IDでもっと便利に新規取得

ログイン

不妊治療の保険適用がスタート!費用負担はどう変わる?

6/27 11:30 配信

SODATTE

2022年4月から、不妊治療の保険適用範囲が大幅に拡大されました。不妊治療は自己負担の割合が高く、人工授精や体外受精、顕微授精などは高額な治療費を負担する必要がありましたが、保険適用により費用負担の軽減が期待されています。保険適用の範囲や具体的な費用負担額、押さえるべきポイントなどについて、自らも不妊治療により3人の子どもを出産した“妊活・不妊治療のお金の専門家”であるファイナンシャル・プランナーの宮野真弓さんに伺いました。

不妊治療とは、どんな治療を指す?

日本産科婦人科学会によると、子どもを望む健康な男女が、性交をしているにもかかわらず1年間妊娠に至らない状態を「不妊」としています。したがって、「1年」が不妊治療を始めるひとつの目安になりますが、出産年齢の高齢化などを背景に、1年を待たずに医師の判断で治療を始めるケースもあります。

不妊治療は、なぜ妊娠に至らないのか、その原因を探る各種検査から始まります。子宮や精子に問題がないかを確認し、もし子宮筋腫や子宮内膜症などといった不妊の原因となり得る原因が見つかった場合、まずはその治療を行なうことになります。

ただ、宮野さんは「検査の結果、不妊の原因がわからないケースも少なくありません」といいます。「その場合は、まず排卵日を推定し、最も妊娠しやすいといわれている時期に性交を持つ『タイミング法』を実施します。タイミング法を数周期で実施しても妊娠しない場合は、内服薬や注射で排卵を促す『排卵誘発法』、良好な精子を取り出して最も妊娠しやすい時期に子宮内に注入する『人工授精』、体外で卵子と精子とを受精させ数日後に子宮内に受精卵を戻す『体外受精』、精子を卵子の中に直接注入する『顕微授精』…と治療法をステップアップさせていきます」(宮野さん、以下同)。

新たに保険適用となった人工授精、体外受精、顕微授精

これまで不妊治療の保険適用対象は、原因検索のための検査とその治療に限られていましたが、2022年4月からは原因不明の不妊に対する治療に関しても新たに保険適用されることになり、原則3割負担となりました。具体的には人工授精、体外受精、顕微授精が対象です。また、治療にかかった自己負担額が1カ月間で一定額を超えた場合には、「高額療養費制度」の対象にもなります。これにより、子どもが欲しくても費用面であきらめざるを得なかった人も、治療を受けやすくなりました。

なお保険適用には条件があります。治療開始時の女性の年齢が43歳未満であることが必要で、助成の回数も治療開始時の年齢により異なります。初めての治療開始時点の女性の年齢が40歳未満の場合は1子ごとに通算6回まで、40歳以上43歳未満の場合は1子ごとに通算3回までです。なお男性側の年齢制限はありません。

一方で、これまで適用されていた国の「特定不妊治療費助成制度」は廃止となりました。

これまでの助成制度では、(1)1回30万円(採卵を伴わない凍結胚移植などは10万円)、(2)男性不妊治療を行なった場合は1回につきプラス30万円の助成金が受取れましたが、保険適用範囲の拡大に伴い終了しました(一部経過措置あり)。

なお、各自治体でも個別に助成金制度を設けています。こちらは継続されている場合もあるので、お住まいの自治体の制度を確認してみるとよいでしょう。

不妊治療にはいくらぐらいかかる? 保険適用前との比較

不妊治療にかかるお金のおおよその目安を、宮野さんに伺いました。

「保険適用前の金額感として、人工授精・体外受精・顕微授精のいずれかを経験した人の平均費用は130万円ほど、高度不妊治療(体外受精・顕微授精)の経験者の平均費用は190万円ほどとされています。ただ、タイミング法の段階で妊娠した場合はおおよそ10万円程度ですし、実際にはかなり個人差があります。また、不妊の原因が男性側にある『男性不妊』の場合は、必然的に顕微授精とセットになるため、投薬や注射などの治療に40万~50万円、顕微授精に50万~60万円と、計100万円ほどかかるケースが多いようです」

治療内容別に、具体的な費用負担の目安を以下にまとめました。子ども1人につき最大6回まで保険適用での治療が受けられる点を考慮しています。

(図:一般不妊治療の場合(40歳未満の場合))

(図:体外受精の場合(40歳未満の場合))

(図:顕微授精の場合(40歳未満の場合))

(図:男性不妊の場合(40歳未満の場合))

不妊治療を始める前に「治療にかけるお金の目安」を決めておく

これまでは病院によって治療内容も料金もまちまちでしたが、保険適用により不妊治療の内容と金額が標準化されました。保険適用の条件である「治療開始時の女性の年齢が43歳未満」であることをクリアすれば、誰でも一定の治療を受けることが可能になりました。

ただ、「注意したほうがよい点もある」と宮野さんは指摘します。

「不妊の原因は人によってさまざまであり、不妊治療自体もまだまだ発展途上です。保険適用外の最新機器の導入や独自の治療法を研究・実践している病院は多く、そのような治療に望みをつなぐ人も少なくありません。しかし現行の制度では、保険適用外の治療を受けると保険適用分もすべて自己負担になってしまうので注意が必要です。保険適用内の治療と適用外の治療を組合わせたものを「混合診療」といいますが、混合診療は現在の医療保険制度では認められておらず、混合診療の場合は保険適用内の治療であっても保険が適用されないのです」

また、不妊治療は必ず結果につながるものではありません。治療を進めてもなかなか妊娠できず、終わりが見えないと感じる人も少なくありません。

「だからこそ、『不妊治療にかけるお金の目安』を事前に決めておくことをおすすめします。いくらぐらいまでならお金を出せるのか、治療前に夫婦で話し合い、おおよそのめどを設定しておきましょう。そして、その金額に到達しそうになったら、治療を継続するのかやめるのか、その都度話し合って決めていくとよいでしょう」

宮野さんによれば、不妊治療が長引けば長引くほど後に引けなくなり、湯水のようにお金を注ぎ込んでしまう人もいるといいます。

「不妊治療後も人生は続きます。そして、もし妊娠・出産できたら、教育費など子育てにも費用はかかってきます。長い人生を考え、マネープランを立ててから治療に臨むことが大切です」

保険適用を機に、社会で不妊治療への認識が広がることを期待

保険適用に伴い、不妊治療に関する経済的な負担は軽減されましたが、同時に国の助成制度も撤廃されたため、治療内容によっては保険適用前と費用があまり変わらないというケースもあります。一方で、「不妊治療が保険適用されたことにより、家庭や職場などで不妊や妊活の話がしやすくなったり、不妊治療に一歩踏み出せなかった人が受診しやすくなったりする社会的な効果は非常に大きいと思います」と宮野さんは話します。

また今回の保険適用に伴い、国は企業に対して、不妊治療中の社員へより一層の配慮を求めています。これも明るいニュースといえるでしょう。「実際、不妊治療中は薬の副作用に悩まされたり、自宅と職場、病院の3カ所の行き来に追われたりするなど、身体的に大きな負担を強いられます。そんな状況に配慮し、不妊治療に特化した休暇・休職制度を設けたり、通院のため半日単位や時間単位の有給休暇の取得を可能にしたり、時差出勤やテレワークなど働き方に配慮したりする企業が増えつつあります」。

不妊治療への理解が進むほどに、制度の拡充や働き方の選択肢拡大につながり、仕事と不妊治療の両立がしやすい社会になっていくことを期待したいですね。

文/伊藤 理子

<プロフィール>
宮野 真弓さん

FPオフィスみのりあ 代表、ファイナンシャル・プランナー(1級ファイナンシャル・プランニング技能士、CFP(R)認定者)。証券会社、銀行、独立系FP会社での勤務を経て独立。子育てファミリーや妊活カップルのライフプランニングを中心に活動。不妊治療(体外受精)により3人の男児を出産した自身の経験を基に、子どもを望む方や育児中の方などへ向けた講演や執筆、個別相談も行なっている。

----------

【情報提供元(外部サイト)】
■SODATTE(そだって)/大和証券
子育てに奮闘するパパ・ママが元気になれるコンテンツと子育て資金に関する知恵をお届けする「パパ・ママの子育てを実践的にサポートする情報サイト」

・投資判断の参考となる情報提供を目的としており、投資勧誘を目的として作成したものではありません。
・関連ニュースは「SODATTE(大和証券)」サイトに遷移します。
商号等:大和証券株式会社 金融商品取引業者 関東財務局長(金商)第108号

SODATTE

関連ニュース

最終更新:6/27(月) 11:30

SODATTE

投資信託ランキング

Yahoo!ファイナンスから投資信託の取引が可能に

最近見た銘柄

ヘッドラインニュース

マーケット指標

株式ランキング