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「国民負担率」はどこまで上がるのか。社会保険料や税金の負担が年々重くなるワケ

7/3 14:51 配信

LIMO

額面の給料に比べて、手取りが思った以上に少ないことに愕然としたことはありませんか。

財務省のサイトでは「令和4年度の国民負担率は、46.5%となる見通しです」と公表されています。

国民負担率とは、国民の所得に対する税金や社会保険料などの支出の割合のこと。この比率が年々上昇しているのです。

「将来どこまで上がるのか」「なぜ上がっているのか」日本の財政問題をわかりやすく解説します。

国民負担率とは

国民負担率とは、国民の所得に対する、国民が負担する税金と社会保障費用の割合をいいます。

国民負担率は「国税・地方税の租税負担率」と「健康保険料・年金保険料などの社会保障負担率」に分けられます。

租税負担率には、所得税・住民税のほかに消費税、固定資産税なども含まれます。財務省によると、この「国民負担率」が令和4年度は46.5%となる見通しです。

また、国民負担率に将来的に国民の負担となる可能性がある財政赤字を要素として加えたものを「潜在的国民負担率」といいます。この潜在的な国民負担率は、令和4年度は56.9%となる見通しです。

国民負担率は多少の上下はあるものの、右肩上がりで推移しています。

令和2年度は新型コロナウィルスの影響によって財政出動が積極化したため、財政赤字を加えた潜在的な国民負担率が急上昇したことがわかります。令和4年度はそれよりは下がったものの56.9%と依然として高い負担率となっています。

「租税負担率」と「社会保障負担率」で分けた棒グラフを見てみると、租税負担率は平成元年と2年に大きな山があり、その後下がって後に再び上がっていますが、社会保障負担率は年々上昇し続けていることがわかります。

昭和45年の社会保障負担率は5.4%であり、令和4年は18.7%と3倍以上増えています。

給料から引かれる税金(所得税・住民税)の割合は、個人差がありますが日本の平均的な収入で6%~8%程度であるのに対して、社会保険料はおよそ14~16%引かれることを考えると、社会保険料の負担が大きいと感じるでしょう。

収入に占める税金と社会保険料

国民負担率は「国民の負担(税負担+社会保障負担)÷国民の所得」です。

実際に税金と社会保険料が上がっていることもありますが、分母である国民所得が伸び悩んでいることも国民負担率が上がる大きな要因になっています。

総務省の家計調査をもとに、実収入に占める非消費支出(税金+社会保険料)の割合をグラフにしてみました。

実収入に占める「非消費支出(税金+社会保険料)」の割合は、2000年では15.7%であったのが、2021年では18.6%になっています。ここ20年で、税金と社会保険料の負担割合が約18%増えたことになります。

実際、社会保険料率は上がっています。健康保険料率は1999年は8.5%でしたが、2000年から介護保険料が加わり合わせて9.1%になりました。

2022年は介護保険料も合わせて11.64%(平均保険料率)となっています。厚生年金保険料率は2000年時点では17.35%であったのが、2022年現在は18.3%となっています。

これらは事業主負担も入れた保険料率なので、折半にした場合をみてみると「健康保険料率・介護保険料率・厚生年金保険料率」を合わせた保険料率は、2000年は13.225%、2022年現在は14.97%になっています。

収入が伸び悩んでいるのに対して、社会保険料は確実に増えていることから、年々手取りが減っている事態となっています。

これに加えて、消費税も上がっています。1997年4月からそれまでの3%から5%に上がり、2014年4月からは8%になりました。

さらに2019年10月から10%(軽減税率対象物は8%)へ変更。家計への負担がじわじわと増しています。

国民負担率が上がり続けるワケ

国民負担率が上昇している背景には、少子高齢化があります。高齢者が増えて社会保障費が膨れ上がる一方で、それを支える現役世代は減っているため財政赤字となり、結果的に国民負担率を上げざるを得ない状況です。

国民負担率については、財務省のサイトで国際比較が提示されており、それを見ると日本はまだまだ欧米諸国に比べて低い水準です。

フランスやスウェーデン、ドイツなどをみると50%を超えています。日本との違いは国に対する信頼感といわれています。国民負担率が高くても、老後の保障がしっかりしていれば、将来のための貯金として支出することができます。

国民負担率の国際比較
日本の場合はどうでしょうか。

将来のための貯金として税金や社会保険料を払っている感覚は薄いのではないでしょうか。「これだけ払っても、自分たちが年金生活に入った時には大してもらえない」と思っている人の方が多いと思います。

むしろ政府は、iDeCo(個人型確定拠出年金)やつみたてNISAを利用して自分たちで老後に備えるよう働きかけています。

税金や社会保険料の負担に加え、老後資金も自分たちで作らなければならないとなれば、消費行動が冷えるのは当然の帰結です。このままいけば、日本経済はさらに低迷して税収は減り、一方で社会保障費は増加し続けるので財政赤字が拡大し、国民負担率がさらに上昇するといった負のスパイラルに陥ることも考えられるでしょう。

国民の負担を軽減するために

日本の現状を打破する方法はあるでしょうか。

真っ先に考えられることは「所得を増やす」です。国民負担率の分母を増やせば、負担率は下がります。「言うは易く行うは難し」ですが、これは必ず実現していかなければならないでしょう。

また、国民が負担した税金・社会保険料を有効に使う政策を、国は責任を持って行ってほしいと思います。負担した我々も「無駄なことに使われていないか」「この部分は削減できるのではないか」など関心を持ち続けて、時には声を上げていく必要があるでしょう。

もう一つ、長期的な視野に立った取り組みとして少子化対策があります。次世代の担い手の数を減らさないためにも、子育て環境の整備や支援を積極的に行うなど、少子化を抑制することが国民一人あたりの負担を減らすことにつながるでしょう。

我々の給料から引かれる税金や社会保険料が年々増えているのはなぜなのか、疑問が解消できたでしょうか。このままではいけないという意識を持つことが第一歩となります。国の政策に注目していきましょう。

参考資料
 ・財務省「令和4年度の国民負担率を公表します」
 ・財務省「国民負担率(対国民所得比)の推移」グラフ
 ・財務省「国民負担率(対国民所得比)の推移」表
 ・財務省「国民負担率の国際比較」
 ・厚生労働省「国民負担率の推移」
 ・財務省「国民負担率(対国民所得比)の推移」
 ・全国健康保険協会(協会けんぽ)「保険料率の変遷」
 ・日本年金機構「厚生年金保険料率の変遷」

LIMO

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最終更新:7/31(日) 10:01

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