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思考の固定化に悩む人に知ってほしい「劇的に視野を広げる」コツ ネガティブをポジティブに変える「リフレーミング」

5/21 14:02 配信

東洋経済オンライン

ネガティブな思考がクセになっていると、物事の捉え方が悲観的になってしまいがち。部下や友人、パートナーが悲観的な考え方に陥っているときには、リフレーミングが役立つかもしれません。本稿では、新著『図解入門ビジネス マネジメントに役立つ1on1の基本と実践がよくわかる本』を上梓したグロービスの寺内健朗氏とワ☆ノベーションの代表の島田友和氏が、1on1を想定した会話例をもとに、リフレーミングについて解説します。

■認識のフレームが選択肢を狭める原因となる

「 認識の枠組み」で物事の捉え方が決まる
 ある日、上司から「急な話ですが、来月から海外転勤をお願いしたい」と言われたら、皆さんは何を感じますか? 「これはチャンスだ」と思う人もいれば、「面倒なことになった」と思う人もいるでしょう。

 全く同じ状況に直面しても、人によって感じ方が違うのは物事の捉え方、すなわち認識の枠組みが異なるためです。認識の枠組みは、その人の育った環境や経験、価値観や文化の違いなどの様々な要因により、長い時間をかけて形作られるもので、人の性格を決める要素の一つにもなっています。

 枠組み(フレーム)はその人の物事の捉え方を決めているため、時として考え方の幅を限定し、思いつく選択肢を狭めてしまいます。

「リフレーミング」で視点を変えて物事を捉え直す
 物事の捉え方を決めている枠組みを抜け出し、これまでとは違う視点から物事を捉え直すことをリフレーミングといいます。例えば、水が半分入っているコップを見て、「半分しかない」とネガティブに捉えたとしても、見方を変えれば「まだ半分もある」とポジティブに捉えることもできます。

 このように、「ない」から「ある」に認識を変えるのがリフレーミングのポイントです。リフレーミングによる質問は、メンバーの持つ認識の枠組みを揺さぶるため、これまで気づかなかった新たな視点や意味が見つかります。

 これにより、固定化された思考パターンを抜け出したり、行き詰まった状態を突破する手助けができます。リフレーミングは、モチベーションや自己肯定感の向上にも繋がるため、1on1だけでなく子育てや学校教育の中でも注目されている技術です。

■「ネガティブ」はリフレーミングで「ポジティブ」に

言葉のリフレーミングを使った質問
 リフレーミングを促す方法はいくつもありますが、言葉のリフレーミングと、「もしも」のリフレーミングの2つの方法を紹介いたします。まずはネガティブな言葉をポジティブに言い換える言葉のリフレーミングの対話例を見ていきましょう。

メンバー:「商談が上手く行かないとすぐ落ち込んでしまう自分が嫌なんです」

上司:「見方を変えると、それだけ真剣に向き合っているということですか?」

メンバー:「まあ、ポジティブに言えばそうかもしれません」

上司:「もしそのように捉えたら、感じ方はどう変わりますか?」

メンバー:「そう捉えたら、不思議と自分の生き方に少し誇らしさを感じますね」
 この例では、言葉のリフレーミングを使って「落ち込む」という言葉を「真剣に向き合う」という言葉にリフレーミングしており、それによってメンバーの自己認識も「嫌い」から「誇らしい」に変わっています。

 言葉のリフレーミングによる質問の方法は、「見方を変えると、○○(リフレームされた言葉)ということですか?」と尋ねることでリフレーミングを促すことができます。ネガティブな言葉の多くは、ポジティブな言葉に言い換えられるので、言葉のリフレーミングを意識してみましょう。

「 もしも」のリフレーミングを使った質問
 前段の通り、認識の枠組みはその人の育った環境や経験、価値観や文化によって形作られています。そのため、その枠組みを抜け出すことは簡単ではありませんが、「もしも」などの仮定を使い、直面している状況をこれまでとは違った別の枠組みで捉え直すとリフレーミングを促すことができます。

 ここからは2つ目の質問方法である、「もしも」によるリフレーミングの例を見ていきましょう。

 この例では、「もしも」のリフレーミングを使った質問によって、メンバーの認識の枠組みを揺さぶり、いつもの思考パターンを抜け出して前向きな考えを促しています。大切なのは、相手の枠組みを揺さぶり、別の枠組みで直面する状況を捉え直してみることです。

 「もしも」のリフレーミングを使った質問には様々な種類がありますので、自分なりの「もしも」を考えてみてください。

■リフレーミングが効果を発揮する場面とは

リフレーミングの活用場面

 リフレーミングはビジネスパーソンが直面する様々な場面で活用できるため、1on1の中でメンバーから以下のような話題がでてきた場合には、積極的に捉え方を変える質問を使ってみましょう。

 ・前向きでない

 仕事でのミス、挑戦の失敗、人間関係が上手くいっていないなど、ネガティブな気持ちになってしまうことは誰にでもありますが、捉え方を変えるリフレーミングによって、自己肯定感が高まり、前向きでポジティブな気持ちになります。

 ・自信がない

 自信がなくて次の一歩が踏み出せない、不安で挑戦できないなど、気持ちの後押しが必要な場面でも、リフレーミングを促すことでモチベーションが高まり、自信をもって行動できるようになります。

 ・行き詰まって抜け出せない

 何が正しいのかがわからず決断ができない、いつも同じような失敗を繰り返してしまう、行き詰まった感じがして先が見えないなど、固定化された思考パターンを抜け出せず、前に進めない場面でもリフレーミングが有効です。

 メンバーの枠組みを揺さぶり、新たな視点によって固定化された思考パターンを抜け出して、行き詰まった状態の突破口を見つけ出すことができます。

■思考のクセを変化させるコツは継続

  ・継続により柔軟な捉え方ができるようになる

 認識の枠組みはその人の思考のクセのようなものなので、適切なリフレーミングを継続的に行うことにより、少しずつ枠組みの変化を促していくことができます。

 そのため、1on1では言葉のリフレーミングによるポジティブな言葉への言い換えや、「もしも」のリフレーミングによる固定化された思考パターンを抜け出すなど、捉え方を変える質問を普段から意識して継続的に行っていくのがよいでしょう。

 それにより、巨大な船がゆっくりとその進路を変えていくように、着実にメンバーの認識の枠組みが変化し、柔軟な捉え方ができるようになっていきます。

 ただし、リフレーミングによる質問を繰り返し使いすぎると、うんざりされてしまいますので適度に活用してください。

東洋経済オンライン

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最終更新:5/21(火) 14:02

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