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おやつのサブスク通販「スナックミー」は、リアル店舗の展開へとなぜ踏み切ったのか

5/22 15:01 配信

東洋経済オンライン

 コロナ禍で進んだオンライン化。食の面でも、EC通販、スマホで注文できるテイクアウト、出前などの市場が広がり、選択肢が増えたのはご承知のとおりである。

 こうした社会状況に逆行するように、オンラインからオフラインへと展開を拡大しているサービスがある。

 “おやつ”のサブスクリプション通販サービスを展開する「snaq.me(スナックミー)」だ。

■自分のおやつの好みを調べられる「おやつ診断」

 メイン商品は「おやつ定期便」(1880円+送料330円)。8種類のおやつの詰め合わせで、2週あるいは4週に1回と頻度を選ぶことができる。サービスのスタートは2016年3月と、食品のECやサブスクリプションサービスが珍しかった頃だ。

 特徴的なのが、自分のおやつの好みを調べられる「おやつ診断」だ。おやつ定期便ではこのデータに基づき組み合わされた、オリジナルの詰め合わせが届く。どんな商品が届くか、開けてみるまでわからないワクワク感も付加価値の一つ。商品は毎月変わるので食べ飽きることもない。かわいらしいリスのロゴやおしゃれな専用ボックスを始めとする、スナックミーの世界観もあいまって、業績を伸ばしてきた。20~40代の女性が登録者の90%以上を占めるという。

 さらにコロナを背景とした、巣ごもり需要の高まりも追い風になったようだ。

 また“ホッと一息つく時間”を大切にしたいという心理から、おやつを食べる時間の価値を向上するサービスへのニーズが高まったのも理由としてあるだろう。

 そんなスナックミーが4月23日に、オフラインの直営店舗「snaq.me 清澄白河」をオープンした。

 ECの最大のメリットはコストのかかる店舗を持たず、全国的に展開できる点だ。なぜあえてそのメリットを手放してオフライン店舗の展開へと踏み切ったのだろうか。

 スナックミーのユニークな事業戦略とリアル店舗展開の意図、そして今後の展開について代表取締役の服部慎太郎氏に聞いた。

 服部氏によると、スナックミーというアイデアのもとになったのが「マルシェ」だったという。

 「週末などにイベントとして開催されているマルシェによく行くんです。毎回出ている店が違っていて、そのたびにワクワクがあります。そしてマルシェに出品されているような、素材のおいしさを生かして生産者の方がつくったお菓子なら、自分の子どもにも安心して食べさせてあげられる。『マルシェを詰め合わせて商品にできないかな』と考えたことが、スナックミーの発想につながりました」(服部氏)

 2人の仲間とともに2015年に会社を設立。マルシェや道の駅で商品を発掘し、パッケージの製造元に電話をかけて仕入れ交渉をするという、地道な方法で事業をスタートした。

■「おいしさ」「商品数の多さ」が基盤

 服部氏によると、マルシェや道の駅には、生産者や地域の企業など、素材やものづくりにこだわっている事業者が出品していることが多いという。こうして、自らの舌で探し当てたメーカーとつながり、ネットワークをつくりあげてきた。現在はメーカー170社と契約するほか、50~60のOEM工場と手を結び自社でも製造しており、商品数は1800ほどになっている。さらにお客の好みをリサーチしながら、新商品も毎月開発しているそうだ。おいしさ、商品数の多さという、スナックミーの魅力を支える基盤だ。

 代表的なのが、甘味と香りの強いカンボジアのパイナップルをドライフルーツにした「プレミアムドライパイン」や、提携農場卵からつくる「新鮮たまごのパウンドケーキ」。また北海道十勝産の枝豆をフライにした「枝豆ポリポリ」など、辛党を満足させるおやつもある。

 商品において大切にしているのが、自然素材のおいしさを生かすべく、人工香料や合成着色料不使用、保存料もなるべく使わないというルールだ。

 必然的になるべく在庫を置かず、仕入れてすぐに売り切る方式をとることになる。客数と販売量があらかじめわかっている、サブスクリプションのスタイルが最適だったのだ。おやつを詰め合わせるピッキングから配送まで自社で行っているのも、よりスピーディーにお客のもとにおやつを届けるためだ。

 「その都度100種類以上のおやつをお客様ごとに組み合わせを変えて詰め合わせボックスをつくるわけですから、非常に複雑です。現在はピッキングスタッフに音声で指示するシステムを採用していますが、まだ完成形ではありません。作業効率の向上は今後も課題となります」(服部氏)

