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増えていく若年層世代とうまく働くていくには?若者が一緒に「働きたい50代」「働きたくない50代」の決定差

5/24 5:01 配信

東洋経済オンライン

 このところ私たちが働き続ける年数は長くなってきています。法律の改正で昨年から60歳定年制の会社でも65歳までの雇用を確保する義務が課されるようになりました。さらに70歳までの就業機会の確保が努力義務になり、70歳まで働くことが社会制度の上でも当たり前になりつつあります。

 今のシニア社員層であれば、働くのは60歳までと思って会社に入った人がほとんどだと思いますが、現実にはそれよりもさらに5年、10年と長く働き続ける状況に変わってきています。

■「働かないおじさん・おばさん問題」の捉え方

 そうなると避けて通れなくなるのが、自分たちよりも若い人とのお付き合い、特に仕事上での付き合い方になります。私自身も、仕事のうえでお付き合いさせてもらう方の多くが自分よりも若い人であり、取締役としてかかわっている会社では20代の同僚たちと仕事をしている中で、失敗することも含めて日々模索しているところです。そんな経験を踏まえて若い世代との付き合い方を考えてみたいと思います。

 具体的にどうしたらいいかと考える前に、最近メディアなどでも取り上げられている「働かないおじさん・おばさん問題」について考えたいと思います。これが若い人と付き合う上で彼らの考え方を知る前提となるからです。

 「働かないおじさん・おばさん」が生まれたのは、50代以上の世代の個人的な問題だけではなく、リスクを回避しようとする日本の企業の伝統的な姿勢が大きく影響していると感じています。

 高度成長時代にはリスクを負って新しいことをしなくても業績が伸びていきましたが、経済が停滞してからは、新しいことを始める必要が出てきました。しかし、現在の会社の上層部の多くは、新たな取り組みに後ろ向きな旧トップ世代に引き立てられて上り詰めた人で、その次に控える中堅幹部層もその傾向があります。

 一方、若い世代からすれば、従来のやり方では行き詰まるのが明白なだけに、変わらない体質に危機感と不満を募らせている。その矛先が自分たちの目の前にいるシニア世代の社員となっているのでしょう。シニア世代がこれから生き残っていくためには、こうした時代背景と、若者がなぜ「働かないおじさん・おばさん」と呼ぶのかを認識しておく必要があります。

 その上で、どのようにして自分たちよりも若い世代と付き合っていったらいいのでしょうか。いくつか、私自身の経験から事例を挙げてみたいと思います。

■同じ目線で受け入れてもらえるか

 私が出向していた会社で、若い世代の人から「川端さんがライバルです」と言われたことがありました。もう10年も前のことで、その人は優秀な若手で今は管理職のポジションに就いていますが、こう言われた時に、少しの違和感と、大きな嬉しさを感じたことを覚えています。

 「え、そうなの?」と聞き返したところ、私は業界も違う会社からきて、年齢も一般的には新しい知識のインプットが足りなくなるくらい年齢が上なのに、思いのほか業界知識もあるので、張り合っていくに値する、という趣旨の返答でした。

 年功序列的な発想だと、こうした発言は「先輩を捕まえてライバルとは失礼な」ということになります。しかし、他業種から来た自分がその業界の気鋭の若手からライバルと認められた嬉しさがあり、自分にとっての自信になりました。そして、そういう発言をしても受け止められる人、年功序列で勝負しない人と思われたのだろうとも思いました。

 また最近、スタートアップ企業でも一緒に働いている、入社間もない人から「川端さんのいいところをフィードバックします。なかなかそういうこともないと思うので」と言われました。

 この時、びっくりするとともに、多くの人に「年功序列で勝負しない人と思われている」人との自己理解を深めることになりました。そして、年齢を重ねると「なかなかそいうこともない」フィードバックを受けられることは、非常に貴重でありがたいことだと感じました。

 こういう時、条件反射的に違和感を示すのではなく、いったん価値判断をストップして、なぜそう言うのか理由を聞いてみたり、本質的な意味合いや、自分と相手にとっての価値を考えてみると、実は私たちにとって有意義で貴重な機会であることが少なくないのではないかと思います。

 まずは目線をあわせて、「上から」ではなく、対等な関係として若い人の反応を解釈してみる、善意に受け止めてみる。それを自分が受け止められるなら、若い人からも同じ目線で受け入れてもらえるのではないでしょうか。

■「苦手分野」を指摘してくれる人には

 あるプロジェクトを一緒にやっているチームの中堅の若手が私のフォローをしてくれていたことがあり、その人から「川端さんは、この手の仕事苦手ですよね」と、(微笑みながら)言われたことがありました。

 その意図は「なので、私がフォローしておきます」ということなのだと瞬時に理解できたのですが、それでも自分の欠点・短所をズバッと指摘されて、少しばかり傷付かなかったといえばウソになるかもしれません。ポジティブ・フィードバックだけでなく、時にこうしたネガティブなフィードバックを受けることもあります。

