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コロナで苦境の「民泊」は復活するのか、投資家330人にアンケート《楽待新聞》

6/27 19:00 配信

不動産投資の楽待

新型コロナの感染拡大が落ち着き、今月から外国人観光客の受け入れが約2年ぶりに再開した。コロナ禍で苦境にあった観光・宿泊業にもようやく復活の兆しが見えてきた。不動産投資家の中には、物件の活用方法の一つとして「民泊」を運営する人や、関心を持っている人もいるだろう。

民泊をめぐっては、2018年に施行された「民泊新法」で規制が強化され、撤退する施設が相次いだ。さらに、コロナが追い打ちをかけた。そんな民泊が再び脚光を浴びる可能性はあるのだろうか。

楽待新聞編集部では会員向けにアンケートを実施し、民泊の運営状況や、民泊投資への期待感などを調査。336人から回答を得た。このうち、コロナ禍を乗り越えた民泊や簡易宿所のオーナー、これから参入する計画がある投資家らにも話を聞き、民泊の可能性を探った。

■民泊施設数は15%減少

観光庁によると、民泊新法に基づく届出件数は今月14日時点で3万1003件。このうち、1万2947件はすでに事業を廃止している。継続している民泊の数を示す「届出住宅数」は、2020年4月の2万1385件をピークに減少。今月は1万8056件で、ピーク時から15%減少している。

■民泊を運営または予定がある人は約3割

楽待の会員で民泊を行っている人はどのくらいいるのだろうか。

アンケート結果をみると、回答者の約7割は「民泊事業を行っていない、かつ今後行う予定がない」と回答した。一方で、「すでに民泊事業を実施している」とした人は約1割。「今後、民泊事業を行う予定がある」とした人も合わせると約3割が民泊を運営または検討している。

その他の回答では、「以前に民泊を行っていたが今はやっていない」という人や、「計画していたがコロナでストップし悩んでいる」「興味はある」といった回答があった。

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Q1.民泊の運営状況について
・すでに民泊を行っている...9%
・民泊を行う予定があり、物件が決まっている...3%
・民泊を行う予定はあるが、物件は決まっていない...14%
・民泊を行っていな、かつ予定もない...68%
・その他...6%

※n=336
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■民泊として稼働中は6割

保有している民泊物件の現状について尋ねたところ、現在も民泊として稼働中は約6割だった。一方で「現在は稼働していない」は約2割、ウイークリーマンションなど民泊以外の用途で稼働中は約1割だった。

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Q2.現在の物件の状況
・民泊として稼働中...62%
・ウイークリーマンションなど、民泊以外の用途で稼働中...10%
・現在は稼働していない...23%
・その他...5%

※n=39人
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■民泊投資の可能性は

回答者全員を対象に、民泊投資に今後チャンスがあるかどうかを尋ねたところ、「非常にそう思う」「そう思う」が4割、「そう思わない」「まったくそう思わない」が2割だった。一方で、「どちらとも言えない」が3割以上と、多くの投資家が様子を伺っている。

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Q3.今後、民泊投資にチャンスはあるか?
・非常にそう思う...9%
・そう思う...32%
・どちらとも言えない...37%
・そう思わない...18%
・全くそう思わない...4%

※n=335
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■コロナ禍を乗り越えた民泊オーナーは

コロナ前から民泊を運営している人は、コロナ禍をどのように乗り越え、今後はどのような戦略で運営するのだろうか。

「知り合いの民泊オーナーたちは、コロナ中にほとんどの人がやめてしまいました。ライバルが減ったので、外国人観光客が元に戻れば、コロナ前より高い宿泊料も狙えるのではないかと期待しています」

こう語るのは、大阪府で3棟の戸建て民泊を運営する「Oran」さん。物件をすべてキャッシュで購入していたため、客足が落ち込んでも継続することができたという。

Oranさんは、2017~18年ごろにかけて大阪の観光地や万博開催予定地周辺で、築90年超の古民家や3階建て5LDKの中古住宅などを購入した。リフォーム費用を含めると投資額は総額約1億円に上る。

