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池上氏解説「日本の防衛力」は世界でどのレベルか 軍事力はアメリカが突出して1位、中国も追随

5/22 16:31 配信

東洋経済オンライン

ロシアによるウクライナの軍事侵攻、中国から台湾への圧力、頻発する北朝鮮のミサイル発射など、いま世界情勢は危険な動きを見せています。何かあったときに、果たして自衛隊は私たちをしっかり守れるのでしょうか。諸外国の軍隊と比べ、自衛隊の能力はどの程度なのでしょうか。
世界の軍事力の動きと日本の自衛隊について、基本的なことを知るために、『20歳の自分に教えたい現代史のきほん』(池上彰+「池上彰のニュースそうだったのか!!」スタッフ・著)より、一部を紹介します。

■ロシアの脅威に徴兵制を復活させた国々

 長い目で見ると徴兵制自体は減ってきているのに、近年、このままでは自国を守れないと徴兵制を復活させた国があります。それがウクライナ、リトアニア、ジョージア、スウェーデンなどヨーロッパの国々です。

 復活の理由はロシアの脅威です。特に2014年にロシアがウクライナのクリミア半島を一方的に併合した事件は、ロシアと地理的に近いヨーロッパの国々に衝撃を与えました。

 たとえばスウェーデンは、ロシアがバルト海での軍事演習を活発化させたため、スウェーデンに攻めてくるかもしれないという危機感から2018年に徴兵制を復活させました。

 ウクライナが徴兵制に戻したのは、ロシアによるクリミア併合の直後です。ウクライナはクリミア半島を占領されただけでなく、親ロシア派勢力が支配する東部の2つの地域が独立を宣言するなど、領土の切り崩しに遭いました。

 当時のウクライナの兵士は5万人程度。これではロシアの脅威に対応できないと考えたからです。

 2021年までに兵員は20万人にまで増え、兵役が終わった後も、いざというときは軍隊に戻る予備役の兵士も90万人になりました。この軍隊が2022年2月のロシア軍侵攻に立ち向かったのです。

 フランスでは、2015年のパリ同時多発テロ(130人死亡)などの影響で一時、徴兵制復活の声が上がりました。しかし、多くの国民の反対により復活は取り止めに。その代わりにできたのが国民奉仕制度です。

 対象は16歳で期間は約1カ月。制服を着て軍施設での合宿や奉仕活動を集団で行います。2019年にスタートし、最初は対象人数を絞って実施されました。将来的には義務化を目指しているともいわれています。

 フランス政府が、若者たちに国を守る意識を植え付けようと考えていることがわかりますね。

■日本は世界の中でどのくらい強いのか? 

 志願制、徴兵制と人集めの方法は国によっていろいろです。しかし問題は軍事力です。世界に軍隊を持つ国がたくさんある中で、日本はどのくらい強いのでしょうか。

 軍事費や兵士の数など50以上の項目を総合的に評価した軍事力ランキングを見てみましょう。142の国と地域の中で日本は何位なのか? 

 なお、ここでは軍事力と言っていますが、日本に限っては、軍隊ではなく専守防衛の自衛隊なので防衛力といいます。そのことを念頭に置いてランキングを見てください。

 トップは予想通りアメリカ。でも、日本も5位に入っています。軍事大国や隣の国と緊張状態にある国が上位を占めるなか、日本が5位というのは過大評価のような気がしないでもありません。

 評価のポイントの1つは、経済力です。何しろ日本はGDPで世界3位。防衛力の裏付けとなる経済力が大きいからこそ、防衛費にお金をかけられます。もう1つのポイントは最新兵器です。アメリカから購入している最新兵器は極めて高性能で日本の防衛力を高めてくれます。

 こういった点が評価されて5位という結果につながったのです。

 現在、軍事で世界一強いのはアメリカです。では、10年後は?  あるいは20年後はどうでしょう?  近い将来トップに立つかもしれないといわれているのが中国です。もし今戦ったら、アメリカ軍に勝つだろうと見る人もいます。

 各国の軍事費を比較した下のグラフを見てみましょう。

 軍事にかけているお金はアメリカが圧倒的に多く1位です。でも、2位は中国。アメリカと中国を足すと世界の軍事費の半分以上になるほど、両国の軍事費は突出しています。

 それでも、このグラフを見る限り、アメリカは中国を大きく引き離しており、中国がアメリカを追い抜くなんて考えられないと思うかもしれません。しかし、ここには数字のカラクリがあるといわれています。

 中国が公表している軍事費(国防費)には、海外からの高額な軍事装備品の購入費などは含まれていません。同様に軍事研究のような関連する研究費も含まれておらず、そういうものを全部入れると、実際の金額は公表値よりもはるかに高くなるといわれています。

 こういった指摘をして、中国は軍事費を低く見せていると批判すると、中国はアメリカだって同じじゃないかという言い方で反論してきます。真相は不明ながら、少なくとも中国としては、なるべく軍事費を低く見せたいという意図を持っていることは確かなようです。

 中国の軍事費を調べてわかることは、増え方が異常に早いことです。

 2010年と2020年でどれだけ軍事費が増えたか見てみると、中国はほぼ倍増(下のグラフ参照)。アメリカは意外なことに1割減らしています。年間の軍事費ではアメリカが1位でも、増え方は中国がダントツの1位です。

 『防衛白書2021年版』によれば、中国が公表している国防費は1991年度からの30年間で約42倍に達しました。これからもどんどん増えそうです。となると、いずれ中国は軍事費でもアメリカを抜くかもしれない。それほどの急激な増加です。

 ここで兵士の数に目を向けてみます。下の表を見ると、中国にはアメリカを上回るものすごい人数の兵士がいることがわかります。アメリカ軍140万人に対して中国は218万5000人です。中国人民解放軍は少数精鋭の軍隊にしようと人員削減を進めており、最近、30万人を削減しました。それでもまだ200万人以上います。

東洋経済オンライン

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最終更新:5/22(日) 16:31

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