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4月開始の保険適用で不妊治療はどう変わった? 以前より体外受精が受けやすくなった一方で

5/27 5:51 配信

東洋経済オンライン

4月から保険適用となり、注目を集めている不妊治療。ところが、どこかで「自分には関係ない」「いつかは自然に妊娠できる」と感じている人も多いかもしれません。
「生殖医療専門医」として、最先端の不妊治療に携わる坂口健一郎医師は、不妊治療の基本を知っておくことの重要性を訴えています。個人の体質により、不妊治療が必要となるタイミングや治療法には大きく差があるからです。
書籍『妊娠しやすい習慣から不妊治療のキホンまでよくわかる 妊活パーフェクトガイド』では、専門医の見地から「いつかは子どもを授かりたい」と願うすべての人が身につけておきたい知識を紹介。本稿では、同書から一部を抜粋し、2回に渡ってお届けします。今回は2回目になります。

前回は妊娠するタイミングや検査法、卵子凍結についてお伝えしましたが、「いつかは子どもがほしい」と考えている人は、なるべく早い段階で検査に行くことをおすすめします。

 なぜなら、一般的に年をとるにつれて妊娠しにくくなるといわれていますが、人によってタイムリミットは大きく異なるからです。

 では、検査を受けるためには、どこを訪れればよいのでしょうか。男女共通して受診可能なのは、不妊治療を専門としているクリニックや婦人科。男性の精液検査は泌尿器科でも調べられます。

■不妊症検査とブライダルチェック

 不妊の検査には国が定めた項目というものがないため、施設によって婦人科系の子宮頸がんなどの検査が加わっていたり、性病の検査がセットになっていたり、受けたい検査だけを単体で受けることができたりと、検査項目が施設によって異なります。

 また、不妊検査は「ブライダルチェック」といわれることもあります。何が違うのかと思われるかもしれませんが、ブライダルチェックは基本的に自由診療なので統一されたマニュアルが存在するわけではなく、施設によって行っている検査が異なります。

 検査についてネットなどで調べると、婦人科や不妊治療専門クリニックなど、さまざまな選択肢が浮上するかと思いますが、その違いをご存じでしょうか。

 婦人科は、生理不順や婦人系の病気、避妊や不妊の相談など、女性の幅広いトラブルに対応してくれます。一方で不妊治療専門のクリニックは、女性の妊娠や不妊治療に特化しているのが大きな特徴です。

 婦人科でも、排卵日を特定したりセックスのタイミングを指導していますが、妊娠できない場合はより高度な治療を行う不妊治療専門クリニックに転院される方が多いです。

 初めに行う不妊検査の傾向としては、婦人科の場合は婦人科系の病気や感染症の有無で、不妊検査においても以前から保険が適用となっている最低限の検査を行っている病院が多いでしょう。男性の精液検査を行っていない医療機関もあります。

 対して、不妊治療専門のクリニックの不妊検査は、婦人科でしないような詳しい検査まで行います。ただし、こうしたスクリーニング検査は自費のため、若干、費用は割高になります。

 妊娠の可能性を知りたいのであれば、詳細に体の状態を調べる不妊専門のクリニックで検査を受けるほうがいいでしょう。なぜなら、不妊症の原因は1つだけとは限らないからです。今後タイミングを計ったり、その先の治療を進めるうえで正確な判断をしていくためには、多くの情報が必要になります。

 最初の検査は不妊治療を行ううえでの必要不可欠な健康診断のようなものと捉えていただければと思います。仮に、何らかのはっきりとした原因が見つかった場合には、これに対応する治療を早期に効果的に行うことが可能となります。

 また、不妊治療専門のクリニックでの検査をおすすめする理由はもう1つあります。それは、婦人科で検査や治療を開始してもなかなか妊娠せず、不妊クリニックに転院した場合、ゼロから検査を受けなければならない可能性もあることです。クリニックによって対応が異なり、一部の検査は前の検査データを活用する場合もあると思いますが、初めからやり直しということもあるでしょう。

 何度も同じ検査をするのは、精神的にも金銭的にも負担がかかります。初めから専門クリニックで詳細に検査をして、そのまま専門医のいる施設でタイミング法などに移行するほうがいいでしょう。

