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習近平が「2つの核」に手を染める「絶望シナリオ」が急浮上…!「経済の核オプション」と「本物の核オプション」への高まる不安と最悪の展開

5/16 8:02 配信

マネー現代

マーケットの不安

(文 藤 和彦) このところ、金融市場で中国人民銀行が通貨を切り下げるのではないかといううわさが広がっている。

 前編「習近平の「最悪の一手」を金融市場が警戒しはじめた…! 世界から総スカンで起こる「大暴走」、その危険すぎるシナリオ」でお伝えしたように、中国の景気刺激策に失望した金融市場が「効果のある一手」として期待していることがうわさとして広まっているようだ。

 しかし、これは悪手である。

 中国人民銀行は2015年8月11日に突如、人民元を切り下げて元建て資産が大きなダメージを受けた。「人民元ショック」と呼ばれるこの事件は、中国の景気刺激策のために行われた近隣窮乏化政策と受け止められた。

 実際、いま通貨切り下げにより、中国の輸出は伸びるだろうが、通貨切り下げによる元建て資産の目減りを嫌気して、中国からの資本流出が一気に加速し、さらなる元安圧力が強まる危険性もある。

 こうしたうわさが金融市場を駆け抜けるほど、中国の経済は低迷しているのだ。しかも、習近平はさらに恐ろしい一手を検討しているともささやかれ始めている。

空回りをつづける経済政策

 中国経済の内需不足は、一向に収まりそうにない。

 中国の労働節(メーデー)に伴う5月1日から5日までの大型連休中、旅行件数は増えたものの、財布の紐は固いままだった。

 公式データに基づくロイターの試算によれば、国内旅行者1人当たりの支出額は565.7元(約1万2400円)とコロナ禍前の2019年から11.5%減少した。

 経済低迷の元凶である不動産市場も悲惨な状況が続いている。

 中国の民間不動産調査企業によれば、メーデーの休暇期間中における1日平均の住宅販売件数は前年比47%減少した。2019年と比べても約30%低い水準だ。

 「中国の住宅需要は2030年まで横ばいが続く」と専門家も悲観的だ。

 北京など主要都市の賃貸オフィスビルの空室率も20%に達している有様だ。

中国EVへの補助金も「効果なし」

 不動産不況を受けて、中国の人々の間で金(ゴールド)に対する需要が急増していたが、メーデーの休暇期間中の販売は不調だった(5月8日付RecordChina)。一縷の望みであるゴールドを買うお金に事欠くほど、一般の市民の懐事情は悪化しているのかもしれない。

 ハイテク産業の振興によって景気回復を図ろうとする中国政府の政策にも危険信号が点灯し始めている。

 中国の工業部門の企業利益は今年1~2月、前年比10.2%増加したが、3月は3.5%の減少に転じた。電気自動車(EV)生産で世界を牽引する自動車業界での競争は激しくなるばかり、利益率の低下が止まらない。

 中国政府は自動車の買い換えを促すための補助金政策(1台当たり最大1万元(約22万円)を打ち出しているが、「空念仏」に終わる可能性がある。4割の資金を拠出することになっている地方政府の財政が「火の車」だからだ。

 住宅購入補助金制度は既に実施されているが、財政が悪化した地方政府の不履行が相次ぐ事態となっている(4月30日付ロイター)。

中国の頼みの綱は「輸出」

 中国の大手銀行も利ざやの縮小や不良債権の増加で業績が悪化しており、資金繰りに苦しむ不動産企業や地方政府への支援を満足に行うことができなくなっている。

 最も気になるのは、中国全体の融資需要が縮小していることだ。
中国人民銀行(中央銀行)によれば、今年第1四半期の社会融資(銀行とノンバンクが実施した融資)総額は前年比11%減の12兆9300億元(約273兆円)だった。

 人民銀行が金融市場に十分な資金を供給しているのにもかかわらず、民間融資が市場予想を大きく下回ったことは、中国経済が深刻な問題を抱えていることの証左だ。

 悪材料が噴出する中、唯一の明るい材料は輸出の伸びだ。

 中国の4月の輸出額(ドル建て)は前年比1.5%増の2924億ドル(約45兆円)と2ヵ月ぶりにプラスとなった。自動車やパソコン関連などが堅調だった。

 中国の昨年の輸出額は3兆3800億ドル(約530兆円)と15年連続で世界第1位の座を維持し続けている。

 しかし、これが冒頭に示した金融市場の「人民元切り下げ」のうわさにつながっている。自国通貨を安くして、さらに安価な商品を世界に輸出しようというものだが、国際社会は中国の「過剰生産能力」を問題視するようになっており、これまでのように輸出頼みの成長は通用しなくなっている。

南シナ海に浮かぶ「核オプション」

 経済学者の間では「通貨切り下げは経済的な『核オプション』だ」と評されているが、中国は本物の「核」でも危険な「賭け」に出ようとしているようだ。

 5月2日付米ワシントンポストは「中国は数年以内に南シナ海で海上浮遊型の原子力発電所(浮体原発)を設置する可能性がある」と報じた。米国の複数の国防関係者によれば、中国は2010年に浮体原発の構想に着手し、2016年には20基の浮体原発を南シナ海に配置して軍事施設に電力を供給する案を策定したという。

 現在、浮体原発を稼働中の国はロシアのみだが、「中国も南シナ海での軍事作戦能力を向上させるために浮遊原発の実現に舵を切った」というのが米当局の見立てだ。

 浮体原発の安全性には疑義があり、周辺環境を汚染するリスクも指摘されている。中国の「愚策」が国際社会に災禍をもたらさないことを祈るばかりだ。

 さらに連載記事「「中国の麻薬犯罪」がアメリカ議会の調査でついに明かされた…! 米国社会を敵に回した習近平が支払う「底なしの代償」」では、深刻さを増していく米中関係について、最新事情をレポートする。

マネー現代

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最終更新:5/16(木) 8:02

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