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「急速な円安の進行は経済にマイナス」日銀・黒田総裁会見6月17日(全文1)

6/17 19:36 配信

THE PAGE

 日銀の黒田東彦総裁は金融政策決定会合後の17日午後、記者会見を行った。

※中継機材不調のため、記者会見の冒頭部を除いて書き起こしを行っております。ご了承ください。

     ◇     ◇

イールドカーブ・コントロールに限界生じていない

黒田:それから、海外の長期金利の高騰を反映して、長期金利に上昇圧力が生じたということで、それに対しては指し値オペ、特に連続指し値オペというものを行って、全体としてのイールドカーブをイールドカーブ・コントロールという形で、低位に安定をさせてきておるわけであります。2問目におっしゃったように、指し値オペを実施してることもありまして、わが国の長期金利は調節方針と整合的な水準で推移しておりますが、足元で長期国債先物に強い売り圧力が見られる中で、7年ゾーンに金利上昇圧力が強まっていったということがありましたので、そのゾーンを対象とする、ご指摘のチーペストのものに対する連続指し値オペを追加で実施するなどの対応を講じたところであります。

 今後とも日本銀行としては10年物国債金利が0%程度で推移し、10年物以外のゾーンについても、これとおおむね整合的なイールドカーブが実現するように指し値オペ、あるいは国債買い入れ金額の増額、オファー日程の追加など必要な措置を講じてまいる所存でありまして、イールドカーブ・コントロールに限界が生じているということはないというふうに考えております。

「円安は経済全体にプラス」という見解を変えたのか

朝日新聞:朝日新聞の津阪と申します。為替についてお伺いします。先ほど総裁は、急激な円安の進行は経済にマイナスでありうるというお話でしたけれども、これまで総裁は、円安は経済全体にとってプラスであるというご説明を繰り返されてきましたけれども、この見解に変更があったということなのか、どうなのか教えていただけますか。

黒田:この点については従来から為替レートにつきましては、特定の水準をうんぬんするということではなくて、あくまでも経済・金融のファンダメンタルズを反映して、安定的に推移することが経済にとって最も好ましいということを申し上げてきたわけであります。そうした意味で、先ほど申し上げたように、このところ起こった急速な円安の進行というものは、そういったことに反しておりまして、経済にマイナスになるということでありますので、そういったことを明確に申し上げるとともに、今後とも金融・為替市場の動向については、よく注視していく必要があるというふうに考えております。

 特に先ほど来、ご質問にありましたように、欧米で長期金利がかなり急速に上昇しておりまして、その影響が、先ほど来、申し上げたように、わが国の金利にもそれなりのインパクトを与えてきたわけでございます。そういったことも踏まえて、適切なイールドカーブ・コントロールをしっかりとやっていくという必要がありますし、金融・為替市場についてはよく注視して、その経済・物価へ対する影響は見ていく必要があるということであります。

急な為替変動は企業心理に悪影響を与えているか

ロイター:ロイター通信の木原です。2問お願いします。1問目は最近の急激な為替の変動、企業や家計の心理に悪影響を及ぼしうると思うんですが、すでにそうした悪影響が及んでいるのか、また、そうした動きによって経済が悪化してしまった場合は、現行の緩和政策を維持するだけではなく、緩和の強化ということになるのかどうか、そういう措置を取るとまたさらに円安が進んでしまうというデメリットもあると思うんですが、そこをどう考えていらっしゃるのかが1問目です。

 また、ちょっとこれ、確認なんですけれども、10年金利ターゲットの上下0.25%に収めると、この0.25%の金利よりも高い金利水準、あるいはこの金利ターゲットの上限、今、0.25、これを上に引き上げるというような、要は市場でいわれているレンジの拡大というのは、これは利上げ、金融引き締めと同等であるという理解でよろしいでしょうか。

黒田:まず、為替の問題につきましては、先ほど来、申し上げてるように、具体的な水準とかそういうことについてコメントすることは差し控えたいと思いますけども、過去数週間に起こったような急速な為替の変動というのは、企業の計画策定に関して、大きな不確実性をもたらすということで好ましくないと、経済のマイナスになるというふうに考えております。

日本経済は全体として回復途上にある

 そういった意味で、具体的にそれが今、例えば設備投資等に影響が出てるかと言われると、今のところは、ご承知のように企業収益は高水準で推移しておりますし、設備投資も一部に弱さは見られますけれども、全体としてはかなりしっかりした動きをしておりますので、今のところ直ちに為替の変動が企業の心理とかそういうものに大きな影響を与えたっていうことではないかもしれませんが、やはりさまざまな経済界の人も言っておられるように、急激な為替の変動というのはやはり好ましくないということは、まったくそのとおりであると思っております。

 なお、今申し上げたように、それから最初に申し上げたとおり、日本経済は全体として回復途上にあり、そういう中でしっかりとそれを支えていくっていう必要が金融政策にあると思います。また仮に、さらに必要があれば、先ほど申し上げたようにちゅうちょなく金融のさらなる緩和をする用意があるということでありますが、今のところ、先ほど来、申し上げているように日本経済は内外のいろいろな状況を反映して一部弱めの動きも残ってますけども、他方でやはり感染症の影響が和らぎ、消費が回復しつつあり、それから設備投資も先ほど来申し上げているように、高水準の企業収益を反映してかなりしっかりした動きをしておりますので、今の時点で何か、さらなる金融緩和をしなければいけないっていうことではないと思いますけども、必要があれば当然そういったことも行うということであります。

 それから、もう1つのお話は、プラスマイナス0.25%のレンジというのは、これは昨年3月の点検で長期金利の変動が一定の範囲内、具体的には上下にプラスマイナス0.25%程度であれば、金融緩和効果を損なわず市場の機能度にプラスに作用するということを定量的に確認したことを踏まえた措置でありまして、先ほど来、申し上げたとおり、さまざまなオペ、その他でこうした調整方針と整合的なレンジ内で推移しておりますけれども、このところ欧米金利の動きに起因する金利上昇圧力が掛かる中で、変動幅の上限に近い水準が続いております。

 こうした状況で仮に変動幅の上限を引き上げれば、長期金利は0.25%を超えて上昇すると予想され、金融緩和効果は弱まると考えられますので、そういったことは、そういうことをやろうとは考えておりません

為替の動向を注視する理由は

テレビ東京:テレビ東京の大江と申します。よろしくお願いいたします。先ほどから総裁のお答えの中でも何度か出て来ている文言で、今回の公表文のリスク要因のところで、金融・為替市場の動向を十分注視する必要があるという、この為替という文言を盛り込んでいます。これは日銀としても為替の動向を注視するというスタンスを明確にされたということだと思うんですけれども、注視した上でどうなさるのかという部分が気になります。為替の動向を今後、金融政策を決める際に判断材料に加えるということなのでしょうか。

 そしてもう1点なんですけれども、先日アメリカはFOMCで政策金利を0.75%引き上げました。アメリカは景気後退リスクを負いながらのインフレ抑制をしていくということになるのかもしれませんけれども、それでもアメリカが早期に、またしっかり目にインフレを抑えるということが日本経済、それから日本の金融政策の行方にとっても重要だと考えていらっしゃるでしょうか。お願いします。

黒田:為替につきましては、従来から申し上げているとおり、経済・金融のファンダメンタルズを反映して安定的に推移することが望ましいということでありまして、過去数週間、やや急速な為替の変動が起こったということで、これは好ましくないということをはっきり申し上げるとともに、そういった為替の動き、これが経済や物価に与える影響について十分注視していく必要があるということでございます。

米国の経済・物価情勢を注視したい

 ただ、どこの国の金融政策もそうですけれども、為替レートをターゲットにして金融政策を運営してるというところはないわけでして、あくまでも金融政策は物価の安定ということであります。特にご承知のように、日銀法でも非常に明確に金融政策の運営に当たっては、物価の安定を通じて経済の健全な発展に資するようにするということがうたわれておりますので、当然のことながら従来から申し上げているように経済が持続的な成長経路に乗って労働市場がタイトになり、賃金が上昇して、賃金の上昇と物価の上昇とが進むことによって2%の物価安定の目標を安定的に達成するということが目標でありますので、あくまでもそういった観点から金融政策を打って、運営してまいりますけども、為替が経済や物価にさまざまな影響を与えることは事実ですので、その動向についてはやはり十分注視していく必要があるということだと思います。

 それから、FRBにつきましてはご指摘のように、最近のFOMCで政策金利を0.75%引き上げるということを決定されたわけでして、パウエル議長自身が労働市場が非常に強くて、消費者物価上昇率が高めに推移している、ご承知のように8.6%という非常に高い水準で推移していることを指摘しまして、また先行きについても継続的な利上げが適切という考え方を示しておられます。

 日本銀行としては米国の経済・物価情勢や、その下でのFRBの金融政策運営、さらにはその世界経済への影響についてはもちろん注視してまいりますけれども、FOMC参加者の先行きの経済見通しでも、インフレ率が引き上げられ、実質成長率は引き下げられたわけですけれども、そういった意味で不確実性が高まっているということはパウエル議長も指摘されておられますけども、やはりソフトランディングを実現するパスは可能であるというふうに述べておられまして、いずれにせよ米国の経済・物価情勢というのは、世界の経済物価情勢に影響を与えますので、引き続き注視してまいりたいというふうに考えております。

政策点検を計画する必要性があるのか

東京新聞:東京新聞の皆川と申します。2問お願いいたします。まず1問目、為替市場の動向を注視する、このようにステートメントで明記されるのは、最近では異例、おそらくYCC導入以降では初めてではないかと思います。で、チーペスト銘柄に指し値を打ったなど、オペの追加もあって、債券市場の流動性が最近いっそう低下するなど、金融政策の副作用がいっそう目立ってきている状況です。こうした観点で、緩和政策の持続性を高めるという目的で、昨年3月以来の政策の点検というのを現時点で計画する必要性があるかどうか、総裁の考えを伺います。

黒田:ご指摘のように、最近の為替、あるいは金利の動きというのは十分、経済や物価に影響を与えるファクターですので、十分注視していかなければならないというふうに思います。かつても、為替について注視するというふうに申し上げたことがあると思いますけれども、そのときは確か円高方向に為替が急速に進んだころだったと思いますので、今回とはちょっと違うと思いますけれども、いずれにせよ為替の変動、急速な変化が経済物価に影響を及ぼす可能性がありますので、十分注視していく必要があるということだと思います。

 なおYCC、イールドカーブ・コントロールの下での金融市場調節につきましては、先ほど来、申し上げているとおり、国債買い入れ額を弾力的に運営していく。さらには指し値オペ、あるいは連続指し値オペといったものも活用して、イールドカーブ・コントロールの下で適切なイールドカーブが形成されていくようにしておりますし、それは十分実現できておるし、今後とも実現できると思いますので、それ自体が何かイールドカーブ・コントロールの持続性に、何か疑問を投げ掛けているということではないというふうに思っております。

日銀の理念を体現できているか

 なお、イールドカーブ・コントロール等の金融政策につきましては、昨年3月に点検を行って、その結果を踏まえて、さまざまな微調整も加えて、政策運営を行っておりまして、現時点でさらなる点検が必要というふうには考えておりませんが、常に世界の経済・金融情勢の変化に応じて、適切な金融政策を行っていく必要があるということは間違いないわけですので、常にそういった観点から、毎回の金融政策決定会合において、金融政策の効果、それから経済・物価の先行きの展望といったことを十分議論し、分析し、適切な対応をしていくということに尽きるというふうに思います。

東京新聞:すいません。もう1問。

黒田:はい。

東京新聞:恐れ入ります。今月7日の、値上げ許容の発言についてなんですけれども、物価上昇に対して消費者からの反発の声が多くあったと思うんですが、総裁、こういった声に触れて、こういう消費者の今の置かれている状況、苦しいという声が、総裁が想定されていた以上に多かったのか、それとも総裁の現状の認識とそんなに齟齬がなかったのか、この点、見解をお伺いしたいのと、先ほど来おっしゃっているように、賃金上昇が重要であるという文脈の中でのご発言ではありますけれども、総裁ご自身も来年度以降のベースアップを含めた賃金上昇と講演でもおっしゃってまして、来年度までに一般の生活者からすると相当の時間差があります。この点に照らして、すいません、申し上げるのはあれですけど、日銀法二条の、国民経済の健全な発展に資するための物価安定、この日銀の理念を、今、日銀が体現できているのか。この点についても見解をお願いします。

黒田:それは確かに、現在の物価上昇は、基本的には国際的な資源価格の上昇によるものですから、一種のコストプッシュ型のインフレで、日本の交易条件が悪化して、所得が海外に流出するという形で起こっておりますので、われわれが目指している物価上昇とは異なっているということは間違いありません。われわれが目指しているのは、先ほど来、申し上げているとおり、経済が持続的に成長し、その下で労働市場が十分タイトになり、賃金の上昇とともに物価も上昇していくという形を目指して、金融政策を運営しなければならないというふうに思っております。

賃金が本格上昇する形で物価安定目標の達成を

 そういった意味で、そういう方向で、今、コロナ禍からの回復過程で、まだコロナ前のGDPの水準よりもちょっと低いところですので、やはり、それからGDPギャップもまだ残っているということですので、ここはしっかりと経済の回復を支えて、GDPギャップが解消し、労働需給がタイトになり、賃金もさらに上がっていくという形で2%の物価安定目標を実現しなければならないというふうに思っております。

 もちろん、今年の春闘での賃上げは数年ぶりというか、かなり数年ぶりの高さだっていうことは事実だと思いますけども、それでも、それから、夏季のボーナスはかなり良い見込みが示されておりますけども、それでも、まだ不十分だというふうに考えておりまして、やはり経済がしっかりと回復して、労働需給がタイトになり、賃金が本格的に上昇していくという形で物価安定の目標が達成されるように、日本銀行としては最善の努力をしなければならないというふうに思っております。

急な為替変動の背景に低金利政策があるのでは?

読売新聞:すいません。読売新聞の【・・・※聞き取り困難・・・】と申します。2点ほどお願いしたかったんですが、今ほどもおっしゃっていましたけれども、金融緩和はコロナ禍からの経済回復を下支えするためというふうにおっしゃっておりましたが、為替市場においては、急激な変動の背景には日銀の低金利政策があるのではないかという指摘もあるわけですが、その辺りは総裁、どのようにお考えになっているか、お聞かせください。

 もう1点なんですが、債券市場ですが、今朝方も10年金利が0.25を超えたり、7年とかさらに短いところが超えているわけですが、これでも総裁、先ほど会見でおっしゃっていますが、金融調節方針で言っているものと整合的にイールドカーブが形成できていると言えるんでしょうか。その辺り、ご説明をお願いします。

黒田:為替の動きについては、いろいろな要因で為替は動いているわけでして、内外金利差の影響も受ける部分がありますし、またその背後にある経済・物価情勢の違い、さらには国際金融資本市場の動向、輸出入からの需給など、さまざまな要因で変動するということであります。実際、現在の内外金利差の背景には、インフレ状況の違いがあるので、現在は市場が特に金利差のほうに注目している状況にあるということではないかと思います。こうした要因のうち、どれが為替相場に影響を与えるかということは、その時々の経済・金融情勢などによって変わりうるものだというふうに思っております。

 それからもう1つのご質問は、イールドカーブ・コントロールのことですけども、確かに今朝方、やや、なんて言うんでしょうか、海外の金利の上昇を受けて、それから一部に日銀が金融政策についてなんらかの変更を加えるのではないかという思惑などもあって、0.25%を上回った局面もあったようですけども、それはごくわずかのことであって、現在はまた0.25%以内にしっかり収まっております。従いまして、確かに欧米の金利の上昇が相当急速だったということで、その影響が出たことはあったと思いますけども、私どもとしては、そうした下でも、さまざまなオペの工夫によって、しっかりとしたイールドカーブを形成することができるというふうに考えております。

【書き起こし】日銀・黒田総裁会見6月17日 全文2へ続く

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最終更新:6/17(金) 19:57

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