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ドゥカティ「パニガーレ」記念モデルに漂う伝統。名ライダー・ベイリスの名を冠した走りの本質を探る。

6/25 8:41 配信

東洋経済オンライン

 今回、ドゥカティの2気筒スポーツセグメント最高峰でもある「パニガーレV2 ベイリス 1stチャンピオンシップ 20周年記念モデル」に試乗したので、そのフィーリングをお伝えしたい。

 パニガーレと言えば、2012年に発売されたV2(V型2気筒エンジン)搭載の「1199パニガーレS」が印象的ではあるが、2017年7月には「1299パニガーレRファイナルエディション」へ進化し、ドゥカティの2気筒ファンをおおいに唸らせた。一方でスーパーバイク世界選手権の完全制覇を目指し、2018年にV4(V型4気筒エンジン)搭載の「パニガーレV4」を投入し、フラッグシップモデルとしての座を明け渡した。

 しかしながら、伝統の2気筒を受け継ぐ、何ものにも代えがたいドゥカティらしいエンジンフィールを望むユーザーも多い。そこで1199パニガーレSに搭載されたV型ツインエンジン「スーパークアドロ」を、より扱いやすく改良したマシンとして「959パニガーレ」をリリース。その正常進化版が今回の「パニガーレV2 ベイリス 1stチャンピオンシップ 20周年記念モデル」となる。

■トロイ・ベイリスの名を冠したスペシャルモデル

 ネーミングの由来でもあるトロイ・ベイリス選手は、ドゥカティワークスライダーとしてスーパーバイク世界選手権で2001年、2006年、2008年と3度の世界タイトルを獲得したレジェンド。さらに2006年度最終戦MotoGPバレンシア大会へスポット参戦し、最終ラウンドという最もホットな戦いの場でも、あっさりと優勝してみせた。スーパーバイク世界選手権でチャンピオンを獲得した2008年、最終戦でも優勝を飾り、その大会をもって現役を引退する、じつに潔い男なだけに数々の伝説的な走りが今も語り継がれている。

 そんな、ベイリス選手の名がつけられたマシンが「パニガーレV2 ベイリス 1stチャンピオンシップ 20周年記念モデル」である。まず目に飛び込んでくるのが、美しいトリコローレにペイントされたグラフィックと、彼の愛したゼッケン21だ。ドゥカティは、多くの市販モデルで単色展開を好むメーカーだが、選手の名がつけられたプレミアムモデルは、真逆とも言える情熱的なカラーリングで人々を魅了する。

■ドゥカティ伝統の90°V型2気筒エンジンを搭載

 エンジンは、955ccで2気筒のスーパークアドロ・エンジンが搭載され、最高出力は10750rpmで155ps、最大トルクは9000rpmで104Nmを発生。長きにわたりドゥカティストを魅了してきたエンジンキャラクターそのものだ。

 パフォーマンスこそ、4気筒で220馬力を誇るパニガーレV4へ譲るものの、扱いやすいエンジン特性と相まって、レギューレーションで参加可能(気筒数によって排気量が異なる)なスーパースポーツ世界選手権600クラスでは表彰台も獲得。とは言え、決してむずかしいマシンではない。

■一体感を生み出す軽量コンパクトなシャーシ

 マシンを目にして改めて感じるのは、その美しい柔和な曲線を多用したデザインだろう。流行りの付加価値的エアロパーツをあえて装着しないことで、本来の造形が引き立つ。

 国産マシンとは違い、いかにコンパクトにマシンを作り込むか? 

 生産性との戦いでもあるテーマに、超小型モノコックフレームというシャーシデザインを活かしたドゥカティの技術力が垣間見える。それは跨っても実際に股の下でいかにマシンが細く仕上がっているかが体感できる。太ももの内側やタンクへのニーグリップ、踵のステッププレートへも自然と一体感を感じるので、4輪で例えるならできのよいバケットシートに収まるような感覚だ。シート高835mmながらも数値以上に脚つき性は良好だ。

 そして目に飛び込んでくるのは、左右ハンドルの間にある機能部品。アルミビレット加工されたトップブリッジには、レーザー加工された“ベイリス”の名とシリアルナンバーが刻印されている。足まわりに目を移せば、オーリンズ製のコンポーネントが採用されている。フロントにはNX30フォーク(左コンプレッション、右リバウンドに加えプリロードは左右でそれぞれ調整可能)、リヤにはスポーツモデルの定番とも言えるTTX36フルアジャスタブル仕様のショックアブソーバーを装備する。

 また、ブレーキはフロントに320mmローターのブレンボを装着し、リヤは245mmローターだが制動力に不満はなく、装着されたピレリ・ディアブロ・ロッソコルサⅡとのマッチングもセンスのよさがうかがえる。付け加えるならリチウムイオンバッテリーとシングルシート(パッセンジャーシート&フットペグは同梱)、新型サイレンサーの採用でスタンダードモデルに対して3kgの軽量化を実現し、記念モデルとしてのステイタスも達成している。

 メインキーをオンにすると、排気デバイス等の作動音が賑やかだ。キルスイッチ一体型のセルボタンで、小気味よいV2サウンドが聞こえてくる。走り出す瞬間にドライウエイト174.5kgという軽さを感じる。スポーツモデルとしては意外なほど足つき性がよく、軽量コンパクトな設計に加え、GPマシン並に少々幅広のハンドルのお陰で、街乗りでの違和感もまったくない。

■ストリート、サーキットともに扱いやすさが光る

 何時もの試乗コースにあるUターンポイントでも意外なほどの使いやすさで安心感が増してくる。都心部では、持て余してしまいそうなビジュアルだが、ドライバビリティーは高く、4速50km/hで3500rpmという回転域でもトコトコとリズミカルに走ってくれる。高速道路では、6速80km/hで3000rpmと、高速巡航も優れたカウルデザインに助けられ、何処までも走りたくなる気持ちのよさが印象的だ。

 一方、サーキットでは本来の性能を出せと言わんばかりだ。フロント弱アンダーステア気味の味付けがなされた車体は、サーキットでも過敏になることなく、ブレーキングからのターンインで美しいラインをトレースしてくれる。エンジンパワーは最新のハイスペックモデルとは違い、扱いやすさに重点を置いているだけに、ドゥカティならではのエンジンフィーリングを堪能できる。

 エンジンマップは3段階で、ストリート・スポーツ・レースと切り替え可能。あわせてトラクションコントロールに前後ABSの介入度も変更できるので、ライダーに最も適した選択が可能だ。シフターはアップダウンともに作動がデフォルトだが、これも任意で設定変更が可能。このマシンは正に2気筒ドゥカティの真髄とも言える鼓動を体感できる。ながきにわたり基本理念を変えずに来た伝統の2気筒エンジン。さまざまな時代を乗り越え、独自の世界観を創り込むエンジニアのパッションを感じずにはいられないマシンだ。

東洋経済オンライン

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最終更新:6/25(土) 8:41

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