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「現時点での金融引き締めは適切でない」日銀・黒田総裁会見6月17日(全文2完)

6/17 19:56 配信

THE PAGE

 日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の17日午後、記者会見を行った。

※中継機材不調のため、記者会見の冒頭部を除いて書き起こしを行っております。ご了承ください。

     ◇     ◇

国債の流動性を懸念をする声があるが

ブルームバーグ:ブルームバーグニュースの藤岡です。先ほど来、今後も10年物金利というのは、指し値など、いろんなオペ、買い入れを通じて抑えていくということですが、そこにきて、今、足元で、マーケットの中で、国債の流動性について懸念をする声があるんですけれども、その点について、総裁はどのように考えてらっしゃるのか、対応する考えがあるのかというのが、まず1つと、あと、先ほど来、限界というのは生じていないということですけども、今後、主要な中央銀行が引き締め方向の動きというのを見せて、日銀は違う方向をはっきり見せたわけですけども、今後も限界は来ないと総裁は、はっきり言っていただけるのかどうか、お願いいたします。

黒田:これは、やや哲学的な議論になってしまうと思いますけども、われわれの長短金利操作付き量的・質的金融緩和というのは先ほど来、申し上げているような短期の政策金利と10年物国債の金利についてターゲットをつくって、それを維持することによって適切なイールドカーブを形成すると。そのためには国債の買い入れ額を必要なだけ買い入れることによって、それを実現するっていうことですので、理論的には可能であり、海外の金利が上がっても上昇圧力に対して国債の買い入れ額を増額するとか、あるいは指し値オペをするとか、いろんな形で、基本的にイールドカーブ・コントロールを維持できるというふうに考えております。

 それから、最近のそういった連続指し値オペその他によって、イールドカーブをしっかりとした形で安定させようとしておるわけですけども、そうした中で、他方で先物市場がかなり大きく動いて、この現物と先物の値動きが乖離してる、あるいは流動性が低下してるんじゃないかということもいわれておるわけですので、そういったことに関しては適切な対応も取っていくと。例えば、従来から香港の買い入れに伴って特定の銘柄の流動性が低下するというようなことがあった場合には、国債補完供給制度などを通じて対応してきたところでありまして、いずれにせよ、国債の流動性については十分注視して、適切な対応を取っていくということに尽きると思います。

今の金融政策を見直す余地はあるのか

毎日新聞:すいません、毎日新聞の【・・・※聞き取り困難・・・】といいます。先ほどの為替の質問に関連してなんですけれども、先ほど総裁、為替が変動する要因はさまざまで、時期によってどれが重視されるか変わるとおっしゃいましたが、今、足元見れば、やはり各国の中央銀行の金融政策が違い、そして金利差が意識されて、もしかしたら合理的じゃないのかもしれませんが、市場参加者がかなりそれを材料視しているということが言えると思うんですけれども、総裁のお考えはいかがでしょうかというのと、それに関連し、そういう材料視されて、急速に円安が進んでるとして、さらにそれが今後も続いたり、深刻化するとなれば、今の金融政策を見直すという余地はあり得るのでしょうか。この2問をお願いします。

黒田:先ほど来、申し上げてるとおり、金利差というものが為替に影響するということは十分ありうるわけですし、ご指摘のように、今、そういったことを材料視して、市場が動いているっていう可能性は否定できないと思いますけれども、そもそも為替はさまざまな要因によって動きますので、その為替について、中央銀行が為替をターゲットにして金融政策を運営するっていうことはないわけでして、あくまでも物価の安定を目標にして、金融政策を運営するということに尽きるわけでありまして、為替をターゲットにして金融政策を運営するというようなことはないというふうに申し上げられると思います。

幹事社:ごめんなさい、幹事社からなんですけれども、そろそろ予定の時間が迫っておりますので、現在、手をあげてる方で終わりにしていただきたいのと、1人1問でなるだけよろしくお願いします。

黒田:どうぞ。私、今、向こうの一番前の方を指したんですけど。

市場担当者は更迭すべきではないか

記者1:どうもどうも。いやいや、指してくださって本当にありがとうございます。一番後ろに座ってるもんですから、今日は無理かなと思ってたんですけど、ありがとうございます。1人1問と幹事の方は言われたんですけど、すいません、僕、3つ用意してたんですけど2つにします。

 1つは先ほど0.26か、付いたというご質問があったんですけれども、これについてはやっぱり、わずかなことというようなことではなくて、総裁がラストリゾートと言っておられた指し値オペが破られたわけですから、これは相当なことだと言ったほうがいいと思うんですね。その危機感がこの会見ではあんまり伝わってこないのが少し残念ですし、これ、総裁の責任だとはまったく思わないんですけれども、これ、破られたことについてはですね。やはり市場の担当者の責任ではあると思うんですね。そういう意味で、極端に言えば、市場担当者は更迭すべきではないかと思うんですけれども、それについては総裁はどうお考えになるか。これが1点目です。