当時の大阪では区分マンションを中心に民泊が乱立する中、リビングダイニングやキッチンなどを備え、家族やグループ向けに一棟貸しするスタイルで差別化を図った。中国人旅行者をターゲットに、コロナ前は1棟で売り上げが年間1000万円以上、利回りで25%ほどを確保するなど順調に運営していたそうだ。

コロナ下では、宿泊料を4分の1ほどに値下げ。光熱費や予約サイトへの委託料、清掃費などの経費や固定資産税などを差し引くと「利益はほぼ残らない」状態だったという。

また観光客は戻っていないが、今後もほかの宿泊者との接触を避けられる一棟貸し物件のニーズはあると見込む。従来は5~6人のグループ利用を想定した値段設定にしていたが「少人数でも利用しやすいよう、利用できる部屋数や宿泊料を変えて、柔軟に対応していきたい」と話す。

■アートイベントで集客

Oranさんのようにキャッシュで物件を購入する人は少ないかもしれない。融資を受けて物件を購入したオーナーにとって、客足の落ち込みはさらに深刻だ。

京都府で旅館業を申請し、簡易宿所を運営する「まめさま」さんもその1人だ。清水寺などの観光地に近い京都市東山区で2018年から2019年にかけて、町家タイプの物件を1棟7000万円で2棟購入。地方銀行から金利3.5%で融資を受けた。コロナ前は外国人観光客向けにハイシーズンは1棟あたり1泊5万円で貸し出し、2棟で月100万円以上の売り上げがあったという。

コロナで客足が落ち込んでも、銀行は返済を待ってくれない。そんな中、旅行客以外での収入源を確保しようと「運営代行会社と一緒に知恵を出し合った」というまめさまさん。今年から始めたのが、アート好きの人をターゲットにした宿泊プランだ。若手芸術家らとコラボして宿泊施設にアート作品を展示。一泊しながら、じっくりと作品を鑑賞してもらうコンセプトだ。

今年2月に開催した第1弾では、このプランで6泊分の予約が入った。さらに、宿泊客が作品を購入すれば、民泊オーナーに分配金が入る仕組みで、宿泊料と合わせて約40万円の売り上げになった。

第2弾は今月開催中で、今後も継続したい考えだ。まめさまさんは「海外からの問い合わせもあるので、インバウンドが本格的に再開したらさらに集客効果が見込める」と期待を寄せる。

■レンタルスペースや賃貸に転用

宿泊施設としての稼働をやめ、賃貸物件やレンタルスペースに転用した人もいる。コロナ前まで都内を中心に10カ所以上で民泊や簡易宿所を運営していたIさん夫婦だ。

Iさん夫婦は、ローンで購入した戸建て2軒のほか、賃貸の区分マンションなどを複数借りて運営していた。毎月200万円近くの家賃が発生するため、コロナで客足が落ち込むと家賃の支払いが厳しくなった。2020年に予定されていた東京五輪の延期が決定的となり、撤退を決断した。

所有していた都内2カ所の戸建ても、宿泊事業では採算が見合わないと判断し、賃貸やレンタルスペースとして活用している。コロナ前の宿泊事業ほどの売り上げはないが、合わせて月60万円ほどの収入になっている。

一度は宿泊事業を諦めたIさん夫妻。宿泊施設を再開する見通しを尋ねると、「今後数年はないでしょう」との回答。外国人観光客の受け入れが再開しても、現状は団体ツアー客に限定されるため、個人旅行向きの民泊に客足が戻るのはまだ先になると考えている。

■沖縄のリゾートマンション購入

コロナ期間中に新たに参入した人や、これから新規参入を計画している人はどのような考えで参入を決めたのだろうか。

昨年10月、沖縄県名護市にある「屋我地島」の民泊物件を4000万円台で購入し、民泊事業に参入したのは中国地方在住の「クワズイモ」さんだ。物件は築3年のリゾートマンションの1室で、広さ88平米。目の前が海という立地が売りだ。前のオーナーがすでに民泊として運営していた物件をそのまま引き継いだ形となる。

