G10通貨が面白くなってきたーファンドが集中投資、「乖離は至る所に」

5/13 20:49 配信

Bloomberg

(ブルームバーグ): 米連邦準備制度理事会(FRB)は利下げ計画を後退させ、日本は円相場を押し上げようとしている。英中央銀行内では意見が分かれ、スウェーデンとスイスはすでに金融緩和を開始した。

為替トレーダーにとっては、これらすべてが素晴らしいことだ。大金を素早く手にする(あるいは失う)チャンスが突然訪れた。

オールスプリング・グローバル・インベストメンツやGAMインベストメンツのファンドマネジャーは、いわゆる主要10(G10)通貨に軸足を移し、多くの中銀がすでに利下げに本格的に乗り出している新興国市場から手を引いている。

ナインティ・ワンのイアン・カニンガム氏のように、集中的に投資する人もいる。同氏はドルのネットロングを年初のわずか5%から45%へと増やした。

先進工業国で構成されるG10通貨の魅力は、金融政策のシフトや選挙のサプライズによって大きく動くと考えられることだ。

さらに、キャリートレードは主にドル高が理由で大きな利益を生み出している。ブルームバーグのG10キャリーの指標は1月以来6%近い上昇を記録し、過去14年間で最高の半期パフォーマンスを達成しようとしている。

オールスプリングで5800億ドル(約90兆4000億円)の運用に携わるローレン・ファンビリヨン氏は「G10はここ数年のうちで最も動きが活発だ。乖離(かいり)は至る所にある。成長、インフレ、貿易見通しに乖離があり、それが為替市場のサプライズにつながっている」と話した。

もちろん、JPモルガン・チェースのG7通貨ボラティリティー指数が3月に2年ぶりの低水準に沈んだことからもわかるように、市場全体のボラティリティーはまだ比較的落ち着いている。しかし、一部では変調の初期兆候が見られ、おそらく最も驚くべきことに、先進国市場と新興国市場の間の典型的な関係が逆転している。

G7通貨ボラティリティー指数は今年、一貫して新興国市場の指標を上回っている。

各通貨ペアでも同様だ。円、スウェーデン・クローナ、スイス・フランは対ドルで今年7%以上の下落。これは新興市場通貨バスケットの中で最も下げが大きく、8%安を記録したトルコ・リラに匹敵する動きだ。

GAMシステマティックのシステム投資スペシャリスト責任者、グリエルモ・マッツォーラ氏は「中銀の金利政策に対する期待と実際の政策の差というダイナミクスによって、外為市場のボラティリティーが上昇すると予想するのは合理的だ」と述べた。

GAMのクオンツファンドはG10通貨へのエクスポージャーを高めていると同氏は明らかにし、新興国市場よりもG10通貨が有利な資産クラスであることを自社モデルのデータが示していると指摘した。オールスプリングでは、ファンビリヨン氏が先月、ユーロとクローナに対するエクスポージャーを増やし、インド・ルピーとインドネシア・ルピアを減らした。

キャリートレードも魅力の一つだ。利回りの低い通貨で借り入れ、利回りの高い通貨で投資した場合のリターンを測定するG10通貨指数は、1月以来5.8%上昇している。これに対し新興8カ国を投資対象としたキャリートレード指数によると、この取引のリターンは昨年7%に上ったが、今年は0.1%下落とほぼ横ばいだ。

JPモルガンの外為戦略共同責任者、ミーラ・チャンダン氏は、G10キャリーは今年もアウトパフォームを続けるだろうと述べた。同氏はスイス・フラン、スウェーデン・クローナ、オーストラリア・ドルで借り入れ、ドルで運用する取引を選好している。

ナインティ・ワンのポートフォリオマネジャーのカニンガム氏は、1999年の創設以来、最も狭いレンジに留まっているユーロのブレークアウトに注目している。現在トレーダーが予想しているように、欧州中央銀行(ECB)がFRBを上回るペースで利下げすれば、ユーロは対ドルでパリティー(等価)まで急落する可能性が高いと同氏はみている。

米国、英国、欧州連合(EU)は今年、選挙を控えている。TDセキュリティーズはさらなるボラティリティーを予想する。

TDの外為・新興市場戦略担当グローバル責任者、マーク・マコーミック氏は「レンジ相場が続いていたG10通貨は再び面白くなってきた。かなり大きく動く可能性がある」と話した。

原題:Funds Go All-In on Currency Trades Driven by Central Bank Drama(抜粋)

(c)2024 Bloomberg L.P.

Bloomberg

関連ニュース

最終更新:5/13(月) 20:49

Bloomberg

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング