じように継続して結果を出せるようになります。

 社会人の方の忙しさを考えると、僕は両者が揃っていた方が、学びが円滑に進むと考えています。何かの学びの継続をするためには「目標と目的」と「内発的/ 外発的動機付け」を明確にするとうまく行きやすいということになります。

● 「何を目指していくのか?」方向性を決めて行く

 何を目指して勉強するのか、社会人の勉強では「ある程度絞ってしまうこと」も大切になります。例えば、TOEIC、英検やIELTSなどの資格試験は傾向も違いますし、必要な対策も違ってきます。イギリスの大学院に留学したいならIELTS、北米の大学ならTOEFLのように明確なこともあれば、どちらも出願条件として認められていて、自分との相性から選んでいい場合もあります。

 一方、まだTOEIC L&Rテストで600点~700点ぐらいという場合、英語の土台から固めることが優先です。TOEICの問題集を解いてもある程度まではスコアが伸ばせるのですが、目標や目的なく勉強を続けると伸びに限界があります。

 具体的な例を挙げてみましょう。社会人受講生のAさんは最初漠然と英語の勉強をされていました。なんとなく英検準1級を取得したいという思いで受講に来てくださったのですが、彼は航空会社に勤めることを目指しています。そこで思いきって接客英語をレッスンの半分(英語の会話と仕事の志などのライティングが主体)、もう半分を資格試験の対策のための英文法や単語など基本的な大学入試の参考書を用いた学習に切り替えたのです。

 彼の「やりたいこと」と「やるべきこと」を明確にしたうえで、レッスンプランを組んでみました。その後彼は見事に客室乗務員になるという目標を実現し、英検準1級にも合格しています。今は専門性を高めてイギリスの大学院への留学を目指しており、この前は大学院の見学にイギリスに行ったと話してくれました。その受講生は自分のやりたいことに忠実なタイプなので、「自分の実現したいこと」や「英語でやりたいと思えること」を軸にしてうまく行っているのです。今後はIELTS対策にも力を入れて行くようなので、僕もさらに指導力に磨きをかけています。

 仕事をしながら勉強をするのは大変です。社会人が英語の学び直す上で一番大切なのはwant toで考える「戦略」、そして成果を出すための「目標」と「方向性」です。まずはどこからスタートして、いつまでに何を目指して行くのかというゴールを意識しましょう。次回はより具体的に「英語上手」を目指すための学習内容をお伝えしていきます。

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最終更新:4/24(水) 9:02

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