 2点目は、イールドカーブ・コントロールについては、従来から最初2016年にマイナス金利の打開策として導入をされて、最初は0%程度から始まって、0.1、0.2、それから昨年3月に0.25まで幅を広げてきているわけですね。この0.25は今回のステートメントに載っていなくて、公表をきちんとすることについては総裁が主導して、されてこられたのにもかかわらず、前回は点検に載ってるからということなのかもしれませんけれども、やはり文書に載せなくなったことについては、はなはだ不安と感じなくはないと。

プロパーと総裁の間で対立があるのか

 なぜ今回載ってないのかということと同時に、幅を広げてきて、さらに点検の以降、日銀の中で事務方の方々は、これ、もっと広げるとか、出口に向けてもっと政策を拡大していこうというような意見をずいぶん具申されていたようですけれども、それに対して総裁は常に蹴飛ばされていたという事実があったと思うんですね。それについて、極端に言うと、日銀の中にプロパーの方と総裁の間で対立があると言ってもいいような内容ではないかと思うんですけれども、そういう事実についてと、総裁のご見解を賜りたいと思います。

黒田:従来から申し上げているように、プラス0.25%のレンジの中で、長期国債、10年物国債金利が変動するということを認めるということでありまして、それを超えるような場合には指し値オペその他各種の手段で、これをその範囲内に入るようにしてきております。従いまして、ご指摘のようなことは当たらないと思います。

 また、次のご質問で、日銀の中でそういう意見があって、割れてるのではないかというようなことを言われましたが、そういうことはまったくありません。

民意と逆の政策になっているのでは

朝日新聞:朝日新聞の原です。よろしくお願いします。総裁がおっしゃるとおり、今のコストプッシュインフレに金融緩和が有効でないというご説明はよく分かるんですけれども、それでも今、世論はこの物価上昇に対して非常に警戒し、反発しているわけですが、その中で物価を上げるための金融政策を引き続き続けるということは、民意と逆の政策をやっているということではないんでしょうか。せめて、せめてこの金融緩和、超金融緩和をもっとニュートラルな政策に正常化するという選択肢はないんでしょうか。

 今のままですと、異次元緩和を10年続けて総裁は交代されることになるわけですけれども、このまま、異次元緩和を続けたまま総裁が日銀を去るというのは、無責任ということになりませんでしょうか。

黒田:そういうふうにまったく考えておりません。今の物価上昇は、基本的に国際商品市況、エネルギー、食料品の国際価格が上昇したことを受けて2%程度上昇しているわけですので、これはむしろ景気に対する下押し圧力になっているわけです。従って、そういうときに金利を上げると、あるいは金融を引き締めるっていうと、さらに景気に下押し圧力を加えるっていうことになってしまいます。で、それは何回も申し上げますけども、日本経済がコロナ禍から回復しつつあるというものを否定してしまうと、経済がさらに悪くなってしまうということにほかなりませんので、そういった金融政策は適当でないというふうに考えております。

CBDCの検討状況を聞きたい

記者2:すいません。ありがとうございます。CBDCの件でお伺いしたいんですけども、すいません、先月、Fedのブレイナード副議長も、CBDCに関しては米国がリード役を果たすことが重要だっていうようなことを言われていたり、一方、スタッフも米国でもしCBDCの導入を決めるようなことがあった場合には5年ぐらい掛かると。総裁は先日、国会のほうで、2026年までには導入するかどうかを決めるような方向性を言われてたかと思うんですけども、現状での検討状況をできればお伺いしたいんですけども、よろしくお願いいたします。

黒田:ご案内のとおり、日本銀行は昨年4月に実証実験を開始して、本年3月までにCBDCの基本機能に関する検証を終了いたしました。4月からは実験の第2段階として、CBDCにさまざまな周辺機能を付加して、その実現可能性、あるいは課題を検証しております。また、CBDCの活用方法、中央銀行と民間事業者の協調、役割分担の在り方など、制度設計面の検討にも取り組んでおります。

 この間、海外の多くの中央銀行も、CBDCの検討が進んでいるようでありまして、欧州では来年9月にデジタルユーロに関する2年の調査フェーズを終えて、本番システムの開発を意味する実現フェーズへ移行するかどうかを判断すると言っておりまして、実現フェーズにさらに5年ぐらい掛かるということも言っておられますけれども、わが国でCBDCを導入するかどうかっていうのは、こうした内外の情勢を十分踏まえて、今後、国民的な議論の中で決まっていくものというふうに考えておりまして、日本銀行としてはその前提になるものとして、CBDCに関する技術面、および制度面の検討をしっかりと進めてまいりたいというふうに考えております。