 これを「生意気に」と思うこともできますが、若い人が自分の弱みを踏まえたうえで役割分担をしてくれる、その意思表明であるなら、これはチームとして相互補完の関係になれる、ということではないでしょうか。

 むしろ、若い相手が担ってくれる部分は積極的にお願いして、自分は自分の得意な領域に注力したり、相手の苦手領域をカバーする。この経験のおかげでこうした役割分担の確認ができたので、以降、遠慮なく苦手なところはカバーしてもらうようになりました。

 50代以上の世代は、今後自分よりも若い世代と仕事をしていくことが増えていくことは間違いないので、その時どのように働いていくかを考え、体得する意味でも、こうした役割分担の発想で考えられると、自分が果たすべき役割もはっきりすると思います。

 いつまでも上司部下の関係で働くとはかぎりません。役職定年や転職・再就職で上下関係が逆転する可能性もあることを踏まえて、対等に役割分担をするという思考回路を作っておくことは、長くやりがいをもって働くうえでのキーポイントではないかと感じています。

 今回の事例でご紹介した若い人たちが優れていることは間違いないのですが、こうしたやり取りを通じて、少なくても私から彼ら彼女らに対する信頼は大きく深まりましたし、また相手の側でもそう感じてもらえているなら、個々人だけでなく所属する組織にとっても有意義なはずです。

■自分の役職・肩書きが変わる時の捉え方

 自分の役職や肩書きが変わる時の捉え方も重要だと感じます。中にはこの時、自分の出世が果たせなかったり、役職定年などに伴う権限を剥奪されるといったネガティブな面だけに目を向けてしまう人が少なくありません。しかし、ここでポジティブな面に目を向けることが若い人と一緒にうまくやっていくことポイントの1つだと思います。

 自分が上司というポジションから外れるということは、責任から解放されるとともに、若い人に対しては「上司として接しなければいけない」という義務から解放され自由になるということでもあります。これまでよりもフラットに若い世代と接することができるということです。

 もちろん、年長者としてのたしなみは求められますし、職務上の無責任な行動につながってはいけないのですが、役職定年やさらには定年とそれに続く再雇用という機会を、自分にとっての自由度が増すものと捉えてみてはどうでしょうか。

 その自由を得る代償として賃金が減るという現実はあるでしょう。この点は、これまで長く社会人として活躍してきた知恵と工夫と努力が試されるところで、地道に貯蓄に励んだ人であればそういった資産で不足分を埋め合わせたり、昨今は副業を解禁する流れになっていますので副業でカバーしたりすることも必要でしょう。

 また自分の収入に応じて生活をダイエットしていくという知恵と工夫も求められるのだと思います。こうした知恵と工夫は、年長者の方がよりうまく対応できると期待されることではないかと思いますし、そうした適応の姿も、若い世代からすれば自分たちの将来の手本・ロールモデルを示してくれているかどうか、という視点で評価されるように思います。

 その上で、自分が得た自由をどのように日々の生活にいかすか、という観点で若い人との付き合い方を考えてみるといいと思います。

■「海外旅行」の感覚で楽しめるか

 そもそも今のシニア世代も、若い頃には年長者とのギャップを多少なりとも感じていたはずです。さらに、ネットの普及などで生活が大きく変わったことで、シニア世代と若い世代のギャップはかつてより大きくなっているはずです。このギャップを無理に埋めようとしたり、昔と変わらないと思うよりも、むしろ違うことを前提に若い人と付き合いたいものです。

 それは例えるなら、文化や生活習慣がまるで違う海外旅行を楽しむ方法と同じ、と言えるかもしれません。海外に行って、普段とは違う食べ物や飲み物を味わったり、あるいは違う言葉に戸惑いながらも、一方で見慣れない珍しい風景や見たこともない街並みの美しさなどを楽しむのが海外旅行ではないでしょうか。

 それと同じように、自分たちとは違うモノの考え方や行動様式に違和感を持ちつつも、若い人らしい新しい発想やユニークな仕事観などを面白がって受け止めてみる。じっくり話をしたり、付き合ったりしていけば、実はシニア世代にとっては当時常識とされていたために不本意ながら受け入れざるを得なかったことが、今の若い世代は明確にその違和感を表現することができている、など共鳴できる部分もあるかもしれません。

 海外旅行に出た日本人の中には、せっかく異国に来ているのに、その国の文化や習慣に馴染めず「日本の方が優れている、この国は駄目だ」などと不満をもらし、まったく違いを楽しめない人がいます。こうした人たちは、若い人たちに対しても同じように接している可能性があるのではないかと、この文章を書きながら思いました。

 せっかく自分とは違うものがあるのですから、目の前のものの悪い面だけでなくいい面にも目を向けて、それを楽しむことができれば若い人とのお付き合いも楽しいものになるのではないでしょうか 。

 そして、違うものを違うものとしてありのままに受け止める、という態度は、昨今よくいわれるダイバーシティーや多様性といったものに対する個人の考え方や処し方の基礎にもなり、単に若い世代だけでなく、今の社会状況全般により適応しやすくなる、その第一歩になるのではないかと思います。

東洋経済オンライン

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最終更新:5/24(火) 8:21

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