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パンチ工業 | 452 | -8 |
金型部品の世界大手、パンチ工業 <6165> が米中貿易摩擦による業績低迷から飛躍的な回復を遂げている。最高益を4年ぶりに更新した前3月期に続いて、今期も連結営業利益は33.0億円(前期は30.4億円)への拡大を計画。森久保哲司CEO(最高経営責任者)に現状を聞いた。
―20年3月期には営業利益が8億円まで落ち込んだが、その後はV字回復して
いる。
「18年ごろに表面化した米国と中国の貿易摩擦が19年に本格的に業績を直撃した。中国には6つの工場があり、売上高に占める比率も50%超と大きい。このため、20年3月期は事業環境が一気に厳しさを増した。また、同期の終盤には日本でも新型コロナウイルスの感染が広がった」
「需要が落ち込み、競争環境が激化したことで、製造すれば売れるという従来の構図が当たり前ではなくなった。しかし、それを機に品質や価格、納期の精度向上に取り組んだことで、改めて顧客の支持を得られたと考えている。中国経済もその後回復し、最高益更新に至った」
―今期も増益を計画している。
「中国政府は厳格なゼロコロナ政策を続けているものの、金型部品のニーズは足元でも堅調だ。現地の生産拠点の操業への影響を最小限にとどめたことで、他社の供給難に伴う代替需要も発生している」
―原材料高は乗り越えられるか。
「原材料や部品の調達価格は高騰している。しかし、得意とする特注品は原価に占める材料費の割合が相対的に小さい。また、光熱費などその他のコストの上昇分の一部は製品価格への転嫁を進めている」
*編集部注・今期の同社の営業利益率の見通しは前期並みの7.6%
―自動車の電動化の影響はどうか。
「自動車向けの売上比率が4割超を占めるため、電動化の動きは特に注視している。エンジン回りの部品が減少する可能性がある一方で、モーターや電池を製造するための金型が幅広く求められる。内装やボディに関してはガソリン車もEV(電気自動車)も基本的に変わらない。総合的にみて売上成長を維持できるだろう」
―25年3月期までの中期経営計画では売上高500億円、営業利益50億円を目指す。また、3年で計50億円の設備投資を見込んでいる。
「収益の目標水準は決して低くないが、くしくも最終年度は『創業50周年』に当たるため、ぜひその期に達成したい。自動車や半導体、スマートフォンなど従来の得意分野のほかにも、医療や食品業界向けをいっそう強化していく」
「設備投資は増産や効率化へ向けて工作機械を拡充する。また、DX(デジタルトランスフォーメーション)を加速し、工場のスマートファクトリー化や受発注システム、EC(=Eコマース、電子商取引)サイトを刷新する」
提供:モーニングスター社
モーニングスター
最終更新:5/23(月) 9:01
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