新NISA「二刀流」戦略で狙う“10年後”の資産形成、「1800万円の投資枠」をフルに活用しつづける

5/15 7:41 配信

東洋経済オンライン

今年1月から始まった新NISAですが、MBA保有の経営者でYouTuberとしても活動する上岡正明氏は、「本当に腑に落ちたうえで積み立て投資を選んでいる人は意外と多くない」と指摘します。独自にあみだした「二刀流」戦略で日本の個別株を推奨する上岡氏が、新NISAの実像と攻略法を解説します。
*本稿は上岡氏の著書『日本株で新NISA完全勝利 働きながら投資で6億円資産を増やした 僕のシナリオ』から、一部を抜粋・編集してお届けします。

■まずは「つみたて投資枠」を死守しよう

 インデックスファンドの積み立ては決して万能ではありません。そこで、私がおすすめするのは「二刀流」戦略です。どういった戦略なのか、具体的に見ていきましょう。

 まず、生涯投資枠1800万円のうち、600万円をつみたて投資枠に割り振ります。本当は1800万円すべてを成長投資枠、つまり個別株投資に充てたいところですが、残念ながら成長投資枠には1200万円という上限があります。

 ここは意外と見落としがちなので、注意していただきたいと思います。1800万円すべてを個別株投資に使えると勘違いしていると、あとから計画が大幅に狂ってしまいます。

 毎月の積み立て額は、5万円としておきます。個別株投資は少額から始めることをおすすめしますが、積み立て投資はある程度の額を入れていかないと、最大の武器である複利が効きません。

 投資する商品は以下の2つ。それぞれ半分ずつ、2万5000円ぶん買っていきます。

 ・eMAXIS Slim 全世界株式(オール・カントリー)

 ・eMAXIS Slim 米国株式(S&P500)

 「どちらが将来、より大きなリターンを得られるか?」という議論にはキリがありませんし、結果は誰にもわかりませんので、「迷ったら半分ずつ買っておく」でいいのです。

 月5万円ずつ積み立てていくと、1年で60万円、10年で600万円に到達します。利回りをオルカン5%、S&P500を7%で計算した場合、運用益を加えた10年後の資産は819万円になります。

 その後は、新規の積み立ては行わず、「ほったらかし」で運用していきます。このころには複利効果が効いてくるので、30年後には2711万円になっている見込みです。

■個別株を組み合わせると5年後でいくらに? 

 ここからが、「二刀流」戦略の本領発揮です。残りの1200万円の枠を、成長投資枠に割り振ります。

 投資する金額はその人の経済事情しだいになりますが、ここでは年間の投資上限額240万円いっぱいまで使うことを想定します。

 投資する銘柄が決まったら、ご自身のタイミングで購入してください。積み立て投資のように、毎月いくらといった買い方はしません。チャートを追いながら、安く買える位置で買うようにしてください。年に一度、相場が一時的に急落したタイミングを狙うのもいいでしょう。

 このようにして、成長投資枠の年間上限額240万円を使い切ります。

 枠が余った場合は、少額で買える優良株で埋めるのも1つの方法です。たとえば、NTT(9432)は、2023年に1株を25分割する大々的な株式分割を行ったため、100株を2万円弱で買うことができます。

 成長投資枠の年間上限額240万円を使い切り、なおかつ売却を一度もしていない場合、5年で枠がいっぱいになります。投資元本は1200万円で、ここに運用益が加わります。

 私の場合、個別株投資の運用利回りは、インカムゲイン(配当金)とキャピタルゲイン(含み益と売却益)合わせて20%を目安にしています。もちろん、利回りはそのときの相場状況によって異なります。私はアベノミクス全盛だった2013年の1年間で、当時4500万円ほどだった資産を、6900万円まで増やしました。利回り53%ということになります。

 ただし、こんなパフォーマンスが毎年続くわけではありません。そこで、平均にならして20%としています。仮に、毎年20%で運用することができたなら、ざっくりした計算ですが、投資元本の1200万円は5年後、2035万円に増えていることになります。かなりインパクトのある数字ですね。

 このとき、つみたて投資枠は、先ほどの計算にもとづくと投資元本300万円に運用益が加わり、348万円になっている見込みです。つまり、5年後の総資産は、2384万円ということになります。

■資産形成のスピードはここまで速まる

 目標株価に達した保有銘柄があったら、随時、売却をしていきます。

 このとき、「もっと上がるかも」と欲を出してはいけません。「ここまで上がったら売る」と最初に決めたところで、必ず売却するようにしてください。新NISAの目玉といえるのが、売却したら翌年に投資枠が復活する、というところです。

 1800万円いっぱいまで投資枠が埋まっている場合、当然ですが、翌年の投資枠はゼロになります。これ以上、新NISA口座で新規の投資はできないということです。

 しかし、前年にたとえば100万円で購入した株を売却していたら、生涯投資枠は1700万円になり、その次の年、100万円ぶんの新規投資ができるようになるのです。

 あくまで、枠が復活するのは翌年であることに注意してください。また、年間上限投資額(成長投資枠なら240万円)を超えて枠が復活しても、同じ年だと年間上限投資額の範囲内でしか使えません。

 つまり、年間240万円までなら、生涯にわたって新NISA口座で売買をくり返すことができるということです。

■10年間の「二刀流」戦略で驚きの金額に

 生涯投資枠を埋め終えても、「ほったらかし」にはできないのが、「二刀流」戦略のよさでもあり、シビアさともいえるでしょう。

 日々、チャートや決算、ニュースなどに目を光らせながら、次はどれを売却して、代わりに何を買うかを吟味することが大切になってきます。

 一方、つみたて投資枠は、10年で600万円に達します。先述の複利で計算した運用益を加えると、819万円になっている見込みです。

 そのときまで、成長投資枠の運用利回り20%をキープできたとしたら、総資産はいくらになっているでしょうか。

 やはりざっくりした計算になりますが、投資元本の1200万円は、5396 万円にふくれ上がります。つみたて投資枠の819万円と合わせると、なんと6216万円です。下にグラフで表してみました。

 ※外部配信先では図表を全部閲覧できない場合があります。その際は東洋経済オンライン内でお読みください

■100歳で1億円が手に入っても意味がない

 積み立て投資のデメリットは、「時間がかかりすぎる」ことですが、個別株投資を組み合わせることで、資産形成のスピードがここまで速まる可能性があるのです。

 天国にいるかもしれない100歳で手に入る1億円と、40歳で手に入る6200万円、あなたならどちらを選びますか? 

 ほとんどの人が後者を選ぶのではないでしょうか。

 しかも、40歳で手に入った6200万円は、その後も運用を続けていけば、複利効果がどんどん働いて、青天井に資産が伸びていきます。

 もちろん、「年に240万円も投資に回せない」とか、「利回り20%なんて無理に決まっている」といった、さまざまな意見や反論があると思います。

 その場合は、ご自身の経済状況や投資スキルに合わせて、シミュレーションをしてみてください。数字は変わっても、基本的な考え方は変わりません。

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最終更新:5/15(水) 7:41

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