クワズイモさんは不動産投資の1棟目として民泊を選んだ。「不動産投資をするなら、趣味を兼ねて面白そうな物件を持ちたい」と考え、観光地としてポテンシャルが高い沖縄を選んだ。

「ゼロからの新規参入はリスクが高いですが、この物件はすでに運営実績があり、管理会社もしっかりしていました。民泊サイトで宿泊者の口コミ評価も高かったため、思い切って購入しました」(クワズイモさん)

さらに、この物件から車で15分ほどの場所にテーマパークの建設構想があり、将来の値上がりが期待できることも購入を後押ししたという。とはいえ、クワズイモさんが物件を購入したのは、まだコロナの影響があった昨年秋。沖縄県でも感染拡大が断続的に続き、今年3月にはそれまで入っていた予約がほぼキャンセルになったことも。

それでも、購入してから毎月7~17万円ほどの利益を出せていたのは、米軍関係者のプライベート利用があったからだそうだ。コロナの感染状況が落ち着き、この夏の予約状況は順調。「7、8月は満室に近い運用ができそうで安心しています」と話す。

■民泊参入「簡単ではない」

新規参入に向け、準備中の人もいる。都内在住のはとさんは今年5月、沖縄本島にある築30年の区分マンションを購入。フルリフォームして夏ごろに民泊を始める計画だ。

年に数回旅行で沖縄を訪れるというはとさん。沖縄で投資用の物件を以前から探していたところ、手頃な価格で売り出されているのを見つけ、購入することにしたという。今後の観光業の盛り上がりに期待し、民泊に挑戦することに。しかし、実際に準備を始めてみると、予想以上にコストがかかることに驚いたという。

「宿泊料から光熱費や清掃費、代行委託料などの経費を差し引くと利益はほとんど残らなそうです」(はとさん)

参入のための申請手続きにかかる手間も多く、会社員のはとさんにとって負担が重いという。「民泊は簡単にできると思っていましたが、申請に必要な書類が多いなど思ったよりハードルが高いと感じています。民泊をやってみて、厳しそうならウイークリー賃貸にするかもしれません」と話す。

■「民泊」の形どう変わる

民泊新法の制定やコロナ禍など大きな環境の変化にさらされてきた「民泊」。今後の活路はあるのだろうか。

石川県金沢市で5棟を運営する実践大家コラムニストの吉岡ライズさんに話を聞いた。小規模な宿泊施設のマーケティング支援なども行う吉岡さん。「民泊は単なるホテルや旅館の代替施設ではなく、ホテルや旅館にはない価値を提供していく必要がある」と話す。

ファミリータイプのマンションや一軒家を丸ごと貸し出すタイプの民泊は、ホテルと比べて1部屋の定員が多いことが特長の1つ。キッチンやダイニングも付いていて、大人数のグループで泊まれる点がホテルとの差別化ポイントでもあったという。

しかし、吉岡さんによると、最近はホテルでもグループで泊まれる部屋が増えている。都市部の民泊は、ホテルと競合する可能性が高いという。

「ホテルや旅館よりも、滞在のスタイルを宿泊者が自由にカスタマイズできる点が民泊の強みといえます。例えば、庭でバーベキューができるなど、設備や環境を整えることも強みを生かす一つの方法だと思います」(吉岡さん)

吉岡さんは今後、外国人のワーケーション需要に注目しているという。

「日本では感染状況の落ち着きに伴いリモートワークが減っていく傾向にありますが、海外ではこのままリモートワークの流れが続くと考えています。どこにいても仕事ができるため、海外を旅しながら仕事をするというライフスタイルを選ぶ人もいます」(吉岡さん)



今回のアンケートでは、インバウンドの復活に期待して民泊物件を新たに購入している人や、購入を検討している投資家が一定数いることがわかった。一方で、外国人観光客がコロナ前の水準に戻るのはもう少し先になるといった慎重な意見も。地域によって参入のしやすさや宿泊需要にも差があるだろうが、外国人観光客の戻り具合によっては、民泊が投資先としてさらに注目される可能性はありそうだ。

不動産投資の楽待

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最終更新:6/27(月) 19:00

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