 そのほか、同社のビジネススタイルはすべて、「おやつをいかにおいしく、楽しく食べてもらうか」の発想からつくりあげられている。

■テクノロジーのみならずアナログも活用

 そもそもサブスクリプションは継続率を維持するために、お客と関係をつくりながら利益を得ていくビジネスモデルだ。スナックミーではさらに、LINEを活用した親密なコミュニケーションによっておやつの評価やリクエストなどのデータを集積。品揃えや新商品開発に生かしているそうだ。

 またテクノロジーのみならずアナログも活用するのがスナックミーのユニークな点。ネットのみならず電話でもインタビューを行い、満足度を調査しているとのことだ。

 「というのも、データとして定量化すると見落とされるニーズがあるからです。例えば『鮭皮チップス』という商品はデータだけ見ると人気が低い。しかし、8種類の詰め合わせすべてを鮭皮チップスにしてほしい、というお客様もいます。少数派ですが、すごく気に入ってくれているお客様がいるわけですね。こうした声を拾いながら、ニッチ商品も充実させていきたいと考えています」(服部氏)

 今回のリアル店舗展開も、お客とのアナログなコミュニケーションを大切にする方針が出発点となっている。同社ではこれまで年に2回のペースでオフラインイベントを開催。試食体験もでき、スナックミーの世界観をリアルで伝える機会として、お客からはいずれも反響が高かったものの、コロナにより開催できなくなってしまったという。

 「当社の事業において、お客様とお話しする機会は欠かせません。当社では、システムからロジスティクス、デザインなど、事業運営に関わる多くのことを自社内で行っており、社員一人ひとりが何らかの担当を持っています。『おやつと世界を面白く。』という、当社の理念のためには、それらの担当者が直接お客様に接し、近い距離感で業務にあたることが重要だと考えているんです。また、コロナをきっかけにお客様は増えましたが、スナックミーを知らない人、アプローチできていない人も多くいます。直営店は『おやつギャラリー』というコンセプトのもと、“おやつ体験”の価値を高める場にしていきたいと考えています」(服部氏)

 店舗の立地として選んだのが清澄白河。江戸時代から続く下町情緒も残しつつ、ギャラリーやロースタリーなどが集積する地域だ。クラフトビールやベーカリーなどこだわりの店も増えている。

 直営店はその街並みにふさわしく、レトロ調の建物を生かした落ち着ける雰囲気の空間となっている。目玉商品が「ディスカバリーポーチ」(479円)。「自分に合うおやつを発見してもらう店」という、店舗のコンセプトを体現した商品だ。焼き菓子の詰め合わせのベイクドポーチ、ドライフルーツ&ナッツポーチ、さまざまなジャンルで人気のおやつを詰め合わせた「バラエティポーチ」の3種類がある。店内で食べてもよいので、気に入ったおやつを選ぶ参考にすることもできる。

 またサブスクでは送料の関係で提供できない、大袋入りの商品をそろえているのも、オフライン店舗ならではのポイントだ。

 今後は焼き菓子やドーナツなど、簡単な店内調理を加えたスイーツの販売も検討しているそうだ。

■リアルな体験の価値がさらに向上する

 なお、オフライン展開としてはこれまでに銀座ロフトやCHOOSEBASE SHIBUYA、b8taTokyoなどに出品したほか、4月20日から「ファミマ!!」一部店舗でも販売開始。

 黒ファミマとも呼ばれる同店は、ファミリーマートのストアブランド。オフィスビルや都心に立地し、施設内ワーカーなど、来店頻度の高い客層に対し、商品の品揃えやサービスを柔軟に展開するブランドだ。

 3~5年を目処に、これらの販売や直営店も合わせたオフライン展開全体での売上比率を2~3割に高めていくという。

 コロナで進んだオンライン化。しかしコロナ後はオンラインとオフライン双方のメリットをかけ合わせたハイブリッド社会になると言われている。リモートでできることとリアルでしかできないことの仕分けが進んだ結果、オフライン、つまりリアルな体験の価値がさらに向上すると考えられる。

 食の面でももちろん同じことが言えるだろう。スナックミーの服部氏のように、むしろ業界の外から参入した人材が、時代の変化にいち早く反応しているようだ。

東洋経済オンライン

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最終更新:5/22(日) 15:01

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