■4月から人工授精や体外受精は3割負担

 2022年3月までは人工授精や体外受精(顕微授精含む)が保険適用外でしたが、4月から不妊治療が保険適用となり、人工授精や体外受精共に3割負担ですむようになりました。

 人工授精の場合、年齢や回数制限はありません。体外受精の場合は、採卵から胚移植までが40歳未満の方は6回まで、43歳未満の方は3回までとなります。ただし2022年4月2日から9月30日までに40歳の誕生日を迎える方は、助成金制度の移行期間として6回まで保険適用となります。

 自己負担額は、人工授精が1回あたり3割負担で5460円です(再診料や薬剤処方を含めると約6000円)。一方、体外受精の場合、全体でいくらというものではなく、細かい技術ごとに料金が示されています。

 体外受精と一口にいっても、薬を使って体内で育てた卵子を体外に取り出す「採卵」や、卵子と精子を体外で受精させ、受精卵を培養したあとに女性の子宮に移植する「胚移植」などの手順があります。また、採卵や受精卵培養の個数によって金額が変わってきます。目安としては、1周期あたり自己負担額10万円~17万円程度で行えるようになっています。

 保険適用前にこれまでかかっていた費用が人工授精1回あたり2~5万円ほど、体外受精の場合は30~40万円ほどということを考えると、金銭的にはチャレンジしやすくなりました。

 ただし、従来の自費診療と比較して、使える薬の種類や採血の回数、エコー(超音波検査)の回数に制限があるため、自費診療と保険診療の治療内容の違いを把握したうえで治療を選択されることをおすすめします。保険適用条件など、詳しくは厚生労働省ホームページを確認しましょう。

 治療が保険適用となることで、「高額療養費制度」も使えるようになります。高額療養費制度とは、加入している健康保険によって決まっている上限の医療費を超える場合、その上限を超えた医療費を本人が支払う必要がなくなる制度です。

 例えば、不妊治療で1カ月に15万円かかったとします。月の所得が28万~50万円の方は自己負担限度額が約9万円のため、クリニックに支払う金額はひと月あたり約9万円でOK。事前に申請を行えば、残りの6万円は窓口負担もありません。

 また、不妊治療にかかった費用は「医療費控除」の対象にもなります。

 納税者が1年間に一定金額以上の医療費を支払った場合に、申告することで所得税などが軽減され、翌年の住民税が安くなります。医療費控除は、支払った医療費が10万円(総所得金額等が200万円未満は、総所得金額等の5%)を超えた場合に受けられます。

 手続きなど面倒に感じるかもしれませんが、制度を活用することによって費用面での負担が大きく減ってきますので、活用できるものは申請しましょう。詳しくは、厚生労働省やご自身が加入している健康保険組合のサイトなどを確認してみてください。

■通っている患者の治療の進め方に変化

 4月から保険適用が始まり、4月中旬の時点で少しずつ患者さんが増えてきています。ただ、実感として大きいのは、新規の患者さんの増加より既存の患者さんの治療の進め方の変化です。

 妊娠率の高い治療法である体外受精は金銭的な負担が大きいため、これまでは治療を必要としていても実際に治療に踏み切るまで躊躇する方が多くいらっしゃいました。他の方法を十分試したうえで、どうしてもそれでは妊娠できないと判断したときに初めて体外受精にステップアップするというイメージです。それが保険適用が始まってからは、すぐに体外受精にステップアップする方が増えた印象があります。

 一方で、保険適用となった治療には細かな規定もあるため、今後は自費診療で行っていたような積極的な治療には、躊躇される患者さんも出てくるのではないかという懸念は残ります。

 いずれにせよ、不妊治療は保険適用が始まってから、費用面でかなり負担が減ったことは間違いないので、積極的にクリニックへ足を運んでいただきたいです。

 検査にも時間を要しますが、実際に治療を始めるとなると、さらに時間がかかるので、仕事の調整など早めに計画を立てて進めていくことがおすすめです。

東洋経済オンライン

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最終更新:5/27(金) 5:51

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