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ジャニーズとネット「二宮和也」が拓いた新境地~「ジャにのちゃんねる」はなぜここまで成功できたのか?

5/28 11:31 配信

東洋経済オンライン

 『24時間テレビ』(日本テレビ系)の今年のメインパーソナリティーが、「ジャにのちゃんねる」のメンバー4人に決まった。この番組でのジャニーズタレントの起用はすでに定番化しているが、YouTubeの活動を評価されてということになると前例がない。その魅力はどこにあるのか?  近年のジャニーズのネット進出事情も踏まえ、探ってみたい。

■最速記録を達成した「ジャにのちゃんねる」

 「ジャにのちゃんねる」は、2021年4月8日に開設された。

 メンバーは、嵐の二宮和也、KAT-TUNの中丸雄一、Hey!  Say!  JUMPの山田涼介、そしてSexy Zoneの菊池風磨の4人。所属グループは全員異なっていて、いわばグループの垣根を越えた4人ということになる。

 そもそもは二宮がYouTubeをやってみたいというところからスタートし、二宮自ら一緒にやるメンバーを集めるという流れだった。

 そのプロセスは、動画でも公開されている。チャンネル名は菊池のアイデアをもとに4人の合議で決めたもの。いうまでもなく、ジャニーズの「ジャニ」と二宮の愛称である「ニノ」を掛け合わせたものだ。

 動画の内容は多彩だが、ゲームやキャンプ、クイズにトーク、さらにメンバーの誕生日企画など、普段着の4人の姿を見せるようなものが基本だ。だから全体の雰囲気としては、ユルい。時にはハプニングもあり、コンサートや舞台、テレビ番組などではあまり見られないような、4人のリラックスした素の表情が見える楽しさがある。

 そうして人気を集めた「ジャにのちゃんねる」は、2021年の4月29日には、YouTube国内史上最速でチャンネル登録者数200万人を突破。その後も順調に登録者数を増やし、2022年5月7日にはとうとう嵐の325万人を抜いて、ジャニーズの公式YouTubeチャンネルのトップになった。現在(2022年5月27日時点)の登録者数は328万人に達している。

 まさに際立った成功を収めた「ジャにのちゃんねる」。その理由はなんだろうか?  当然、ジャニーズの人気者が集まってYouTubeを始めたという話題性もあっただろう。だが、それだけではない。

 一言で言うと、この「ジャにのちゃんねる」は、ジャニーズアイドルがちゃんとユーチューバーをやろうとしているYouTubeだ。とてもYouTubeらしいYouTubeであり、その点で他のジャニーズのYouTubeとは一線を画している面がある。

 例えば、手作り感もそのひとつ。有名芸能人のYouTubeの場合、出演以外の部分は専門のスタッフが担っていることが多い。だが「ジャにのちゃんねる」では、中丸雄一が、二宮和也からの指名で動画の編集を担当している。

 さらに二宮も、予算的な面を管理したり、動画のテロップとして入れる文言(心の声)を考えたりしている。企画を全員で考えることもある。つまり、4人はただ出演するだけでなく、ほかのスタッフに極力頼らずに自前で動画を制作している。

■ニノは経理(社長)

 そうしたところから、「ジャにのちゃんねる」だけでしか見られない展開も生まれる。

 例えば、4人の呼び名がそうだ。彼らには、チャンネル内だけのユニークな呼ばれかたがある。二宮和也が「経理(社長)」、中丸雄一が「編集」、山田涼介が「自発光」、そして菊池風磨が「卍」。

 これだけでは何のことかわからない人もいるだろう。それもそのはず、いずれも「ジャにのちゃんねる」の流れのなかで生まれた呼び名だからだ。二宮の「経理(社長)」と中丸の「編集」は、先述の話でなんとなく見当がつくだろう。

 「自発光」は、ある動画のなかで、普段からキラキラ感をまとう山田が照明も当たっていないのに自ら光を発しているように見えたこと、「卍」は、一番後輩であり、唯一陽キャな面を持つ菊池のいまどきの若者的なところから付いたものだ。

 それらの呼び名は、むろん仲間としての親密さ、チームとしての一体感の表れでもある。全員が最初からお互いよく知っていたわけではない。

 中丸と菊池などはこのチャンネルへの参加をきっかけに特に仲良くなったようだが、菊池が茶目っ気たっぷりに中丸をいじり、それにウケた山田が必死で笑いをこらえる、といった構図は、いまや「ジャにのちゃんねる」の名物のひとつでもある。新たな化学反応も生まれているというわけだ。

 また、YouTubeらしいストーリー性も、チャンネルが盛り上がった要因のひとつだろう。

 YouTubeの事情に詳しい放送作家・白武ときおによれば、ユーチューバーが人気を得るポイントは、ストーリー性にある。だんだん有名になり、ある段階から飛躍的に人気を得ていくストーリーをともに味わうのが、ユーチューバーを応援する醍醐味だ。それは、「無名の完成されていないアイドルの成長物語」に似ていると、白武は言う(白武ときお『YouTube放送作家』)。

 もちろん、「ジャにのちゃんねる」の4人は全員、すでによく知られたアイドルだ。だが、今回のYouTubeでは、事務所による宣伝には頼らず、最初はひっそりとスタートし、それからバズり始めるまでのプロセスをチャンネルのなかで逐一見せていた。

 その意味では、彼らは、「アイドルの成長物語」を再演したと言えるだろう。そこには、YouTubeのツボを心得た二宮和也のプロデュース能力の冴えも感じられる。

 このように、「ジャにのちゃんねる」は、“YouTubeの鉄則”に忠実につくられていると言える。そこに、熱心なジャニーズファン以外が見ても楽しめる要素がある。

 ただもう一方で、ジャニーズならではの要素もきっちりある。そこも強みだ。

 ジャニーズライブの裏側に潜入する企画などはもちろんのこと、ジャニーズタレントのグッズや写真が売られているジャニーズショップを4人が実際に訪れて買い物をしたり、4人の人間関係相関図やジャニーズの各タレントのタイプ分けについての表をつくったりといった企画もある。どれも、ジャニーズファンにとっては興味津々だろう。

■ジャニーズがYouTubeに進出したのは2018年

 2018年、ジャニーズが初の公式YouTubeチャンネルとして「ジャニーズJr.チャンネル」を開設した際には、それまでネット進出に消極的に見えたジャニーズ事務所の大きな方針転換として話題になった。それ以降、デビュー組も加わり、ジャニーズのYouTubeチャンネル開設は、いまや当たり前のことになっている。ほんの数年前と比べても、隔世の感がある。

 ただ、これまでは、個別のグループ単位でのチャンネルになっていることが多かった。それに対し、「ジャにのちゃんねる」の場合、メンバーは、先述したようにグループの垣根を越えて集まっているところが目を引く。そうしたケースはゲーム動画に特化した「Johnny's Gaming Room」などないわけではないが、やはり新鮮で人気の一因だろう。

 そこには、時代の移り変わりとともに、個々のグループだけでなく、「ジャニーズ」という存在そのもの、グループの枠を超えた“集合体としてのジャニーズ”への関心が高まっているという背景があるだろう。テレビなどでも、違うグループの誰と誰が同期で、誰と誰がプライベートで仲が良いという話がよく出るようになった。

 ジャニーズの歴史をさかのぼれば、そうした“集合体としてのジャニーズ”への関心が広まった決定的なきっかけは、1990年代後半に巻き起こった「ジャニーズJr.黄金期」と呼ばれる爆発的なブームだったように思う。

 そして、滝沢秀明らとともにそのブームを担っていたのが、Jr.時代の嵐のメンバーたちだった。二宮和也が発起人となって始まった「ジャにのちゃんねる」は、今度はネット時代のなかで、「ジャニーズ」という存在をより身近に感じさせる入口になっている。

 ジャニーズは、これまで舞台(ライブ)とテレビの両軸で活動してきた。そして時代の変化に伴い、近年そこにインターネットという第3の軸を加えようとしている。そしてここ何年か、さまざまな試みがなされてきた。

 そうしたなか、ここまで述べてきたように、「ジャにのちゃんねる」は、ジャニーズがYouTubeというメディアに見事に適応した画期的なケースと言えるだろう。少なくともジャニーズとインターネットの関係は、「ジャにのちゃんねる」の登場によって確実にステップアップした。

 もしかすると将来、ジャニーズとインターネットの歴史は、「ジャにのちゃんねる以前/以後」で語られるようになるのかもしれない。

東洋経済オンライン

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最終更新:5/28(土) 11:31

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