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中国でマイニングは止まっていなかった

5/24 6:00 配信

CoinDesk Japan

ケンブリッジ大学のCambridge Centre for Alternative Finance(ケンブリッジ・代替ファイナンスセンター:CCAF)は先日、引用されることも多い「ケンブリッジ・ビットコイン・電力消費量インデックス(Cambridge Bitcoin Electricity Consumption Index:CBECI)」の最新版を公開した。


このインデックスは、世界的なビットコインマイナーの地理的内訳を明らかにすることも、その目的のひとつである。

中国でのマイニングの実態

前回のアップデートでは、中国のマイニングシェアが2021年6月の34.3%から、同国での暗号資産(仮想通貨)マイニングの禁止を受けて、同年7月には0.0%にまで減少したことが明らかとなった。一方、今回の最新版では、そのシェアが2021年8月の0.0%から、同年9月には22.3%まで急増したことが分かった。


明らかに何かがおかしいので、早速探ってみよう。


中国がビットコイン(BTC)マイニングを禁止したのは2021年5月。それは、データにも如実に表れている。7月までには、中国にはマイニングを行うマイナーは実質的に存在しなくなった。8月もゼロだ。それが9月、いなくなったマイナーのほとんどが、帰ってきたのだ。少なくとも、データが語るのはそのような状況だ。


自明ではないかもしれないので、言っておこう。最初から、マイニング事業の大移動は起こらなかったのだ。マイニング事業を移転することは、簡単ではない。マイニングの大半は、一握りの人たちが趣味でやっているのではない。もう随分昔に、そんな状況は終わったのだ。


マイナーの大半は、商業行為としてマイニング事業を展開しており、倉庫に対しては、賃料に加えて固定資産税や修繕費、損害保険料も支払うトリプルネット・リースで費用を支払い、電気に関しても手の込んだ電力購入契約を結んでいる。


ビットコインマイニングの実態は、この写真のような感じだ。


データがこのようになっているのは、CCAFによるデータ収集の方法が原因だ。CCAFはビットコインマイニングプールと連携し、IPアドレスに基づいてマイニング施設の地理データを集めている。(プールでは、異なる多くのマイナーがマイニングで協働し、マイニング報酬は貢献度に応じて分割される)


そこに、CCAFが以下に警告する通りの問題が潜んでいる。


特定の地域の(マイナーが)VPN、つまり所在地を曖昧にするためにIPアドレスを隠すサービスを利用していることは、皆が知っている事実だ。そのために、データが歪み、一部の国や地域のハッシュレートが過剰(あるいは過小)に推定される可能性がある。


そうなると、真実はかなり退屈なものだ。


・中国のマイナーは、政府による取り締まりが真剣なものであることを恐れ、所在地のデータをごまかし、潜伏した。・しばらくすると中国のマイナーは、「あんまり大したことなさそうだ」と気づき、実際の所在地データを共有するようになった。


それだけのことだ。


しかし、これですべてではない。より表に出ているビットコインマイニング事業者たちは確かに、少なくとも事業の一部を移転し、中国以外、おおむねアメリカを拠点とするマイニングの増加はしっかりと記録されている。


それを浮き彫りにするように、ビットコインネットワークの演算能力を表すハッシュレートは、中国でのマイニング禁止以降、40%増加した。このデータの奇妙さを認識したCCAFは、今回のアップデートに関するブログ記事を投稿。そこには、次のように記されている。


最も特筆すべきは、中国の復活だ。2021年6月の政府による禁止令後、中国全体で報告されたハッシュレートは、7月から8月にかけてゼロまで急減した。しかし、それが9月には突如、30.47EH/sまで急増。中国はマイニング能力の点で、世界で2番目(全体の22.29%)の地位に躍り出た。


このことは、地下で潜伏して行われるマイニング活動が同国で大いに盛んになったことを示唆しており、業界の内部関係者が長らく推測していたことが、データによって明らかとなった形だ。


ここで大切なのは「報告された」という言葉だ。つまり、中国は再びビットコインマイニングを禁止できる、ということだ。この先、中国からさらにFUD(恐怖、不確実性、疑念:fear, uncertainty and doubt)がやって来るかもしれない。あるいは、みんながVPNを使って所在地を中国に変えて、私を混乱させているのかもしれない。

ハッシュプライスとマイニング企業

ビットコイン価格が値下がりする中、ビットコインマイナーとその収益性について、懸念が生じている。ルクソール・テクノロジーズ(Luxor Technologies)が開発した、ハッシュプライスという指標がある。これは、マイニングで期待できる価値を表す。


ハッシュプライスは、1日のテラハッシュごとのドル建てで表現される。テラハッシュは、マイニング機器が提供する演算能力を表すものだ。ここひと月のハッシュプライスの動きを見てみよう。


ハッシュプライスが減少傾向にある理由は、次の通りだ。1)ビットコインのドル建て価格の下落2)より多くのマイナーがオンラインになっている3)それによって、ネットワーク難易度が上昇(アクティブなマイニングパワーに応じて、およそ2週間ごとに、マイニングの難易度が調整される)


楽観的になれるような状況ではないが、筋は通っている。さらにハッシュプライスの減少が、マイニング事業者に仕事に熱心に取り組むか、廃業するかを強いる要素となっている。多くの業界関係者たちが、今回は「強者のみが生き残る」と警告している。


理論的には、マイナーはビットコイン価格が大幅に下落し、事業を続けることに収益性が見出せなくなると、マイニング機器を停止する。今回は、ハッシュプライスは減少しているが、そのような大幅な事業停止は見られておらず、マイニング企業の声からも、それが証明できる。


上場マイニング企業は皆、「私たちはビットコインマイニングを手がけている。もっとマイニングをしたいと思っているし、マイニングしたビットコインをできるだけ保有するつもりだ。運営や成長のためには別の資金を使うことにしている」といった感じのことを、公に発表している。


それは問題ないが、マイニング企業がより大きな圧力を感じるに連れて、資金を提供してくれる側に対して、果たさなければならない義務がある。さらに、市況が悪化すれば、保有するビットコインを売却し始めなければならないかもしれない。アップルやグーグルのようなバランスシートを誇る企業ではないのだ。どちらかと言えば、公開市場で取引されることになったスタートアップに似ている。


それでも、マイニング業界全体について心配する理由は特にない。ビットコインマイニングは安泰だろうが、資金には限りがあるため、登場人物たちは変化するかもしれない。ビットコインにとってはその方が良いだろうが、企業レベルでは、痛みを伴うかもしれない。


|翻訳・編集:山口晶子、佐藤茂|画像:Shutterstock|原文:China Can’t Seem to Stop Bitcoin Mining

CoinDesk Japan

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最終更新:5/24(火) 6:00

CoinDesk Japan

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