タイソン、急増する移民に照準-米国人の望まない職種での人手確保で

3/12 0:41 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): ワシントンやニューヨークの政治家にとって、前例のないほど急増している亡命希望者は、容易に答えの出ない問題だ。米国の失業率が3.9%に達する中、勤務・労働条件が厳しい業務での人手不足に苦慮しているタイソン・フーズのような企業にとっては、この新しい人口は魅力的な機会を提供している。

ヨーグルトメーカー、チョバニのハムディ・ウルカヤ最高経営責任者(CEO)が設立した非営利団体「難民のためのテント・パートナーシップ」にタイソンは参加し、過去2年間にニューヨーク市の受け入れシステムを通過した18万1400人の移民の一部を雇用する計画を立てている。食肉加工最大手のタイソンは、12万人強の米労働者のうち、すでに約4万2000人の移民を雇用している。

タイソンで在留資格や保育施設などの雇用障壁をなくすための取り組みを率いるギャレット・ドーラン氏は「移民が見つかれば、さらに4万2000人を雇用したい」と語った。

タイソン関係者は先月、ニューヨークのマンハッタンにあるチョバニのオフィスで移民と面会し、テネシー州フンボルト工場の要員としてベネズエラ、メキシコ、コロンビアからの亡命希望者17人を雇用した。先週はさらに70人を雇用した。

急増する新規移民に比べれば大海の一滴に過ぎないが、企業の労働力不足や就労資格のある移民の就職難に対処するための部分的な解決策になり得る。テントは、シンガポールの富裕層ファンド、テマセクが支援する機内食ケータリング企業ゲートグループ・ホールディングを含む4社とも、移民雇用で協調している。ブルームバーグ・ニュースの親会社であるブルームバーグLPは、難民を支援するためにテントと提携している。

亡命希望者は通常、法的手続きを開始してから180日後に労働許可証を受け取る資格があるが、もっと早く受け取れるケースもある。多くは初回の法廷審問にたどり着けるまで何年も待つことになるが、その間は就労が許可される。

タイソンは、食肉を洗浄し、カットされた肉をトレーに並べ、骨がないか最終検査をするといった作業を担当する労働者を常に求めている。ドーラン氏によれば、これらの職に就く10万人のうち毎年およそ40%が離職すると予想されており、これは食肉加工業界全体の標準的な統計だという。このニーズに応えるため、タイソンは2024年だけでも、福利厚生に加えて時給16.50ドルからスタートするこの賃金クラスで約5万2000人を雇用する予定だという。

ドーラン氏は「労力を要する作業が中心の製造業において、従事者の多くが米国人でないことは認識している」と指摘。新規雇用の大部分は「難民や移民からもたらされることになり、私たちは今、それをビジネスとして戦略的に考えている」と述べた。

食品産業は長年にわたり、移民が行き着く分野となっており、雇用や職場の安全基準違反という面では暗い過去もある。昨年、ニューヨーク・タイムズ紙の報道で、請負業者が各社の工場で移民の子どもたちを違法に雇用していたことが発覚し、タイソンとパーデュー・ファームズが労働省の調査対象となった。タイソンは児童労働を一切容認しておらず、どの施設でも18歳未満の雇用を認めていないと述べている。

タイソンは移民労働者の確保にも投資しており、2023年と2024年に年間150万ドル(約2億2000万円)を法律扶助サービスに充て、労働者が法廷審問に出席するための有給休暇を提供している。昨年、タイソンは1317人の労働者が米国市民権を取得するための費用を支払った。

移民労働者やその他の新入社員は、施設内での保育サービスや送迎サービスに加え、希望者には英語クラスも受けられる。同社はニューヨークからの新入社員に仮の住まいや移転手当、有給休暇を提供し、新生活によりうまく慣れるようにしている。

原題:Tyson Is Hiring New York Immigrants for Jobs No One Else Wants(抜粋)

(c)2024 Bloomberg L.P.

Bloomberg

関連ニュース

最終更新:3/12(火) 0:41

Bloomberg

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング