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悪口メールを誤って本人に送ってしまった…災いを転じて福となす「おわびメール」の文面

8/6 8:16 配信

プレジデントオンライン

ビジネスメールに関する悩みは尽きません。本来送ってはいけないメールを送ってしまったときは、どんなおわびメールを送るとよいのでしょうか。国語辞典編纂者の飯間浩明さんは「できるだけ早く連絡し、謝るしかない」といいます――。(第3回/全3回)

 ※本稿は、飯間浩明執筆・監修、古賀及子執筆『語彙力がなくても「伝わる」ビジネスメール術』(朝日新聞出版)の一部を再編集したものです。

■“メールのラリー”をやめるメッセージ

 Q:メールのやめ時が分かりません。

 A:用件があってメールを出す。すると返事がくる。返事にお礼を送ると、それに対してまたお礼がくる……。あれ?  これどこでやめればいいのでしょう。

 メールマナーの本には、やめ時の文句として「ご自愛ください」など体調を気遣うフレーズや、「ありがとうございました」と線を引くように締めるなど、アドバイスされています。でも、相手側も「そちらもご自愛ください」「こちらこそありがとうございました」と返して、さらにラリーが続くことにもなりかねません。

 ずばり、「ご返信は不要です」「ご返信には及びません」と書いてしまう方法もあります。ただ、返信するかどうかは、本来先方が決めることです。

 こなれた方法として、要件がすべて終わったなというタイミングで、ほとんど内容のないメールを返す方法があります。

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すべて承知いたしました。
よろしくお願い申し上げます。
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 こう書けば、「このラリーはこれで終わりです」というメッセージにもなります。これに対して、さらに相手から返事があったとしても、特に新しい情報が入っていなければ、折り返さなくても失礼にはなりません。

■メールの削除をお願いする

 Q:内容に誤りがあるメールを送ってしまった場合の、おわびのことばを教えてください。

 A:メールに誤りを見つけた場合は、できるだけ早く連絡をして訂正することが必要です。

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今しがたお送りしたメールは、不十分な点が多いため、削除していただければ幸いです。後ほど改めてメールを差し上げます
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 凝った文言でなくても、上記のようなシンプルなことばを使うので十分です。

 添付ファイルなど、間違ったメールが残ってしまうと後々ややこしいことになるケースでは、ファイルの破棄を求めます。

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先ほどお送りしたPDFは旧バージョンのものでした。
恐れ入りますが破棄してください。確認の後、改めてファイルをお送りいたします
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 相手が古いファイルを用いて仕事を進めてしまわないうちに、できるだけ迅速に連絡します。もちろん、重要なものや一刻を争う場合は電話連絡も必要です。

 こうしたミスは必ず起こる、という前提で、送信前の確認を怠らないようにしましょう。

■悪口メールを送ってしまったら

 Q:あろうことか、悪口の文面がCcで本人に届いてしまいました。どうフォローすればいいですか。

 A:まず、とても大切なことを確認しましょう。

 第三者の悪口は絶対に書かない

 心に思うのは仕方ありませんが、悪口は書いてはいけません。Ccなどのミスでなくても、最悪、文面が本人に渡るかもしれません。それもすべて書いた自分の責任です。

 人に見られない場所だったら書いてもいい、などと思っていると、ついあちこちによくないことを書きはじめるものです。「とにかく悪口はどこにも書かない」と決めておく。これが肝要です。

 でも、今やあなたのメールは相手に届いてしまったらしい。こうなってはもう謝るしかありません。

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大変不適切な文面をお送りしてしまい、まことに申し訳ございません
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 それでも、失敗を取り消すことはできません。今後の行動で誠意を見せるしかないでしょう。災いを転じて福となすことも不可能ではありません。でも、こんな事故が起こらないよう、普段から心がけを正しくしておきましょう。

 Q:相手に読まれるとまずい情報を送ってしまいました。相手はどうやらもう読んでしまったようすです。

 渡すべきではない情報を相手に渡してしまったのですね。スパイだったら生死が問われる状況ですが、会社員でも大失態です。

 状況にもよりますが、こういった場合は丁重にお願いをしてみます。

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まことに申し訳ございませんが、ご内密にしていただけますよう、何とぞよろしくお願い申し上げます
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 このように素直にお願いして頭を下げれば、相手も「分かりました、見なかったことにします」と言うよりほかに選択肢はなくなります。

 ただし、情報がもれたのは取り返しのつかないことです。送信前の宛先確認をくれぐれもお忘れなく! 

 Q:どうやら、読んではいけないはずのメールが届きました。

 A:自分が送ってしまったのに比べるとずいぶん気が楽なものですが、気まずいと言えば気まずい状況です。

 青くなっているのは相手ですから、わざわざこちらからリアクションすることはありません。もし何か聞かれたら、「大丈夫ですよ、読まずに削除しましたよ」と伝えてあげましょう。

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メールの件ですが、プロジェクトに直接関係なさそうでしたので、まだ開いておりませんでした。それでは破棄いたします
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 相手は、きっと読んでいるだろうな……と思うかもしれませんが、ビジネスのやりとりは実際の発言がすべてです。そう言っているのだから、そうなのです。それで十分です。

■「無理」「大丈夫」ビジネスメールでどう書くか

 「無理」「大丈夫」「頑張る」。どれも、会話や親しい間柄でのメッセージには使うけれど、かしこまったメールでは軽すぎる表現の代表です。

 言いたい内容はそのままで、ビジネスメール向きに表現を変えてみましょう。

 〔無理(できない・不可能)〕

 ●来週までに納入するのは無理です
→来週までの製品納入は、まことに困難です
→来週までに製品をお届けできる見込みが立ちません
→来週までに製品をお届けすることは、きわめて難しい(厳しい)状況です

 ●そんな無理を言われても困ります
→ご要望にお応えすることは現状では難しく、弊社としてもまことに苦慮する次第です

 ●無理を承知でお願いしますよ
→ご無理を申し上げますが、何とぞご協力(ご助力)いただきたく、よろしくお願い申し上げます

 〔無理(嫌だ・受けつけられない)〕

 ●そんな仕事は無理です(引き受けられません)
→スケジュールの点で、まことに困難です

 「無理」の意味は、大ざっぱに以上の2つのケースに分かれます。「できない・不可能」の意味ならば、「困難」「厳しい」などに言い換えます。「無理」は可能性がゼロ、「困難」などは可能性がわずかにあるニュアンスですが、事実上は同じことです。

 企画意図に賛同できなかったりして、断りたいと思っても、「嫌だ・受けつけられない」という意味のことを伝えるのは角が立ちます。そんな場合はスケジュールなど別の理由を示して察してもらうようにします。

 〔大丈夫〕

 ●(ミーティングが)来週の水曜日午前だったら、暇なので大丈夫です
→○○日(水)午前ならば、差し支えございません

 ●(製品の納入が1日遅れると聞いて)あさってに届けてもらえるのなら、大丈夫です
→明後日○○日にお届けいただけるとのこと、承知いたしました

 ここでは、ことさら「大丈夫」と言わなくても、相手のスケジュールを承知したことを示せば十分です。

 ●(納入した製品に問題ないかと問われて)大丈夫です。問題はありません
→弊社でも検品させていただきましたが、問題は見つかりませんでした

 「大丈夫」「問題ない」では、どう確認したのかが伝わりません。検品したところ、問題は見つからなかった、という形にすると、信頼感が増します。

 ●高速道路での事故に貴社のトラックが巻き込まれたとのこと、大丈夫ですか
→~とのこと、大変心配いたしております

■「頑張る」は言い方に工夫を

 〔頑張る〕

 ●昇進して忙しくなるだろうけど頑張ってください
→今後ご多忙になることと存じますが、何とぞ健康第一で活躍されますよう、お祈り申し上げます

 「頑張る」は軽いメールなら使えます。ただ、一般的に、「頑張って!」と励まされると負担に思う人もいます。

 さまざまな言い方を工夫してみましょう。

 ●被害(自然災害など)に負けず頑張ってください
→私どももできるかぎりご協力いたします。一日も早い復旧が成りますよう、心よりお祈り申し上げます

 ●司会進行の大役、頑張ります
→力不足ではありますが、精一杯努めますので、何とぞよろしくお願い申し上げます

■「すごい」「まじ」はどう言い換えるか

 気安い相手ならごく普通に使える若者ことばや流行語も、職場環境や相手の人柄などによっては、封じておいたほうがよさそうな場合もあります。「ああ、いつもだったらこう言えるのにな」といったことばを、もう少しフォーマルに言い換えてみましょう。

 〔すごい・超〕

 「程度」を表す表現です。程度表現のバリエーションは案外限られています。べつに強調する必要がない場面であれば、削ってもかまいません。

 ●大変
●非常に
「非常に」は硬い表現ですが、文章ではよく使います。
●とても
大正時代くらいまで、「とても」は「とてもできない」のように否定形で結ぶ用法が一般的でした。現在では「とても面白い」のように程度の強調に使いますが、比較的新しい表現であるだけに、口語的で柔らかい印象があります。
●はなはだ(甚だ)
非常に硬い表現です。「甚だご迷惑をおかけし」「甚だ遺憾に存じます」など、おわび・抗議といった場面で使います。「甚だうれしく存じます」などは、ちょっと違和感があります。

 〔まじ・ほんと〕

 真実だ、嘘いつわりない、ということを表します。「まじ」は会話では大した意味もなく使われるので、メールでは単純に削除してもかまいません。

 ●本当に
●まことに
●実に
●心底(から)
●心の底から
●~が率直なところ(印象・気持ち)です

 〔やばい〕

 「やばい」は、会話ではよくない状況や物事にも、好印象の物事に対しても広く使うことができますが、それに相当する意味の広い書きことばがないのが難しいところです。ここでは、ポジティブな意味のほうの表現に言い換えてみましょう。

 ●まことにすばらしい
●非常に優れた
●見事な
●結構な

 〔全然〕

 「全然」は、書きことばでは「全然~ない」と否定形で結ぶことが一般的です。歴史的には、「全然自分の意志に支配されている」(芥川龍之介『羅生門』)のように「全然~肯定形」も普通にあったのですが、戦後は「全然~肯定形」は「全然OKです」のように会話で使われることが多くなりました。ここでは、「全然~肯定形」の言い換えを示します。

 ●まったく支障ございません(←全然OKです)
●まったく問題ございません
●当初思ったよりも簡単でした(←全然簡単だった)

 なお、「思ったより」は、「思ったより面白い話でした」のように、相手を評価する際には使わないよう、注意が必要です。

■「エモい」は古語の「あはれ」に近い

 〔かわいい〕

 小さく愛らしいものを表現することばで、特に会話専用のことばではありません。ただ、応用範囲が広いことばなので、メールでの表現ではもう少し厳密な表現も工夫してみましょう。

 ●かわいい(柄・人形)
●きれいな(色・風景)
●可憐(かれん)な(花・声)
●愛くるしい(表情・笑顔)
●愛すべき(性格・人物)

 〔エモい〕

 思わず感情を揺さぶられるような物事に対して使う若者ことばです。「エモーショナル」ということですね。

 ずばり古語の「あはれ(憐れ)」に非常に近い意味を持ちます。「あはれ」は現代語訳ではよく「趣がある」などと言い換えられますが、そのほかにも以下のような表現があります。

 ●風情がある
●心を動かされる
●心を揺さぶられる
●懐かしい
●もの寂しい

 〔ウケる〕

 「つい笑ってしまうような面白さ」を表現することばです。ちょっとあざ笑う感じもありますが、メールでは、そんなニュアンスが出ては困ります。

 ●面白い
●興味深い
●微笑を誘われました
●思わず笑ってしまいました

 〔おいしい〕

 「味がいい」という意味ではなく、ここでは、棚ぼた式に利益がきたという状況を指しています。

 ●願ってもない機会をいただきまして
●望外の幸せと存じます
●弊社にとっても利益になることと存じます

 〔推し〕

 「推しアイドル」のように、自分が応援している対象を指すことばです。今や「私の推しは……」でも通じることが増えてきましたが、オーソドックスな表現を考えてみましょう。

 ●お薦めの
●気に入った
●推薦したい
●注目している
●応援している



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飯間 浩明(いいま・ひろあき)
日本語学者 国語辞典編纂者
『三省堂国語辞典』編集委員。1967年生まれ、香川県高松市出身。早稲田大学第一文学部卒業。同大学院博士課程単位取得。国語辞典の改訂のために日本語を観察し、説明の原稿を書く毎日。一方で、分かりやすい論理的な文章を書くための方法を追究している。著書に『日本語はこわくない』(PHP研究所)『日本語をつかまえろ!』『日本語をもっとつかまえろ!』(毎日新聞出版)『知っておくと役立つ街の変な日本語』(朝日新聞出版)『伝わるシンプル文章術』(ディスカヴァー)ほか。
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最終更新:8/6(土) 8:16

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