2026年度に緩和政策を終える環境が整うと見ているのか

ニッキン:ニッキンの【・・・※聞き取り困難・・・】と申します。1点、日銀、総裁のご認識の確認なんですけれども、前回の展望レポートの政策委員見通しで、新たにコアコア物価の予測を出されまして、その中央値を見ますと22年度が0.9で、23年度が1.2で、24年度が1.5と、0.3ポイントずつ、いわゆる等差で高まっているんですけれども、で、日銀の先々の物価見通しですとかを踏まえて、仮にではあるんですけれども、その上昇ラインを延ばすと、2026年度に物価安定目標の2%を超えることになるんですが、4月時点ではあるんですけれども、政策委員の中心的な見方として、今の緩和政策の出口について、足元では距離を置きつつも、26年度には手を掛ける環境が整うとみていらっしゃるのか、もしくはそもそも今申し上げた予測値の捉え方っていうのは間違っているのか、その点をちょっと伺えればと思います。

黒田:その予測値っていうかですね、生鮮食品とエネルギーを除いたところで見た数字というのを示しておりまして、それはご指摘のとおりであります。次回の展望レポートでまたさらにその後の状況も踏まえて、新たな委員の見通しが出てくると思いますけども、ご指摘のような、そういうふうに一定のトレンドでいくというふうになるのかどうかっていうのは分かりませんし、あくまでも委員の見通しの中央値は2022、2023、2024年度までを示しているだけですので、それ以上の、その先のことについてまで何か政策委員の合意があるとか、あるいは見通しが提示されているっていうことはないというふうに思います。いずれにせよ、そういったことを毎回の政策委員会で議論して、適切な金融政策を運営して安定的、持続的な形で2%の物価安定目標を実現することを目指すということに尽きると思います。

政策修正した場合、経済にどのような影響があるのか

共同通信:共同通信の【・・・※聞き取り困難・・・】と申します。先ほど、総裁は為替をターゲットに金融政策を運営することはないと繰り返しおっしゃいました。値上げに苦しむ家計や企業の一部では日銀の金融政策の修正による円安の是正を望む声さえあります。現在の日本の経済環境で仮に日銀が金融引き締め的な政策修正をした場合に、経済にはどのような影響があるとお考えでしょうか。

黒田:これは非常にシンプルな話で、先ほど来申し上げているようにコロナ禍からの回復途上で、まだGDPもコロナ前の水準よりも2%強下回っているという状況にありますので、そういったところで金融引き締めをする、金利を引き上げるっていうことにすれば、当然経済はさらに下向きに動いてしまうと。景気も悪くなるっていうだけじゃなくて、経済成長も大きなマイナスになるとか、そういったことになる恐れがありますので、今の時点でそういった金融引き締めを行うということは適切ではないというふうに思っております。

男性:それでは。

大企業、金持ち優遇、庶民二の次が日銀の考えか

横田:フリーの横田一ですけども、東京大学、吉川洋名誉教授は、先進国の中で物価高と賃金下落を招いたのは日本だけだと金融緩和政策を批判しているんですが、結局、アベノミクスの柱である金融緩和は大企業、お金持ちは株安、円安でもうかっても、庶民は物価高で苦しむというのが結論、結果だと思うんですが、これを是正しないのはなぜなんでしょうか。大企業、金持ち優遇、庶民二の次というのが日銀のお考えなのか。アベノミクスを否定すると安倍さんに怒られるとか、忖度してるとか、そういう理由なんでしょうか。このままだと黒田インフレと言われかねないと思うので、ご反論をお願いします。

黒田:まったくそういうふうに考えておりません。2013年の1月に日本銀行の政策委員会の独自の判断で2%の物価安定目標を決め、それが政府と日本銀行の共同声明にも採用され、2013年の4月から量的・質的金融緩和というものが始まったわけですが、そうした下で、それまで15年続いたデフレは、デフレのない状況になり、ベアも復活し、経済成長も復活し、そうした下で、先ほど来、申し上げているようにデフレではなくなったわけですが、残念ながら2%の物価安定の目標は達成されてなかったということであります。しかし、そうした中で、雇用も非常に大きく拡大し、そういった面では所得も幅広く上昇したということがありますので、ご指摘のようなことはまったくなかったというふうに考えております。

 従いまして、今の足元の2%の物価の上昇は、そういったことによって上昇しているのではなくて、国際的な資源価格の上昇によって上昇している、コストプッシュ型のインフレですので、交易条件が悪化し、所得が海外に流出して、経済を下押しするという恐れがあるわけですので、今、コロナ禍からの回復過程にある日本経済をしっかりと支えていく必要があるというふうに考えております。

幹事社:では、ほかに質問もないようですので、ありがとうございました。

(完)【書き起こし】日銀・黒田総裁会見6月17日

THE PAGE

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最終更新:6/17(金) 19:56

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