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東京で「太陽光パネル義務化」計画が進行中、賃貸住宅への影響は《楽待新聞》

5/24 19:00 配信

不動産投資の楽待

近い将来、東京都内で新築される賃貸住宅に太陽光パネルの設置が義務付けられるかもしれない。東京都は、戸建てを含むすべての住宅を対象に条例改正を進めている。今後、都内に新築される中小規模の住宅の過半数への設置を目指す。オーナーにとっては、建築費用に太陽光発電設備の代金が上乗せされる可能性がある。

固定価格買い取り制度(FIT)の売電価格は年々下がっており、今後新たに始めた場合に投資コストを回収できるのか。都が導入を検討する新制度はどのようなものなのか。都が公表している資料や都への取材で詳細を探った。

■新制度の概要

太陽光パネル設置義務化には、どのような狙いがあるのだろうか。背景には、戸建て住宅などの中小規模の建物が新築物件の98%を占めているという事情がある。一部の大規模なビルだけでなく、中小規模の建物への設置を促進することで、温室効果ガスの排出量削減につなげる狙いだ。

東京都が新たに太陽光パネル設置を想定するのは、延べ床面積が2000平米未満の中小規模の新築建物で、戸建て住宅や共同住宅が含まれる。設置義務は施主ではなく、住宅メーカーが負う。

供給総延床面積が年間2万平米以上(戸建て200戸相当)の事業者を対象に、発電量の目標を割り当ててノルマを課す形になる。対象となる事業者に対しては、取り組み状況の報告を求め、取り組みが不十分な場合には都による指導や事業者名の公表なども検討する。

都の試算で、この基準に当てはまる住宅メーカーはおよそ50社に上る見込み。都内に新築される年間約4万5000棟のうち53%にあたる約2万3000棟に太陽光パネルを設置する。

都は温室効果ガス排出量を2000年比で半減する「2030年カーボンハーフ」を目標に掲げる。しかし、2019年度の実績は2000年度比で0.2%減にとどまっている。

都は条例改正に向けて有識者検討会を開き。近く中間とりまとめを行う。条例改正の時期については未定としている。

■新築オーナーへの影響は

条例改正後、都内に賃貸物件を建築するオーナーは、太陽光パネルを設置しなければならないのだろうか。

建築工事を委託する住宅メーカーが対象事業者かどうかが1つのポイントとなる。供給総延床面積が年間2万平米以上の住宅メーカーは対象事業者となる見通しだ。一方でこの条件に当てはまらない小規模の住宅メーカーであれば、対象事業者とならない可能性が高い。

都は、対象事業者が施工する新築住宅の85%程度に太陽光パネルの設置を想定する。この数値は、都内で太陽光発電に適した住宅の割合を調べた調査結果を参考にしている。

ただ、太陽光パネル設置の義務を負うのは事業者とはいえ、設置などの費用を負担するのは、基本的に物件の所有者ということになる。設置費用の相場は、戸建て用で100万円前後とされる。

オーナーの同意を得られなければ、住宅メーカーは割り当てられた発電量を達成することが難しくなる可能性がある。都の担当者は「どの住宅に設置するかは、所有者の意向を踏まえて住宅メーカーが判断することになるだろう」と話す。オーナーの意向がどの程度反映されるのかは不透明だ。

都では今年度、住宅への太陽光パネル設置に対して最大36万円を上限に補助している。住宅メーカーからは設置義務付けにあたり、助成制度の拡充を求める声が上がっており、「助成制度の拡充については今後検討していく」(都の担当者)としている。

■投資額は回収できるのか

賃貸物件に太陽光パネルを設置することになった場合、投資した額を回収できるのだろうか。

固定価格買い取り制度(FIT)の売電価格は2009年度の開始当初は住宅用(10キロワット未満)で1キロワット当たり48円だったが、年々下落し2022年度は17円と半分以下になっている。

実際に太陽光パネルを設置した経験がある投資家は、太陽光発電をどうみているのだろうか。

実践大家コラムニストのテリー隊長さんは、都内の所有物件2棟の屋上に2012年から太陽光パネルを設置。1キロワット当たり42円で売電していた。

固定価格買い取り期間の10年が終了したタイミングで10年間の収支を計算したテリー隊長さん。結果は、約600万円の導入費用に対して、10年間の利益の合計が約80万円だった。また、導入費用の3分の1を補助金でまかなっており、「補助金がなければ完全な赤字だった。投資としては失敗」と振り返る。

テリー隊長さんは、都内で新たに太陽光発電を始めた場合のシミュレーションも試みた。その結果、北向きの屋根では10年間の損益が25万円ほどのマイナスになったという。「屋根の向きによって発電効率に差はあるが、ほとんど利益は出ないのではないか」と予想する。

物件への太陽光設置に対し「デメリットが多い」という声もある。物件の購入を検討する際、太陽光設備のある物件は避けてきたという実践大家コラムニストの北国の大家さん。その理由を次のように語る。

「物件の屋上に太陽光設備が設置されていると、設置方法によっては雨漏りのリスクがあります。また、設備のメンテナンスで屋上に人が入る機会が増えることにより、屋上防水の持ちが悪くなる可能性もあります」(北国の大家さん)



太陽光発電をめぐっては、寿命を迎えた太陽光パネルの廃棄量が2035~37年ごろにピークを迎えるとの推計がある。経済産業省によると、その量は年間17万~28万トンで、産業廃棄物の最終処分量の1.7~2.7%程度に相当。廃棄コストやリサイクルの課題も残る。

一方で、石炭や液化天然ガス(LNG)などの輸入価格高騰を背景に、電気代が高騰している。また、地震や台風などの自然災害に伴う大規模停電も頻発している。太陽光発電を自家消費する場合、非常電源の確保や電気代の節約といったメリットも少なからずあるだろう。

新築住宅などへの太陽光パネル設置義務化で、今後住宅メーカーなどがどのように動いていくのか。オーナーの費用負担はどうなるのか注視したい。

不動産投資の楽待

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最終更新:5/24(火) 19:00

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